英語の動画教材ってどうなの?
こんにちは!ミライコイングリッシュ運営事務局です。
わが子の英語教育に熱心な親御さんでも、いざ子どもを英会話スクールに通わせようと思うと、なかなか敷居が高く躊躇してしまうかもしれません。
送迎が必要であったり、先生やほかの友達との相性を想定したり…あるいは「週1の月謝代は結構負担…」と思い、体験レッスンに参加するのをためらっている人はいるでしょう。
おうち英語を始める場合、英語の動画教材を選択するご家庭は少なくないでしょう。もちろん動画教材にはメリットがたくさんあります。
しかし、親御さんのなかには「動画教材を買って学習させたけれど長続きしなくて」「子どもが夢中になりすぎて目が悪くならないかしら」など、動画教材に対する負のイメージをもっている人がいるかもしれません。
そこで今回は、動画教材のメリットとデメリットを確認したうえで、動画教材の上手な使い方や注意点について解説します。
動画教材のメリットとは?
動画教材のメリットについては別記事「英語は動画教材で身につく!動画ならではのメリットを解説。」で解説しています。よろしければそちらもぜひお読みください。考えられるメリットとして次の3点が挙げられます。
- 英語の発音やリズム感を養える
- 視覚や聴覚情報で理解を補える
- 楽しみながら学習を続けやすい
CDやテキスト教材ですと、言語情報や聴覚情報を通して英語学習を進めます。とくにCDなどの音声教材は、リスニング力を養ううえで効果がありますが、DVDで視覚情報を補えば「あ~なるほど」と思える場面が増えると考えられます。
また、動画教材の多くはアニメーションが取り入れられており、お気に入りのキャラクターが登場するなど子どもが喜びそうな内容で構成されています。このため、子どもは楽しみながら学習することができ、英語学習の習慣化に役立つことでしょう。
では、動画教材のデメリットとして、どのような点が挙げられるのか、次の章で確認します。
動画教材のデメリットとは?
「動画教材で英語教育をすることに本当にデメリットってあるの?」と思われる親御さんがいるかもしれません。前章に挙げたようにメリットしかないように感じますよね。
ただ、選び方や使い方によっては、子どもの英語学習にデメリットになる場合があります。知っておいた方が安心できるので、こちらでポイントを押さえて紹介します。
ご存じのように映像教材は、英会話スクールよりも安価で気軽に英語を学べるツールといえます。ただ、気軽だからこそ場合によってはデメリットになる可能性もあるのです。
それでは早速、動画教材のデメリットとして考えられる3点について解説します。デメリットの3つは以下のとおりです。
- アウトプットにつながりにくい
- 質問することができない
- 視力低下と睡眠不足を招く
それぞれについて詳しく解説します。
動画教材のデメリット①アウトプットにつながりにくい
デメリットとしてまず挙げられるのは「見せっぱなし、見っぱなし」になり、英語で表現する機会がなくなる可能性がある点です。
たとえば親御さんが家事で忙しいときに「この英語のDVDを見ていてね」と言って、動画教材に”子守り”をさせてしまうイメ―ジです。
好きなキャラクターやアニメーションが入っているため、子どもは喜んで視聴します。インプット量は増やせるし、何度も繰り返して視聴すれば難しい単語も覚えてしまうでしょう。
たしかに動画教材を使えば、英語の音やリズムに親しみながらインプット量を増やせます。ただ、実際に英語を使う機会(アウトプット)を逃してしまうかもしれません。
英会話スクールには通わず、英語の動画教材ばかり観て安心しきっていると、リスニングや文字理解などにはメリットはあれど…”話す”タイミングを逃してしまう可能性があるのです。
インプット重視の英語教育が大切という話については、ほかの記事のなかでも解説してきました。確かにそれは事実です。
第二言語を習得するにも、インプットがなければアウトプットは難しいといわれます。人間はインプットした内容をもとに「気づき→理解→内在化→統合」という過程を経てアウトプットに移行するためです。
インプットからアウトプットまでの4つのプロセスを簡単に説明すると以下のようになります。(ミシガン州立大学名誉教授Susan M. Gass氏が提唱したモデルを参照)
- 気づき:無意識のインプットではなく意識的にインプットを行う
- 理解:記憶を繰り返し呼び戻すことで仮説的な理解が得られる
- 内在化:仮説を検証することで正解を自分の中に取り込む
- 統合:仮説を立て検証する過程を踏まずに瞬時に理解・行動する
単に「音が聞こえる」段階から「何の音か聞き分けようとする」段階が気づきといえるでしょう。気づきで短期記憶につながります。
その後は、たとえば「〇〇は…という意味だろう」のような仮説を立て検証・実証したうえで「統合」の段階で初めて長期的な記憶にたどり着くのです。
つまり、長期的記憶があってこそスムーズなアウトプットへつながるのです。”アウトプット的要素”を盛り込みながらインプット量や質の価値づけをしているともいえるでしょう。
実際、インプット:アウトプットの比率を3:7と定義する脳科学研究が報告されており、脳はインプットした情報のうち「実際に使う情報」のみを記憶する性質があるといわれます。
学習内容をしっかり記憶にとどめるには、話したり書いたりするなどアウトプットすることが大切なのです。
これらは言語の本質がコミュニケーションにある点とつながります。インプットするだけでOK!ではなく、インプットからアウトプットへの流れを意識するのは、人とのコミュニケーション力を向上させるうえで必要だといえるでしょう。
映像教材を使った英語学習においても、習ったことを親子で確かめ合ったり、日常生活の場面で活用したりするのが大切なのです。
動画教材のデメリット②質問することができない
動画教材は英語の発音やリズム感を習得したり語彙力を向上させたりするのに役立ちますが、その場で質問することができいない点にデメリットがあります。
「えっ、今なんていったの?」「capとcupの発音の仕方が分からない」など、直接質問したいことを、リアルタイムで解決するのは難しいでしょう。
分からないときにすぐに質問できるのは、子どもにとって大切な学習方法です。記憶はすぐに消えてしまうので、そのままにすれば解決できなくてもそのままになる可能性があります。これでは学習のチャンスを逃してしまいますね。
質問をして教えてもらったり自分で整理したりすることで学びが深まるため、学習時に質問できるのは重要なポイントといえます。
このデメリットを解決できるとすれば、やはり親子で一緒に視聴することでしょう。親子で学ぶのは親子のやり取りを増やすだけではありません。子どもの学習の様子を親が把握したり子どもが分からない場合のフォローをしたりするよさがあります。
このような感じで、動画教材を使えばメリットを感じながら英語力を向上させられるでしょう。
動画教材のデメリット③視力低下や睡眠不足を招く
昨今子どもの視力低下が問題視されています。これは、スマートフォンの普及によって子どもがWebサイトや動画を見たり、ゲームをしたりすることが可能になったためです。
文部科学省の「令和3年度学校保健統計」によると、子どもの裸眼視力1.0未満の割合が増加傾向にあることが分かっています(幼稚園では24.81%、小学校では36.87%、中学校では60.66%、高等学校では70.81%)。
幼稚園と小学校では令和2年度より若干減少していますが、中学と高校では増加し過去最多の割合となっています。
また、夜寝る前ににスマートフォンやタブレットなどで動画を視聴するのはおすすめできません。その理由は画面からブルーライト(青色の波長が短い可視光線)を浴び、目の疲れや痛み、睡眠障害や不安などのリスクを招くとされているためです。
このため、とくに就寝前の動画教材を利用した英語学習は避けた方がいいでしょう。代わりに絵本で読み聞かせをして心地よい眠りにつかせるのをおすすめします。
英会話スクールじゃなくてもOK!
前章までの動画教材のデメリットを読まれた親御さんのなかには、「やっぱり英会話スクールに通わせた方がいいのかしら」と思われるかもしれません。
ただ、英会話スクールありき!と最初からとらえなくても、英語の力を身につけさせるのは可能です。
たしかに英会話スクールに通うメリットはあります。それは前章で紹介した、アウトプットを補える点です。英会話スクールでは動画教材で覚えた英単語やフレーズを使ってみる機会があり、友達や先生と一緒に会話する楽しさを味わえるでしょう。
ただ、だからといって慌てて「やっぱり英会話スクールに通わせなきゃ!」と思う必要はありません。
まずは、動画教材を用意し「見せっぱなしにならないように気をつけなきゃ」と意識して活用すれば問題なく英語学習をおこなえます。
さらに、親子間でフォローアップをするイメ―ジで学習するのをおすすめします。たとえば、次のようにフォローアップしてみましょう。
- 耳にしたフレーズを一緒に発音してみる
- 覚えた歌を一緒に歌ってみる
- クイズやカードゲームで遊んでみる
このようにインプットさせつつアウトプットを意識した取り組みは、わざわざ英会話スクールに通わなくても、自宅で十分可能な学習法です。おうち英語を始めたばかりのころは、発音や文法が間違っていても気にしなくても大丈夫!
子どもが英語の時間を楽しいと思ってくれれば、進んで英語を学び続けます。観たり聴いたり、読んだり書いたり…このようなインプットとアウトプットのコラボレーションを楽しむ感じで「おうち英語」を始めてみましょう。
もちろん、英会話スクールに通わせたいと思うご家庭であれば通わせてみてくださいね。ネイティブの先生からのリアルな英語の音やリズム、イントネーションなどに触れたり異国の文化に親しめたりできます。
では、ここまでお伝えした内容を最後にまとめてみましょう。
まとめ
英語の動画教材には、限りない可能性が秘められており、毎日コツコツ映像教材を視聴するだけでインプット量を増やしていけます。継続する力もそれなりに養える点もメリット。
しかし、動画を使った英語教育だけではどうしても学習の形態が偏ってしまいます。英語学習の本質はコミュニケーションをすることにあるため、見せるだけでなく表現する場を意識的につくる必要があるでしょう。
また、可能な限り親子で視聴して学びを共有したり、日常的に覚えたフレーズを使ってみたりします。大切なのは楽しみながら英語を学んだり表現したりすること。ぜひ親子で一緒に英語学習できる時間や場をつくってみてください。