ネイティブな英語の先生だと思っていたら…
英語を教わるなら、やっぱり日本人で英語が得意な先生より、海外生まれで海外育ちの、外国の先生に教わった方がいいに決まってる!そう思って、わざわざ外国人の先生がいる教室を選んだのに…。意外や意外、その先生が実はネイティブでなかった!…そんなショックを経験したことってないでしょうか?
実際に、こういった経験をしたことがある人は少数派かもしれませんが「そういうこともある」という事例として、今回は是非、この知識を身につけていってください。
ところで、自然にネイティブという言葉を使ってしまっていますが、「ネイティブ」ってどういう意味?と、首をかしげてしまう人もいるかもしれないので、念の為に説明をしておきます。
ネイティブとは、その現地に元々いる人のことを指します。要するに「先住民」のことです。「ネイティブ・アメリカン」と言ったら、アメリカ大陸にもともと住んでいた先住民、インディアンのことですね。
日本人に対しては、ネイティブという表現はあまり使いませんが、ネイティブな京都人といったら、その人は生まれた時からずっと京都で育ち、京都弁を使っている人、ということになります。
最近では「デジタルネイティブ」という言葉も登場しているようです。これは、生まれた時からスマホやパソコンに触っている世代のことを指します。
「お笑いネイティブ」という言葉があるかどうかはわかりませんが、それは、生まれた時からハイレベルな笑いの文化に触れている人のことを指すのでしょう。
ネイティブ、と言ったら、通常はネイティブ・スピーカー、つまり、ある言語を母国語として幼いころから話している人、という意味です。英語のネイティブと言えば、英語を母国語として話す人、という意味になります。わたしたちは日本語のネイティブ、ということになりますね。
さて、ネイティブの意味について解説させてもらったところで、話を元に戻しましょう。
ネイティブの外国人なの!
この漫画のママさんも、意外な事実を知って衝撃を受けた一人。子供に生きた英語を身に着けてもらうためには、やはりネイティブな外国の先生に、リアルな英語を教えてもらいたいという願いがあったのでしょう。
あの先生、外国人だけど
確かネイティブじゃないって言ってたような…
しかし、 実際のところママさんが選んだ先生は、風貌こそ外国人ではあるものの、どうやらネイティブとして英語を話す先生ではないようでした。日本以外の文化のことをよく知らないママさんは、ただただビックリ。いかにも英語を話せそうな風貌の先生だったので、すっかり現地の人として、生まれた時から英語を話しているネイティブだと勘違いしてしまったようです。
(ボーゼン)
本当にネイティブな先生が一番なのか?
しかし、考えてみればこれは当然のことですよね。見た目が完全にアメリカ人でも、日本で生まれて日本で育っていれば、日本語しか話せなくなるのは当たり前。
たとえば、よしもとの芸人であるアントニーは、飲み屋さんで一人だけお通しとしてポップコーンを出されるなど、どこからどう見ても外国人の風貌なのに、生まれも育ちも完全な日本人。だからこそ日本語しか話せず、英検5級に落ちて学級新聞に載ったことがネタとなっています。
逆に、完全に日本生まれの日本育ちであったとしても、なんとなく日本語が拙い人って普通にいますよね?そもそも、ネイティブかどうかに関わらず、言語には得意、不得意があるのです。
下手な日本人に日本語を教えてもらうくらいだったら、たとえ日本人でなくてもパックンマックンのパックンに教えてもらった方が、正しい日本語を習得できるような気がするといった具合です。母国語ではない言語を外国語として後から学んだ人のほうが、ネイティブよりもその言語の語彙や文法をよく理解している、ということはありえます。
日本に長く住んでいる外国人なら、敬語もマスターしているでしょうし、ことわざをよく知っていたり、日本の文化や歴史に詳しい人もいるでしょう。ときどき、日本人である私たちが「知らなくてすみません・・・」と恥ずかしくなってしまうほど。ですから、ネイティブの方がその言語についての知識があるとは、言い切れないのです。
また、言語が得意かどうかに関わらず、人にモノゴトを教えることに関して、得意な人もいれば、不得意な人もいます。ピアノや絵画や料理だってそうでしょう。その人自身がピアノや絵画、料理が得意でも、人に教えるのが上手かどうかは別問題。スーパースターだった野球選手が引退後に監督になっても、そのチームが強くなるかと言ったらそうではないですよね。
自分は完璧にこなせるけれど、いざ人に教えるとなったら、どうやって説明していいかわからない!なんてケースはざらにあります。逆に、自分自身はそんなにできないのに、人に教えることだけは天才的に上手い人もいたりします。だからこそ、お子さんに英語を教える先生が英語のネイティブかどうかは、案外問題にならないのです。
ネイティブなアメリカ人だからといって、教えるのがうまいかどうかはわかりません。もしかしたら子どもの扱いに慣れていなくて英語を教えるどころではないかもしれません。あるいは、完璧に教える技術を習得している先生であっても、ものすごく厳しくて意地が悪かったら、その子はトラウマから英語嫌いになってしまうかもしれないわけです。特に、幼児を対象とした英語の教室では、英語を楽しく学べることがいちばん大事!そのためには、先生は幼稚園や保育園の先生のような役割も求められます。
流暢な先生に教わらないと不安?
発音があんまり上手じゃなかったり…
あったりするってこと?
ところで、この漫画のママさんは、自分の選んだ先生が、完璧な発音のネイティブな英語の先生でないことについて、急に不安を抱き始めてしまったようです。もちろん、先生として活動しているわけですから、ある程度は能力があるに決まっているのですが…。それでも、あまり綺麗な発音でなかったり、文法が時々おかしかったりするのかもしれない、なんてことを心配してしまっているようですね。
そこはあまり深く気にしなくてもいいわよ
しかし、そもそも英語圏では、様々なイントネーションの英語が飛び交っていて、個性豊かだったり、ユニークだったりするのが当たり前。たとえるなら、東京でも、関西弁を聞くことがあったり、東北弁を聞くことがあったりするのと、同じような感覚です。
時々、流暢な大阪弁を話している外国の人もいたりしますが、それは、たまたま日本語を教えてもらった時に、その先生が関西出身の人だったのでしょう。本人にしたら、ローカルな言語を話している自覚などないのかもしれませんが、それはそれで、聴いている方からしたら微笑ましいですし、ちゃんと日本語として意味は通じるので、不便に感じることも特にないでしょう。
TOEIC(国際英語コミュニケーション能力テスト)のリスニングテストでは、従来は問題文がアメリカ英語で発音されていました。ですが、2006年からはアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの5か国のナレーターによって発音されるようになりました。国際性、多様性を重視した対応ですね。
日本の英語教育はアメリカ英語の発音や綴りを勉強しますので、リスニングでもアメリカ英語がいちばん聞き取りやすい、という人が多いでしょう。でもこれからは、アメリカ英語だけにとらわれないほうがよいのです。
「何でもアメリカがスタンダード」というのは、もう時代に合わないと思いませんか?だから、英語の先生がアメリカ英語のネイティブでなくても、全然問題ないんです。むしろ、小さいころからいろいろな発音の英語に慣れておくのがベター。
それに、英語は英語圏だけで使うものではないですよね?英語が母国語でない人同士が、お互いに「英語ならしゃべれる!」から英語で会話する、ということはよくあります。英語圏の綺麗な発音、完璧な文法にそこまでこだわらなくていいのです。
優しくて、ユニークで
熱心な先生だったらそれが一番!
何より本当に大事なのは、その先生の人柄が良く、お子さんに対して熱心に向き合ってくれるかどうか。お子さんがその先生のおかげで英語大好きになることができるなら、その先生が英語のネイティブかどうかは、あまり関係のないことかもしれません。
幼い子どもたちを飽きさせずにレッスンに参加させるのはそれだけでとてもたいへんな仕事です。毎日お子さんと過ごしているパパやママなら、分かりますよね?子どもたちは一つのことに集中すると、途中で声をかけてもなかなか終わりにすることができなかったり、逆に、自分の好きでないものには全然興味を持たなかったり、すぐに飽きて別のことを始めたり。その合間にぐずる子や泣き出す子だっているかもしれません。
そんなとき、先生たちはどの子も英語を楽しく学べるように、一生懸命対応してくれるはず。あなたのお子さんが「先生が大好き!」「レッスンが楽しい!」と感じられれば、それがいちばんなのです。
ところで、海外の人が話す日本語って独特ですよね。英語圏の人が話す日本語と、中国系の人が話す日本語は、同じカタコトであっても、かなりイントネーションが違っていて、やはりその国の人の、元々の話し方が特徴として現れています。
日本人が話す英語にもきっと、独特のクセがあるのでしょう。日本人の立場からすると、どんな特徴があるのかは、感覚的に理解しがたいですが…。我々が英語や中国語なまりの日本語をモノマネすることがあるように、海外の人も日本人の独特の英語の話し方を、やはりモノマネできるのかもしれませんね。そして、きっと今なら、そういった面白い動画をYouTubeなどで簡単に探すことができるのでしょう。
もちろん、洋画や海外ドラマで聞くような英語にあこがれる気持ちも分かります。でも、「それだけが英語じゃないんだ!」と思うと、気が楽になりませんか?日本人なら多少日本語訛りの英語になってもOK。他の国の人の英語も、その国独特の訛りがあってOK。そんなふうに、おおらかにお互いを受け入れあえたらいいですね。
まとめ
さて、それではこの記事で解説してきたことを、最後に改めておさらいしていくことにします。
- 外国人の英語の先生だからといって、100%ネイティブであるとは限らない
- 気にする人は、あらかじめ確認しておく必要があるが、ネイティブではない人たちの英語も、海外では普通に飛び交っているので
、たいして気にするほどの問題ではない
英語を教えてくれる外国人の先生が、必ずしもネイティブな現地の英語を話すとは限りません。もしかしたらその先生は、見た目こそアメリカ人そのものかもしれませんが、日本生まれの日本育ちかもしれませんし、どこか全く別の国で育ち、英語とは関係のない言語を使って来た人である可能性もあります。
また、ネイティブな先生だからといって、英語を人に教えるのが上手いとは限りませんし、逆にそこまで発音が完璧でなかったとしても、人にモノゴトを教えるのが得意な先生だっています。
大事なのは、その先生との相性であり、お子さんが楽しくその先生の英語のレッスンに通えるかどうかでしょう。
もし、完璧に正しい発音の英語を学ぶことができなかったとしても、そもそも英語圏では様々なイントネーションの英語が飛び交っており、それが当たり前です。ですから、あまり先生の英語の発音やクセにとらわれ過ぎないようにしましょう。