ある日突然こんな通知が来たらどうする?
この漫画のママさんは、ある書類を手にしながら、ものすごく真剣に悩んでいるようですが、一体何を悩んでいるのでしょうか?
これは重大な決断をしないと…
ママさんが悩んでいたのは「旦那の海外赴任に、付いていくべきかどうか」という問題でした。これは、人生において、かなり大きな方の問題と言えるでしょう。
幼い頃から家族の仕事の関係で、海外への移住を繰り返していたという人や、元々フットワークが軽く、一人で世界中を飛び回ってきたという人にとっては、特になんてことない問題かもしれませんね。好奇心旺盛で、普段から常に刺激を求めているという人にとっても、これは朗報であると言えるでしょう。
しかし、一般的な人にとって、生活している環境が変わるというのは、非常に大きな問題となります。国内での引っ越しだったとしても結構な決断力が試されるというのに、ましてや海外へ行くなんて…!人によっては絶望感すら抱いてしまうケースだってあるでしょう。
住みやすい日本を離れるのは大変
日本語が通じて、食べものが豊富にあって、便利で衛生的で治安がよくて、みんな親切で…、という楽園のような国へ行けるのであれば、万々歳かもしれませんが、そんな国はハッキリ言ってありません。その楽園のような国というのは、他ならぬ日本のことだからです。
もちろん、オシャレな国や、景色の美しい国、気候の良い国や、食べ物の美味しい国は、いくつか挙げられるでしょう。しかし、便利で衛生的で治安が良いというのは、本当に何ものにも代えがたい貴重な価値であり、そんな価値が当たり前のように提供され続けている日本を出るというのは、この国に住み慣れている日本人にとって、大変な負荷となってしまうわけです。
ましてや、小さな子どもを抱えているとなったら、日本で暮らせるということが、いかにありがたいことか…。
旦那が来年の春から
海外赴任になるかもしれないの
ついて行くべきなのか悩んでて
ちなみに、この漫画のママさんの場合は、2年間という期限が付いているようです。2〜3ヶ月なら、「行ってらっしゃい」と気軽に言うことができそうですし、逆に「それなら付いていこうかな」と、半分旅行感覚で決断することもできるでしょう。
しかし、2年となると、これはなかなかに悩ましい期間です。逆に10年だったらもう付いていくしかないという腹をくくれそうですが、2〜3年というのはかなり微妙ですよね。しかも、本当に2年で足りるのかどうかも、ある意味全くわからないままですから、不安で仕方がないことでしょう。
子どもがバイリンガルになってくれる?
バイリンガルになってくれるかも!
って期待はすごくあるんだけど…
ものすごく怖くって…
さて、この漫画のママさんは、旦那の海外赴任が決定したという事実に対し、ポジティブな思いと、ネガティブな思いを、両方抱えているようです。
ポジティブな思いの内容というのは、小さい頃に海外で育つという経験をしておいたら、子どもが英語ペラペラのカッコイイバイリンガルに育ってくれるかもしれない!ということ。確かに、これは言えるでしょう。
筆者も大学の頃、同じキャンパス内に帰国子女の学生がたくさんいましたが、みんな根っからの日本人よりも、ちょっとキラキラしていて、自信たっぷりというオーラに満ちているような印象でした。なんとなく雰囲気が華やかなんですよね。もちろん、英語もペラペラで「カッコイイなぁ…」と憧れたり、ちょっぴり嫉妬したりしたものです。
ただ、やはり慣れない海外で暮らすとなると、大きな不安につきまとわれるのも事実でしょう。特に何のトラブルもハプニングもなければ良いのですが、病気をしてしまったり、事故にあってしまったり、ということが起きてくるとなると、日本国内でも大変なのに、海外で…なんてことを想像したら、それだけでもう気絶してしまいそうだという人もいるはず。
自分が海外で暮らすだけでも大変なのに、子どもと一緒に行くわけですから、想像するだけでも頭がクラクラしてしまいそうです。子どもを育てるのに、自分がその国の言葉をしゃべれなくて大丈夫なはずない!と思いますよね。実際学校の先生や、病院の先生や、近所の人とも、英語でコミュニケーションを取らなければいけません。日本人同士であっても難しいコミュニケーションを、他の言語で交わさなければいけないだなんて、ものすごく難易度が高いことのように思えますよね…!
意思決定はトータルで判断して行おう
幼少期を海外で過ごせるかもしれないって
たしかに、ものすごく貴重なチャンスよね!
子供の英語学習のことだけで
意思決定をしない方がいいと思うわ
子どもの英語学習のことにだけフォーカスをして考えたら、旦那の海外赴任に付いていけるというのは、もちろん大きなチャンスです。誰もがそんなチャンスを与えられるわけではないですからね。
いくら「海外に住みたい!」という憧れや願望があっても、仕事の都合や、お金の都合で、日本にいるしかないから我慢している…という人だってたくさんいるわけです。わざわざ留学をする人だってたくさんいます。外国語を学ぶにはその言葉を話している国で生活するのがいちばんですよね。それに、異なる考え方や宗教、生活様式に触れることで考え方の幅が広がるのは間違いありません。とくに、子どものうちはまだ思考能力が発達している最中だからこそ、大人のように固定概念にとらわれることなく、ちがった考え方や文化を自分の中に素直に取り込んでいくことができます。
もちろん、語学についても、幼いほど習得しやすいのは言うまでもありません。語学を習得するのにベストな時期は9歳まで、と言われていますが、それ以降でも、子どもたちは、大人とは比べものにならないスピードで語学をマスターしていきます。
そう考えると、子どもを英語ペラペラの国際味溢れる人間にできるかもしれないって、素晴らしく希望の持てることですよね!
しかし、意思決定の中心に、子どもの英語学習のことだけを持ってくるのは、少々危険であり、偏った考え方であると言えるでしょう。
本当に家族全員で海外に移住をしても大丈夫かどうかは、やはり、トータルで考えるべきです。特に、体の健康のこと、心の健康のこと、適応力のこと、柔軟性のこと、などは慎重に検討すべき判断材料です。
旦那の傍を離れるのが不安で、いつだって旦那さんと一緒にいたい!というタイプのママさんもいれば、旦那とは離れてもかまわないけれど、実家の母親から離れるのだけは無理!というタイプのママさんもいることでしょう。また、住み慣れた土地を離れるのが苦痛だという人や、この家でないと快適に育児ができない!という人もいるはず。
学校の先生やお友達に恵まれている人は、その人達と離れても平気かどうかまで考えなくてはいけないでしょう。ママにとっても、子どもにとっても、これはとても大事なことですよね。仲良くしていたお友達やママさん、子どもが大好きな先生。そのような人たちとお別れしないといけないうえ、海外に行ったら、学校での人間関係を一から作り直さないといけないのです。しかも、言葉の壁というハードルもあります。
そして、最後に大事になってくるのは「直感」です。
直感で「やめておいた方がいい」って思うのに、
子供の英語学習のことだけを考えて
無理やり外国に住むのは
ちょっと浅はかかもね…
ついて行っちゃうのは全然アリだと思うわよ!
「なんとなく不安は色々あるけど、行ってみたら面白いことが起きそうな気がする」とか、「普通で考えたら、絶対やめておくはずなのに、不思議と行った先のことを想像するだけでワクワクする」というように。そんな、魂の感じる「直感」が「行ってごらん」と囁いているようなら、あまり深く考えずに、荷造りをしてしまうのも手でしょう。
行ってしまえば、当面その国で生活するしかなく、腹をくくることができます。その国で実際に生活している日本人がいるなら、自分たち家族にもできないはずはないでしょう。
海外では、日本では想像のつかないような問題が出てきますが、家族一丸となって乗り越えていくと、家族のきずながとても強くなるとも言います。家族が一つのチームになり、団結するイメージです。そのきずなは、海外赴任が終わって日本に戻ってきてからも、更には子どもが大きくなってからも、家族の大切な宝物になるでしょう。
また、逆に「とても条件は良さそうだけれど、移住のことを考えると心が重くなる」とか「なんとなく、付いて行った先でイヤなことに巻き込まれる予感がする」というように、マイナスな直感が働いた場合には、ストップしておいた方がいいです。
一度移住してしまったら、そう簡単に帰ってくることはできません。手を貸してくれる友人や知人がすぐそばにいるならまだしも、多くの場合、頼れるのは夫だけ、という環境に突然放り込まれるわけです。子どもの学校や幼稚園を調べて、入学や入園の手続きをしたり、主婦として家族の生活基盤を整えたりという仕事もあります。考える以上に大変なことです。
それに、あなたにとって海外での生活が想像するだけで気が重いものだとすると、お子さんにとっても海外生活は大変なものになる可能性も高いでしょう。
なぜなら、子どものメンタルは親のメンタルの影響を強く受けるものだからです。海外に行って、パパもママも日本にいるときより楽しそうで生き生きしている、というなら、お子さんもそこでの生活を楽しめるかもしれません。
しかし、例えば、ママがいつも大変そうで辛そうにしていたら、お子さんのメンタルも不安定になってしまうかもしれません。パパよりママと一緒にいる時間が長いお子さんがほとんどでしょう。そうなると、ママのメンタルはお子さんのメンタルに直結しているといっても過言ではないほど。つまり、ママのメンタルが安定していることが、家族にとってとても重要なのです。
だからこそ、ママの気持血を大事にしてほしいのです。自分が幸せでないと家族が幸せになれない!くらいの気持ちで、「海外赴任に本当についていきたいか?」と真剣に自分の気持ちに向き合ってみてくださいね。
直感なんてあてにならない…、と思うのは、大きな間違いですよ!「なんとなく」の感覚をないがしろにしてしまうと、人生を棒に振ってしまう可能性だってあるくらいです。
- 子供の英語学習のことだけを考えるなら、幼少期に海外で暮らせるのは貴重な経験
- しかし、そのことだけに振り回されず、色々な問題をトータルでしっかり検証してから意思決定をするようにしよう
さて、それではこの記事で解説してきたことを、最後におさらいしていきましょう。
もし、旦那さんの海外赴任が決まったら…、付いていくことのメリットとデメリットを、もちろん誰もが、両方考えることでしょう。
付いていくことのメリットといえば、小さな子にとって幼少期を海外で過ごすという経験が貴重な宝物になるということ。英語がペラペラのバイリンガルになってくれるかも!と想像したら、行ってみようかな…という気持ちにもなることでしょう。
パパが単身赴任すると、パパが子どもの成長を近くで見届けることができない、ママひとりで子どもの面倒を見なくてはいけない、パパの食生活や健康が心配、などの心配が出てきます。家族で赴任先についていけば、このような心配はなくなりますね。
でも、海外赴任は家族にとって一大事。パパのこと模試の愛、子どものことも心配ですが、それと同じくらい、ママの気持ちや直感も大事です。
肝心の意思決定をする際には、英語学習のことだけをベースにしないよう、しっかりトータルで判断を行ってください。
また「なんとなく行った方がいい気がする」とか「なんとなくやめておいた方がいい気がする」といったような、「なんとなく」の直感も重視するようにしてください。