学校の英語教育は今後大きく変化するのか?
ミライコイングリッシュでは、0歳〜6歳のお子さんをもつママさんに、英語教育に関するアンケート調査をおこなっています。今回は、「後、学校の英語教育は大きく変わると思いますか?」といったテーマでお届けします。
2020年度から小学校高学年において英語の教科化が始まりました。また、それまで総合的な学習のなかに組み込まれていた「外国語活動」が中学年から始まることとなり、全体として小学校の英語教育の強化が進んでいます。
実際にアンケート調査内容が気になりますね。大きく変わるだろうと予想するママさんはどのくらいいるのでしょうか。早速、見ていきましょう。
学校の英語教育が変わるであろうと思っているママさんは、全体のちょうど半数といった結果でした!!逆に「あまり変わらないだろう」あるいは「まったく変わらないだろう」と思っているママさんたちも半数います。
こちらのブログを読んでくださっているママさんは、どのような感想をお持ちでしょうか。まずは、「はい」と答えた方々の意見を見ていきましょう。
教育改革でどこが変わると思いますか?
「学校の英語教育改革によって何処がどう変わると思われますか?」については、シリーズで2回にわたってお届けします。その1では、「はい」と回答した人の記述内容を中心に確認していきます。
まず「外国の先生が学校に来てくれるので良くなると思う」といった意見がありました。実際に身近でそうした動きを知っていると「あ、学校も頑張っているんだなあ」と思うことでしょう。
ママさんやパパさんの子どものころは、今と違い、外国人の先生が学校に常駐していることは少なかったのではないでしょうか。もしもネイティブ講師がいるとすれば、その多くは私立の学校だったかもしれません。
今回の改革では国全体で、英語教育の環境づくりを図る体制となり、公立の学校でも外国人の講師を採用する動きが、さらに活発になることでしょう。
今までの英語教育について厳しい意見も
また、「早めに英語を学び始めるから良い」といった意見もありました。外国語だけでなく、母国語であっても赤ちゃんのころからたくさん聞いて、言語特有の音に慣れていきます。その重要性が認識されるなか、第二外国語についても「できるだけ早めに取り入れたほうが、習熟度も上がっていく」と考えられています。
今後は英語を習得するうえでの基盤である、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4領域がバランスよく組み込まれ、小学校の中学年から目標に照らした学習をしていくことになります。英単語を覚えるだけでなく、活用する力についても問われ、「生きた英語」が重要な要素として位置づけられています。
こうした変化に気づいているママさんは、早めの英語教育が提供されることに概ね賛成意見であると考えられます。
ところで紹介したように「今までの英語教育は腐敗していた」といった実に厳しい意見もありました。これまでの英語教育に対して不満や危機感を抱いていたことが伝わるメッセージですね。「やっと変わってくれた…」と安堵しているのかもしれません。
きっとこのような意見を伝えるママさんは、「おうち英語」を進めていたり「英会話スクール」を活用して早期の英語教育を取り入れたりしていることでしょう。
学校の英語教育に対して厳しい言葉もありますが、小学校から英語教育がスタートした点については、好意的に受け止められていると考えられます。
教育も紙から電子化へ
また、暗記や文法重視などが中心だった教育方法から、スピーキングやリスニングも重視される教育法に変化した点を評価しているママさんもいました。
これまでも小学校では、慣れ親しむことを主眼に、子どもたちが楽しく英語を聴いたり話したりする活動が続けられてきました。しかし、現在のように具体的な目標を基にカリキュラム編成されていたわけではありません。もちろん学校によってはしっかりと設定されていたところもあります。
さらに、IT化が進んでいる点も、英語教育のスタイルや学習法に影響を与えていると考えられます。子どもたち自身がITスキルを身につけたり、自分で学び続ける力を伸ばしたりするために、積極的にICT機器が導入され、先生方自身も効果的に活用する力が求められています。
デジタル教科書を通じて現地の子どもたちのスピーチを聞いたり、ネイティブが常駐していない学校や授業外時間(家庭など)において、子どもたちがQRコードから正しい音声を聞いて発音したりすることも可能です。タブレットを使って英単語や重要な英語フレーズを確かめる操作もおこなえるようになるでしょう。
紙媒体の教科書が中心であった時代から、IT機器を使った最先端の時代へと移行しています。ただ正直、日本はこの潮流に乗り遅れたという人もいます。「やっと、ここまで来たか」といった感想を持つ親御さんがいるのも自然なことでしょう。
さて、このほかにもさまざまな意見が書かれていました。親御さんのなかには「話せるようにまでならなくても、英語に対して抵抗感がなくなってくれたらうれしい」といった意見もありました。ちょっと控えめな感じに受け止められますが、「英語に抵抗感を持たせたくない」気持ちはわかりますよね。
もしかしたらママさんのなかには、中学時代に英語授業に苦い思い出があり、英語が嫌いになってしまった人がいるかもしれません。その人たちからすれば、「ぺらぺら話せなくても、嫌いにならないでほしい」と思うのは当然といえるでしょう。
英語が話せなければ苦手意識をすぐにもってしまいそうですが、実は英語が話せないとしても「海外に興味がある」「外国の音楽や映画は好き」であったほうが、生活や人生を豊かにできるでしょう。英語ではなく、他の言語に興味をもって学び始める機会がないともいえません。
そうしたチャンスを子どもには残しておきたい…と思う親心は理解できますね。
他国に比べて遅い導入ではあったとしても、日本にとっては画期的な教育改革だといえます。小さな一歩が大きな一歩につながると信じて、家庭でも、お子さんの英語学習をより一層サポートしていきたいと考えるママさんがいるかもしれませんね。
「まだまだこれから」という意見も
英語教育改革が成功するかどうかは、やり方次第といえます。
これまで長きにわたって、国の有識者などが協議を重ねてきており、学校現場でも少しずつですが、英語改革の波を受けてきました。
「2011年にも大きな改革があったのでは?」とコメントしていたママさんもいたように、実は2011年から小学校5、6年生に「外国語活動」が入ってきました。もっといえば、2003年に「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画」が出されました。これは5か年計画で、のちの「外国語活動」の導入、公立中高の英語教員研修、大学入試にリスニング導入、ALT増員などが含まれたものでした。
つまり、国の改革だ!と推し進めたとしても、教師や保護者、地域、子どもたち自身が、英語教育の必要性を認識し、実行に移さなければ成果も効果も実感できないまま終ってしまうのです。
日本人として英語を使う価値をどこに置くか?
実際に日本人の英語力を上げていくにはどうしたらいいのか…。ちょっと大きなテーマになりますが、少し考えてみたいと思います。
そもそも英語力を身につける必要性はあるのでしょうか。英語教育を推進するミライコイングリッシュとしては、少し勇気のいる投げかけですが、ここから考えなければ「英語力向上」といった目的は達成しにくいと考えます。
つまり「なぜ英語を学ぶ(学ばせる)のか」、その理由を明確にもつ必要があるのです。
Why do you study English?(どうして英語を学ぶの?)と聞かれた場合、お子さんは何と答えるでしょうか。たとえば次のような回答があるかもしれません。
- 先生やママからやりなさいといわれるから
- 英語は受験で必要な科目だから
- 英語を話せた方がいいから
- 英語を話せると外国人の友達と話せるから
- 英語がわかるようになると洋画を楽しめるから
- 英語を話せるとカッコいいから
- 将来海外に行って活躍したいから
- 海外旅行でも通訳なしで楽しみたいから
- 海外の大学に留学したいから
- 英語をマスターしてほかの言語も覚えたいから
このように、同じ質問であっても、多くの理由が考えられます。1番上と下のほうの回答内容とでは、モチベーションの面で異なりますね。「人に言われたから」「学校でそうなっているか」といった理由は、英語学習に対して自分事として受け止めていません。
下のほうの理由付けは、親や教師から強制されたものではありませんね。さまざまな経験や気づきを通して、自身のなかに温めて生まれた欲求だと考えられます。
やらせてみるにしても、本当に力を付けるには本人の「やる気」が必要です。さらに、やる気は、楽しさや興味、好奇心といった子ども時代に大事にしたい要素が深くかかわっています。
学校で英語教育改革がおこなわれるにしても、自宅で英語教育を始めるにしても、子どもたちが「英語を学ぶのは楽しい」「英語で話せるとうれしい」「もっとたくさんの言葉を知りたい」といったポジティブな思いを醸成することが重要です。
学校に期待する気持ちは否定しませんが、学校に任せておけばすべてOK!ともいえません。今回のアンケート質問「今後、学校の英語教育は大きく変わると思いますか?」に対して「はい」と答えた人のなかにも、自宅での英語学習サポートも必要であるといった考えの人もいるでしょう。
いずれにしても、学校教育に期待はしても「さて、親として何をすべきか?」考えることも必要ですね。
まとめ
さて、今回は学校の英語教育改革に対して、ママさんたちがどのような印象を受けているのか、探ってきました。学校の英語教育に期待していると回答した人は全体の半数でした。その数値や回答理由に対して、読者の方々はさまざまな思いを抱いたことでしょう。
その2では、「いいえ」と答えた人の理由についても探っていきます。いずれにしても、親としてお子さんの英語に対する感情やモチベーション、動機などについてご家庭でサポートできる点を探していくことも大切かと思います。
今回の記事が、お子さんの英語学習についての新たな視点を提供できたら幸いです。