こんにちは!ミライコイングリッシュ運営事務局です。
英語学習といっても、内容はさまざまでしょう。リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングのように英語を聞いたり、読んだり、書いたり、話したりなど一つだけではありません。
日本語と英語の音の周波数も発音そのもの、あるいは文型も異なるため日本人が英語を習得するには時間がかかります。
そして、英語を習得するには一定以上のインプット量(2000時間から3000時間ともいわれます)が必要であるため、毎日英語のリスニングをさせているご家庭もあることでしょう。
インプットといえば、リスニングのほかリーディングもあります。「リスニングだけでは習得しきれない」「やっぱり英語も読書が大切」といった考えでリーディングを合わせて教える親御さんがいるかもしれません。
今回の記事は、まだ小さなわが子に対して「よし!リーディングをさせよう」と思ったときにぜひ読んでいただきたい記事です。
英語を読み始める時の注意点ってあるの?
リーディングとは英文を読むといった学習ジャンルを指します。イラストにあるママさんも「難しい英語の本」を手に取って、う~ん、難しそうだけれど大丈夫かなあ?といった表情をしていますね。
日本人の大人でも難しいとされるリーディングですが、小さな子どもがリーディングを始めるときに、注意すべきことってあるのでしょうか。
「リーディング力を伸ばすと、英語の学習能力が高くなる」といった説を耳にしたことがある方もいるでしょう。これは日本語でも同様です。読む力のある子どもは語彙を増やして物事の理解力や表現力を養いやすいといわれていますよね。
このため、小さいころから可能な限りたくさん、英語の本を読ませてあげた方がよいのでは?と考え、自宅で少しずつ英語の絵本で読み聞かせを初めている親御さんもいるでしょう。
赤ちゃんのころはもちろん無理がありますが、英語に慣れてきたところで「英語の多読」を意識して、子どもに多くの本を与えて読ませる取り組みを始めるといった感じです。
しかし、やたらに「読ませる」のは、子どもにとって逆効果になりかねません。「読む」まえに必要な要素があるのです。次章で詳しく解説します。
「読む」にはまず「〇〇」を鍛えよう
最初に答えをお伝えすれば、○○は「聴く」となります。
「聴く」ことの大切さを解説する前に、現在の教育事情から簡単に紹介します。
昨今は小学校高学年から英語の授業が課せられており、週2回先生から英語を教わります。授業で使われるのは英語の教科書です。中高と進むにしたがって内容はもちろん難しくなっていきます。
小学生のなかには中学受験をする子どもがいるでしょう。昨今は英語を入試科目にいれる学校も増えており、小学生の早い段階から「読む」学習を意識的に取り入れなければなりません。
高校や大学の受験、英語検定試験となれば、長文読解は必須となります。英語の基本的な知識をもちながら長い文章をねばり強く読む力が試されます。
このような状況にあるため、幼児期にはリスニング中心であったとしても小学校入学後からリーディング力も!と考える親御さんがいても普通なのですよね。
そう、実際に英語力をアップさせる上で「リーディング」の能力を鍛えるのは確かに基本であり、とても重要なことです。ただ…ちょっと考え直した方がいいこともあるのです。
もし、幼いわが子の英語能力を身につけさせたいと思えば、長期的な視野で定着させたいと思いますよね。その場合、実はリーディングよりも先に、リスニングの機会をたくさんつくってあげることが大切です。
会話にあるように本記事で知っておいてほしいのは、学び方には順番があるという点です。たしかに受験を控える小学5、6年生にリスニングだけを学習させるのは理にかなっていませんね。リーディングのサポートは必要でしょう。
しかし、とくに幼児期の英語学習に関しては何よりも大切なのはリスニング。その理由について次章から詳しく解説します。
自分が言葉を覚えた時を思い出してみよう
まず、リスニングが大切な理由の1つめは「言語の習得方法は日本語も英語も同じ」といった考えからいえることです。私たち日本人が「日本語」を話せるようになった過程に「まずはリスニング」があったことを思い出しましょう。
赤ちゃんのころからママやパパ、おじいちゃんやおばあちゃん、ときには兄妹姉妹からたくさん話しかけてもらっています。赤ちゃんは返すことはできないのに、人間は赤ちゃんに語りかけるのですよね。
それは私たちが思っている以上の時間や量といえるでしょう。家族や親せきなどからたくさんの日本語シャワーを浴びることで、少しずつ言語に対する認識を高めて言葉を覚えていくのです。
また、言語の習得には臨界期というものがあり、学者によってその時期に若干の違いはありますが、できるだけ早めに(習わせたい)言語の音に親しませた方が「音の聞き分け」が可能になるといわれます。
たとえば1歳未満の赤ちゃんに言語の音を聞き分ける第1臨界期が訪れるとする研究者がいます。また、以後7歳前後、あるいは思春期に差し掛かる12歳前後までに第二言語に親しんだ方が言語習得にプラスに働くというのです。
そして言語習得に必要な要素として共通しているのは「リスニング」の機会とインプット量です。リーディングができるようになるのは、だいぶ先になってからのことだと考えていいでしょう。
つまり、充分なリスニング量を満たしてから少しずつリーディングへ移行するのが、言語習得の基本ルートといえます。
まずはたくさんの英語の音を吸収することを大切にしましょう。実際に英語のリズムや発音などをシャワーのように日々浴びていくと、見えないところで英語の能力が育ってきます。
普段から英語の音をよく耳にしていれば、文字を読む際に「まったくわからない」といった感じではなく「あ、これ、聞いたことがある!」と自覚しやすくなるでしょう。
こうした流れを経て子どもは英語の読み書きへと移行できるのです。
土台作りにはまず「聴くこと」
くり返しになりますが、幼児期に英語学習をする際に重要な視点は「リーディングよりもリスニング」です。英語におけるコミュニケーションの土台をつくるためには「リスニング能力」から伸ばしていく方が良いでしょう。
実際、リーディング力の育成にもつながります。リスニング量を充分にクリアしていないうちにリーディングに移行し過ぎると、子どもは混乱してしまいます。「意味がわからない」「聞いたことがない」ことに対する不安の方が大きくなり、英語そのものに嫌悪感を覚えるかもしれません。
なかなか見えない成果にいらだってしまうこともあるでしょう。リーディングをさせないと!と焦る必要はありません。
充分なリスニングの機会を設定していれば「見えないところ」で子どもの英語力が向上していると考えましょう。
このように、子どもに読み聞かせをしていくうちに子供が文字に興味を示したところで、少しずつ教えてあげればいいのです。無理をして文字を覚えさせようとしたり英文の読解をさせようとしたりするのはよくありません。
しかも読めないからといってガッカリする必要もないのです。まずは「リスニング」と考えて親子で一緒に英語の音やリズムなどに親しむ時間をとりましょう。
リスニング昔と現在
ちなみに、ひと昔前までは、リスニングといっても自宅で簡単に実現するのは難しかった…といえます。ラジオやテレビ番組をチェックしたり英語の教材を手に入れたりするほかに手段はなかったわけです。
しかも近くに英語を話す人がいないため、英語シャワーを浴びるのは現実的に難しかったといえます。
しかし、時代は変わりインターネットの普及によって、日ごろから英語に触れられる機会が増えました。リアルタイムに世界中の人々とつながることも可能です。そこまでしなくてもYouTubeなどの動画サイトを通して、世界のできごとをすぐに知ることができます。
動画やアプリなども、検索して調べると実にさまざまなコンテンツを確認できます。子どもや大人、英語のレベルに合わせて自由に選択して学習するのも可能です。昔よりかなり良い条件が整っているといえるでしょう。
では、ここまで解説してきたことを改めてまとめ、おさらいしてみましょう。
まとめ
ここまでの内容をまとめると以下のとおりになります。
- 英語の4技能はどれも大切だが学ぶ順番がある
- 幼児期の英語学習では「リスニング」から始めた方がよい
- 日本語と同じように言語習得にはインプット量が重要!
- 赤ちゃんや子どものころが音を聞き分けるのに最適!
- 子どもが興味をもち始めたら少しずつリーディングも教える
わが子の英語力を伸ばすために、さまざまなアプローチをしたくなる気持ちはとてもよくわかります。できることならばリスニング力だけでなく、リーディング力も鍛えたいですよね。
リスニングもリーディング、あるいはスピーキングやライティングそれぞれに重要で、トータルで磨き上げることで全体的な英語力をアップします。また、とくにリーディングは理解力を定着させるのに必須の要素といえ、できるだけ早めに習得させたいと思うのは自然でしょう。
しかし、それでも幼児期の英語学習では「リスニング力」を重視した方がいい!と今回はお伝えしました。その理由は言語の臨界期とつながります。
言語を習得する際は、脳内でそれぞれの言語の音を聞き分ける時期というのものがあり、この聞き分けがあってこそ、言語力を養えるといえるためです。
まずは、リスニングの力を養うことで自然な流れでリーディングへと移行しましょう。インプット量が多ければ、「リーディング」もスムーズにおこなえるようになります。
幼児期の英語学習においても、段階がある点を念頭に子どもと一緒にまずはリスニングタイムを楽しんでいきましょう。