グローバル化が加速するのにともない、英語教育の重要性が高まっています。そのなかで2020年度からは小学校高学年でも中学校と同じように「英語の教科化」が実現しました。小さい子どもをもつママさんも「わが子に英語を習わせなきゃ」と思う人が多いことでしょう。
ただ、実際に英語教育を始めたご家庭では「本当に英語を習わせて成果があるのかなあ」と思っている人がいるかもしれません。あるいはこれからスタートしようと思っているママさんも「英語学習をさせても実は意味ないんじゃないか…」と疑問をもつ場合も考えられます。
世の中でもさまざまな議論がなされ、学者によっても意見がわかれる英語教育…。
そこで今回は、「英語教育は無駄だ」「英語を学んでも意味ない」といった見方がある現状をとらえ、その背景や「意味ない」を払拭する際の考え方や教え方について解説します。
今の不安を少しでも軽減するための記事です。英語教育に疑問をもつ人もぜひ最後までお読みくださいね。
英語教育は意味ないかも…ママの本音
保護者が子どもの英語教育に疑問をもち「意味ないのでは?」と思ってしまう理由はいくつかあります。ここでは、以下に4つのポイントについて解説します。
子どもが楽しそうにしていない
たとえば英会話スクールに通わせる場合、子どもが「英語やるの嫌だな」「行ってもつまらない」といった言葉や態度を示すと、親として不安になりますね。
子どもが楽しそうに英語を学んでいなければ、保護者として英語教育に疑問をもたざるを得ないでしょう。
アルファベットや英単語、フレーズを覚えない
子どもが楽しく英語の歌やリズムに親しんでいても、目に見える成果を感じられなければママは「英語を学ばせても意味ないかも…」と感じ始めるでしょう。
たとえば目に見える成果とは、次のような子どもの姿を指します。
- アルファベットに興味をもちフォニックスを親しむ
- 音と文字の関係がわかり英単語に関心をもつ
- 簡単な英単語やフレーズを覚えて、正しく発音する
絵本の読み聞かせで覚えたフレーズをそのまま口にする場面も含まれるでしょう。
ただ、英語を習うのは意味ないのでは?と考えるママさんは、上記のような表れを目にする機会が少ないため「本当にこのまま続けて良いのか」といった不安をもち始めます。
期待が大きければ大きいほど悩みを深めてしまうパターンといえるでしょう。
日本語の習得に悪い影響を与えないか不安
保護者自身も英語教育の必要性を実感し「英語はやっておいたほうが子どもの将来に役立つ」と信じていても、ときに母語である日本語の習得に課題を感じるケースもあるでしょう。
「子どもが難しい英単語を覚えてしまうのは良いけど、日本語のボキャブラリーが…」と不安に感じる場面があれば、なんとなく複雑な心境になりますね。
子どもが楽しく英語を学んでおり、習得の成果も見られるのであれば「英語は意味ない」と思う必要はありません。
ただ、日本語の習得に課題が生じ、思考力や表現力の育ちに不安を抱えることになれば「もしかしたら英語は弊害になるかも?」といった不安を抱えることになるでしょう。
英語教育の賛否に惑わされてしまう
英語教育については、学者によっても意見がわかれ、幼少期は日本語の教育をしっかりおこなうべきだという人もいれば、英語教育で柔軟な思考力が形成され脳の発達をうながすという考えの人もいます。
こうした二つの論に挟まれて、保護者は「果たしてどっちが本当なの?!うちの子どもはどうすればいいの?」と考える場合もあると思います。
いずれにしても、英語教育に関して「意味ある」と「意味ない」の両天秤にかけられ、教育の方向性を見失ったり自信をなくしてしまったりするママさんがいると考えられます。
子ども英語教育は「意味がある」その魅力とは
何度もお伝えしているように英語教育については、さまざまな意見があるのは事実です。前章では、英語教育に対して「意味ない」と感じてしまう背景について解説しました。
おそらく読者のママさんのなかには「うん、うん、わかる!」と共感をもつ人もいるでしょう。ただ、英語教育をおこなうことに不安や疑問を抱えつつも、心のどこかに「英語は意味ないのではなく、やっぱり意味があるはず!」と信じたい気持ちがあるのではないでしょうか。
こうした思いに沿う流れで、本章では英語教育の意義や魅力について確認していきましょう。少し長くなりますが、研究報告を取り入れながら丁寧に解説しますのでぜひ通してお読みください。
多言語の学びと子どもの成長
多言語教育といった考え方、有効性についてはさまざまな研究がされており、その価値についても提示されています。
たとえばカナダのグラナダ大学とヨーク大学(2013)の研究報告によれば「バイリンガルの子供たちは、モノリンガルの子どもよりも短時間で情報を保持・処理して更新するワーキングメモリが優れている」そうです。
また東京大学と一般財団法人 言語交流研究所の共同研究グループ(2021)は「複数の言語の習得効果が累積することで、より深い獲得を可能にするという仮説『言語獲得の累積増進モデル』を支持」する仮説が実証されたことを示しました。
バイリンガルや多言語を話す人の脳は、状況に応じてどの言語を使うか常に判断しています。脳のネットワークが活発になり認知能力が高まると考えられています。
脳機能の発達が著しい子どものころに、母語とは異なる言語の音やリズムに親しむのは、脳の成長にプラスの効果を与えるといえるでしょう。
柔軟な思考力と英語の可能性
英語教育についてまったく「意味ない」と考える必要はありません。思考の柔軟性を高めるうえで役立ちます。なぜなら、英語は日本語とは異なる言語構造を持っているためです。
会話にあるような違いによって、可算名詞と不可算名詞の使い方には文法上の違いが生じます(I want two apples.とI want some water.のように)。これは日本語とは異なる「見方の違い」を示しているといえます。
慶応大学言語心理学教授・今井むつみ博士と、ノースウェスタン大学認知科学教授・Dedre Gentner博士が90年代後半に実施した共同研究によると、英語話者は物体の「形状」に、日本語話者は「物質」にフォーカスしてグループ分けする傾向があることがわかりました。
つまり、言語は単なるコミュニケーションツールとして使われるだけでなく、話者の思考に影響を与える要素と考えられるのです。
また、英語教育は、異なる文化や価値観に触れ、一方の見方に偏らず多方面から物事を見る力を養います。これは、思考の柔軟性を高めることにつながるといえるでしょう。
楽しさと可能性を広げる英語の世界
英語は世界共通語として、ビジネスや観光、留学など、あらゆるシーンで必要とされています。英語を習得すると、世界中の人とコミュニケーションをとることができ、新たな可能性を広げられます。
英語を学ぶ楽しさは、まず、新しい文化に触れられることです。英語を言語として学ぶと同時に、英語圏の文化や歴史を学べます。また、英語で本を読んだり、映画を見たりすることを通じて、英語圏の文化をより深く理解できるでしょう。
さらに、英語は世界で最も広く使われている言語であり、英語を話せれば世界中の人と交流できます。海外の大学に留学したりグローバル企業に就職したりすることも可能です。
英語を学ぶのは決して簡単なことではありません。しかし、英語を習得できれば子どもの可能性を広げるチャンスがある、と考えるのは決して間違いではないのです。「意味ない→意味ある」に変える要素を含んでいるといえるでしょう。
子どもに英語を身近に感じさせよう
さて、ここまで読まれたママさんのなかには「英語教育は意味ないんじゃなくて、やっぱり意味があるのね」と、少し安心したのではないでしょうか。
ただ、目の前のお子さんが「いまひとつ英語に興味をもたない」「もしかしたら嫌いになっているかも」といった心配は100%ぬぐいきれないかもしれません。
そこで本章では3つのポイントにそって、子どもが英語を身近に感じるための手立てを紹介します。
英語の音を楽しんで身につける
英語の音やリズムにとにかく馴染ませることが重要です。小さいころ、あるいは赤ちゃんのころから英語の音と日本語の音の聞き分けができるのですから、この好機を逃すのはもったいないでしょう。
英語シャワーでは、英語に慣れさせると同時に「楽しさ」を念頭においておこないます。この場合、親が聴かせたい歌を選べば「英語は意味ない」となってしまいます。子どもの好きな歌を中心に聴かせるようにしましょう。
動画や絵本の選択についても、子どもの興味に沿う内容のものにします。子どもが英語の音について「なんだか心地よいなあ、楽しいなあ」と感じられる環境づくりが必要です。
口で話す練習を楽しく取り入れる
英語シャワーや英語の聞き流しについては、多くの専門家や実践者のなかでまったく意味ないとする人は少ないのではないでしょうか。
まずは英語の音やリズムに慣れ親しみ、しかもその過程では楽しめることを最優先します。
ただ、インプットだけでアウトプットはまったく意識しないで良い…というわけではありません。実はインプットとアウトプットを併用したり、実際に英語でやり取りしたりして、英語の習得を進めるといった考え方があります。
第二言語習得に関する理論をどのように実践するかについては、時代によって軽重があり教育者の考え方によって変わりますが、たとえば次のような論を参考にしてみてください。
理論 | 論者 | 特徴 |
インプット | Corder (1967), Krashen (1985) | ・インプットは第二言語習得において重要な要素 ・インプットの意味内容を理解しようとする意味解釈過程においてのみ第二言語は習得される ・アウトプットに対しては解説などの教授法は必要ない |
インプット₋アウトプット | Swain (1985) | ・インプットだけでなく、アウトプットも重要 ・ アウトプット時に修正が加えられ、言語の正確性が向上 ・アウトプット時の繰り返しが知識の自動化を促進する |
インプット₋インタラクション | Long (1996) | ・学習者と指導者の相互交流が第二言語習得に重要な役割を果たす ・アウトプットの過程での繰り返しや修正が学習効果を高める ・インプットを受けての質疑応答や対話が言語学習において重要 |
参照元:玉川大学リベラルアーツ学部研究紀要第 8 号(2015)
松本由美「初期英語教育における絵本の有効活用―児童の自発的反応を引出す「読み聞かせ」の試み―」
小さなお子さんをもつママさんが英語教育をおこなう場合は、次のような取り組みをしてみましょう。
- リズムや歌:お子さんが楽しめるリズムや歌を一緒に歌う
- 絵本の読み聞かせ:英語の絵本を読み聞かせて英語の音やリズムに触れる機会を与える
- ゲームやパズル:お子さんと一緒に英語のゲームやパズルを楽しむ
- 日常会話の場面づくり:お子さんとのコミュニケーションを英語でおこなう場面を意識的につくる
楽しい歌や手遊びを取り入れたり、絵本のキャラクターの声を演じてコミュニケーションをしたりすれば、子どもはきっと喜ぶでしょう。また、ゲームやパズルについては子どもの興味に合わせたものを選んで取り組みます。
お風呂の時間や買い物の際に英語で指示したり質問したりすると、お子さんは日常のさまざまな場面を英語につなげて楽しむことができるでしょう。
このようにママさんは、子どもと楽しみながら英語を口にする機会をつくってみてください。
英語的世界に親しむアプローチ
「英語的世界に親しむアプローチ」とは想像力や創造性を刺激する要素を指し、子どもがどっぷり英語の世界にひたれる働きかけといえます。たとえば、以下に紹介する8つの方法を組み合わせて実践に取り入れてみてください。
子どもが楽しみながら英語に親しめる方法です。子どもが気に入ったものがあれば、積極的に採用して英語のスキル発布を図っていきましょう。
方法 | 内容 | 効果 |
アニメや 映画鑑賞 |
英語のアニメや映画を観て、子どもに主人公になり切ってもらう | ストーリーに入り込み、英語の表現やリズムを身につけられる |
英語の歌を鑑賞 | 英語で歌う歌手や海外アーティストになりきって歌ったり楽器を演奏したりする | 英語のリズムや発音、音のつながりなどを楽しみながら学べる |
絵本の読み聞かせ | さまざまな絵本を使って子どもに読み聞かせる | 英語のストーリーを楽しみながら、発音や語彙、文法などの理解が深まる |
イベントやアミューズメントに参加 | 自然な英語が聞ける場に子どもと一緒に参加する | 英語に触れる機会が増え、自然な形で英語を身につけられる |
ボードゲームやカードゲーム | 英語のルールを使ったボードゲームやカードゲームを一緒に楽しむ | ゲーム英語を使った自然なやり取りを覚えられる |
ロールプレイやドラマ | キャラクターやシチュエーションを英語で演じる | 英語を使ったコミュニケーションや表現力、ジェスチャーなどを身につけられる |
工作やアート活動 | 英語の指示や説明を交えてモノづくりをする | 英単語や表現を使いながら創造的な作品を仕上げることができる |
料理 | 日本料理や海外の料理を一緒に作る | 材料の名前や手順を英語で読みながら進めることで英語の語彙や表現力を覚えられる |
以上のアプローチを参考にしながら、子どもが楽しみながら英語的世界にひたれるようにサポートしましょう。
この過程で、きっと子どもの良さや可能性を見つけられ、肯定的に子どもの才能を認めることができるようになります。また、そのつもりでなければ成功しないでしょう。
「そんなことやっても意味ない」と思いながらやるよりも「これは〇〇の意味がある」と信じておこなう姿勢も大切です。焦ることなく少しずつで良いので、ぜひ試してみてくださいね。
英語学習は時間をかけて計画的に
英語の習得には長い時間がかかります。これを前提に、すぐに成果を求めることなく、じっくりと英語教育を進めていく姿勢が大切です。
英語教育について「意味ない」としないためにも、まずはママさん自身が「英語教育の目標」を設定してみましょう。目標といっても、その種類はさまざま挙げられます。
長期目標があっても、それを達成するためには小さな目標を立てる必要があるでしょう。英語でコミュニケーションをとるには「聞く」「話す」の要素が重要であり、メールでやり取りするとなれば「読む」「書く」分野は外せません。
細かく目標を区切り、子どもが達成しやすい学習内容や教材を選定するようにしましょう。ここで大切にしたいのは、子どもの特性や発達段階に合う目標を設定することです。そのうえで、子どもが達成感を味わえるような取り組みをします。
ここでは、親子で一緒にがんばろうね!といったママの姿勢も重要でしょう。子どもに〇〇しなさい!と上から目線の教育法ではなく、子ども目線に立ったやり方のほうが、子どもが安心して学びに集中できます。
以上の内容にかかわる考え方や方法として以下の3点を紹介します。
学ぶ楽しさや大切さに気づかせよう
先ほど目標設定は重要です!といった話をしました。最初にお伝えしますと、目標を決めて子どもに教育をおこなう際、子どもが学ぶ楽しさを味わえない教育法は「意味ない」といえます。
「英語教育は無駄ではないか」「英語を習っても上達しなければ意味ない」ととらえてしまうのは、厳しい見方をすれば「英語教育のやり方自体が意味ない」ためであるともいえます。
英語に限らず、子どもに何かを身につけさせたいと思えば、「何のために」「何を」「どうすればよいのか」考えて実践する必要があります。つまり、何かしら「意味ある」とするためには、目標設定と方法に「意味」をもたせるのです。
方法については、子どもが興味をもって学べるか、楽しみながら覚えるか、といった視点を常にもち、学ぶ楽しさを味わえる環境をつくることが必要です。
たとえば、先ほど挙げたアルファベットを覚える際も、単にAをいった文字を見せて「これはA(エイ)というのよ、音はエとアの中間の音でね…」と言葉で説明するだけでは、子どもは理解しにくいでしょう。
覚えることを強要する方法でおこなえば子どもの記憶に残りません。「あ、面白そうだ!」と感じる内容が、自然と頭の中に入るのです。たとえば「Aのお話を始めるね~。何が出てくると思う?!」といった投げかけで、子どもはストーリーの世界に引き込まれます(フォニックスでも活用できます)。
この過程で子どもが「アルファベットの最初の文字はAで、エイという名前がついてるね、でも日本語の『あ』は”あ”のままだね~」「英語のaはエとアの間の音みたいだけど、日本の”あ”とちょっと似てるね」といった気づきを口にするかもしれません。
子どもが気づいたことがあれば「本当!ママ気づかなかったわ」とほめてあげましょう。ほめられれば、子どもは「発見」を楽しめる子どもに育ちます。
そして、ママさんはさりげなく子どもに「世界にはいろいろな言葉があるね、音も意味も違うのよねぇ。違いを見つけるのって楽しいね」とフィードバックすれば、子どもは違いを探して理解し、またわからないことを見つける楽しさ、つまり「学ぶ醍醐味」を味わえます。
この過程に「英語教育を意味ない」と感じることはないと思えませんか?
子どもの集中力を育てよう
子どもの英語力を長期的視野で育てていく場合、合わせて集中力を養う必要があります。将来「英語教育を意味ない」としないためにも重要な視点です。
集中力とは学習の鍵となる力を指し、思春期前後の段階で集中力の如何が学業に影響を及ぼすと考えられます。
ここからは、小さなお子さんが小学校高学年になったころを想定してお読みください。
幼いころは、楽しく英語を聴いたり話したりして流暢さを発揮する子どもが、小学高学年以降伸び悩むこともあるようです。やるべきことも増え、自分に合う合わないものについても自覚できることも関わっているでしょう。
ただ、高学年の時点で、学習に対する集中力、忍耐力、自己統制力といった力が備わっていれば、英語学習のやり方を工夫することで英語力を向上させるのは可能です。
例として、以下のような「小学校高学年以降に伸び悩む理由」を→以降の手立て(学習の工夫)に変えられます。
- 英語に親しむ時間が減ってしまった→朝の10分ラジオ講座を聞こう
- 英語に難しさを感じる→英単語を1日5個ずつ覚えていこう
- 授業や活動、遊びはすべて日本語→掃除時間は英語で思考しよう
高学年から入ってきた英語科の学習についても自宅学習でさらに補えます。宿題が出ている出ていないに関わらず、たとえ10分であっても英語学習を集中しておこなうのです。
上記、高学年の姿を想定しながら、今に戻して考えてみましょう。小さなお子さんが集中して何かをおこなっていることはありませんか?
保育園や幼稚園に行かなければならないのに、いつまでも英語のおもちゃで遊ぶ姿を見て「ダメでしょ!早く支度しなさい」と、つい叱ってしまうこともあるでしょう。
叱ることなく、適切に言葉をかけたいですね。たとえば、次のようなものが挙げられます。
- おもしろそうだね、何で遊んでいるの?(興味と共感)
- 自分で考えて遊んでるんだね!(自己表現を尊重)
- すごいね!上手だね!(ほめる・認める)
- この間やってたのとは、違うおもちゃだね!(好奇心)
そして「ちょっと、話していい?!保育園にいく時間になったら、遊びは一旦おわりにしよう」と伝えます。この場合、ギリギリになることなく時間にゆとりをもたせておくといいでしょう(ママもそのほうが安心ですね)。
英語おもちゃをやめるのに不満が残っている場合は、幼稚園から帰ってから十分遊ばせてあげます。最初はイライラしてしまう場面もあるでしょう。しかし、辛抱強く実践していくにつれて、時間設定をどの程度にしておくと「自分が叱らずに済むか」わかってきます。
集中力を育てるのも、親の根気がいりますが、最終的に「小学校高学年以降、子どもも親もOK!」となればよいのです。時間をかけてじっくり取り組んでいきましょう。
こうしてみると、英語教育を通じて子どもの学習力や集中力も養えるのですから、英語教育が「意味ない」とはいえなくなりますね♪
読み書きの力も少しずつ伸ばそう
子どもへの英語教育を「意味ない」としないためには「読み書き」についても少しずつ取り入れる必要があります。
なかには、リスニングといったインプットだけで、そのまま、まるごと英語を習得してしまう人もいるでしょう。しかし、多くはアウトプットや読み書きを上手に取り入れながら完成形に近づけています。
英語の読み書きについては、抽象的思考や論理的思考力が向上するとされる小学校中学年が良いとする見方もあるでしょう。このため、「読む」「書く」といった内容を小さい子どもに取り入れるのはまだ早いと考えるママさんもいるかもしれません。
ただ、子どもの思考は柔軟です。子どもがアルファベットに興味をもち、文字と音のつながりやフォニックスの学びを通じて、さまざまな英単語を覚えていくのであれば、まずは絵本の読み聞かせや一緒に絵本を読むといった活動を取り入れましょう。
園児でも「一人で読みたい」という場合は、挑戦させましょう。小学生に入れば少し長めの絵本の読み聞かせをしたり、英語のフレーズをお気に入りのノートに視写させたりします。この過程で、学習の習慣づけもされていくでしょう。
これらはあくまでも例であり、すべてのお子さんのペースに合うわけではありません。大切なのは「ママ自身が、お子さんが何に一番興味をもっているかわかっている」ことです。読み書きを英語学習に取り入れる際も、子どもの興味や関心とつなげて教材を選ぶようにしましょう。
「意味ない」はNO!英語嫌いにさせない取り組みを
ここまで子どもへの英語教育が「意味ない」とならないために、どういった考え方や実践を活用すればよいのか、ヒントを提示してきました。
最後に、今の子どもたちが英語に対してどのような感覚をもっているのか紹介します。そのうえで、小さいころに英語嫌いにさせないための視点や英語力を継続的に向上させるためのポイントを確認します。
英語が好きでない小学生が増えている…
文部科学省は全国学力・学習状況調査のなかで、小学6年生に英語の学習(勉強)が「好き」かどうか質問しています。その結果、「そう思わない」と「どちらかといえば、そう思わない」と答えた合計が、2013年度が23.7%であったのに対して、21年度は31.5%になったことがわかりました。つまり、英語が好きでない小学6年生が増えているのです。
2020年度の小学校高学年において英語が教科化されたことによる影響があるのでしょうか…。今までは外国語活動であった英語が教科になったとたんに、どうしても難しさを感じてしまうのかもしれません。
今は幼少期から習い事のひとつとして英会話が選択されることが多くなりました。そのなか、まったく英語に触れずに小学校から英語の授業に入るのは、子どもにとってはハードルが高く、ましてや英語の音やリズムに慣れている級友と比べて劣等感を抱きやすいと考えられます。
英語嫌いにさせないためのポイント
小学校から英語が嫌いになってしまっては、たとえば大学生までの10年間も苦しくなってしまうでしょう。なぜなら、英語は受験に欠かせない教科の一つになりつつあり、グローバル化やIT化が進むなか、どうしても英語力が将来の一指標に入ってくるためです。
せめて英語嫌いにさせることなく学習し続ける姿勢を育てなければなりません。そのためには、親御さんが以下のポイントを念頭においておきましょう。
- ポジティブな環境づくり: 興味を引き、関連付けて楽しい活動を提供する
- 練習の機会を設定: 聞く・話す・読む・書く機会を段階的に増やす
- インプット×アウトプット: バランスよく取り組む
- 目標設定と共有: 短期目標を設定し、達成感をともに味わう
- 継続的なフィードバック: 学習の成果を認め、ほめることでモチベーションアップ
上記の内容は決して新しいものではありませんが、モチベーションを高めるために役立つ方法です。子どもと一緒に英語を学ぶスタンスを保ちましょう。
子どもの発達段階に合わせて、英語を使って「どんなふうになりたいか」を会話する機会も有効です。そのためには、子どもに「どうしたいのか」たずねる場を意識的につくります。
子どもが成長した先で「英語学習は意味があった」と感じるのは、こうした取り組みのなかで達成されます。ぜひ日々の取り組みを続けていきましょう。
それでは、最後にまとめに入ります。
まとめ
「英語教育は意味ない」と思いがちな状況を乗り越えるためには、適切な考え方と教え方が必要です。英語教育は実際に効果があり、脳の発達や思考力、異なる視点を持つ能力などを育てるメリットがあります。
しかし、英語教育を意味あるものにするためには、やり方を考えたり改善したりしなければなりません。長期的な視点をもちながら、子どもが達成感を味わえる小さな目標を設定し、ポジティブなフィードバックをおこなうことでモチベーションを高めます。
また、インプットだけでなくアウトプットの機会や、聞く・話す・読む・書くの4つの要素をバランスよく育むことも大切です。そして、子どもの興味や好奇心を尊重し、楽しみながら英語を学ぶ環境を整えることが大切です。
これらの取り組みを通じて、子どもが将来にわたって英語力を高め続ける素地を養っていきましょう。
おうち英語を始める場合には、ミライコイングリッシュの英語教材もぜひご活用ください。今回の記事をときどき読み返し、子どもの英語教育を意味あるものにしていきましょう。