こんにちは!ミライコイングリッシュ運営事務局です。
小さいお子さんがいらっしゃる親御さんのなかで、できるだけ早く英語を学ばせたいなぁと考えている方は、ぜひ本記事をお読みください。
今回の記事も、実際に子どもに英語を習わせているおうちの方に行ったアンケートをもとに、英語学習のメリットを解説します。
今回ご紹介する内容は「自宅の英語学習では、どんな工夫をしていますか」の回答に関する情報”第2弾”となります。自宅での学習方法で多かったのは、以下の順位になっています。
※詳しくお知りになりたい方は、その1をぜひお読みください。ちなみにその1でお伝えした内容は次のとおりです。
- 第1位:日常生活に英語学習を取り入れる
- 第2位:好きなものを楽しく!
- 第3位:親子で一緒にやる
- 第4位:歌に親しませる
- 第5位:リスニングを多く行う
自宅で日常的な英語学習を意識すると、子どものインプット量が増え、アウトプットへと自然につながっていきます。子どもに英語のDVDを視聴させたり、歌のCDを活用したりするのも効果があるでしょう。
しかし、英語を学ぶ楽しさやコミュニケーションの大切さに気づかせるには、子どもひとりに「させっぱなし」はよくありません。親子さんも一緒に学ぶようにしましょう!と「その1」でお伝えしました。
今回は、1~5位以外の結果を分析しながら、自宅で英語学習を進める際のポイントや注意点を解説します。
それでは、5位の次に多かった回答から解説します。
英語を自然に組み込む
英語を自然に組み込むとは、自宅においてさりげなく英語を取り入れる意味です。
自宅に英語学習を自然に組み込むとは、実際はどのようなことか、具体的に説明していきます。
自然と英語に親しめる方法として、送り迎えの車内でCD、夕方のDVD視聴、日常的なあいさつなどが思いつくでしょう。
ただ、ここで紹介するのは、少し踏み込んだ取り入れ方です。ポイントは2点あります。
- 「英語を覚える」というより「英語で考える」を意識
- 「英語は特別」の感覚から「英語が話せて当たり前」の感覚へ
2点について、さらに詳しく解説します。
「英語を覚える」から「英語で考える」へ
「自然と英語に親しめるようにする」工夫は、普通の内容のように受け取れますね。ただ、内容を吟味すると、もう少し踏み込んだ工夫だと分かります。
そうです!自宅で英語学習を行う工夫の一つとして、「英語を覚える」感覚から「英語で考える」感覚へと移行させる方法が挙げられるのです。
「英語を覚える」とは、回りくどいですが、次のような学びをイメージするでしょう。→”日本人が英単語や英文の特徴を事細かに理解し使い方を学ぶ”…。日本人が、まったく別世界のもの(英語)を理解しようと努力をする姿です。
「英語で考える」とは、「見た目も中身も日本人…。しかし、あたかも英語を母語とする人として、英語をそのまま自分の中に取り込み、表現したり考えたりする」ことといえるでしょう。
つまり、自宅においても、英語を見聞きしたり読み書きしたりするとき、英語を「難しいもの」「異質のもの」とする感覚から一旦離れるのです。スイッチ一つで「英語脳」に切り替わる状況を想定してください。
そもそも、日本語と英語は、構文が異なります。英文には、必ずといっていいほど、主語が入ってますね。しかし、日本語には、主語が省かれるケースが意外と多いと思います。
この違いを理解しつつ、「違いを感じないように」使うのが「英語脳」といえるでしょう。少しややこしいかもしれません。具体的に説明します。
たとえば、日本語の「英語を習いたいと思っているのよね」を英訳してみましょう。
- I want to learn English. (私は、英語を習いたいと思っている)
- Ken wants to learn English.(ケンは、英語を習いたいと思っている)
このように、英文に訳す場合は、Subject(主語)が必ず入ります。また、S(主語)に応じて述語にあたるVerb(動詞)も変化するのです。
日本語では、「話の流れで、双方が”誰”のことか分かっているときは、主語が省かれる」場合があり、しかも「思っているか、思っていないかの結論(述語)は最後に来る」構造となっているのです。
この事実を、「日本語と英語はまったく違うのね」と受け止めるのは普通でしょう。ただし、違いを受け止めたあとに「やっぱり英語は難しい」となれば、おそらくずっと「英語を覚える」感覚から抜け出せないかもしれません。
しかし、「なるほど、だったら英語脳スイッチが必要ね」となれば、自然と英語を”英語で”で捉えて考える習慣が身につくでしょう。
たとえば、家庭で英語を話すときに、「家に来るよ」と子どもが話したときは、Who?と聞き返し、Taka and Ken come here!と表現させます。「寝るわよ」のときには、I will…なのかYou must…なのかを明確にするなどしてみましょう。
「自宅で英語学習」とはいえ、あまり力まず「英語で考える」と親が意識するだけで構いません。意識すれば、子どもへの対応の仕方も少しずつ変わってくると思います。
「英語は特別」から「英語が話せて当たり前」へ
「英語を覚える」から「英語で考える」ようになると、少しずつ英語に対する特別感がなくなってくるかもしれません。
あるいは、「英語を覚える」や「英語で考える」とわざわざ受け取らなくても「私は英語話者」と決め込んでしまうのも効果があるでしょう。
タレントのDさんが、テレビの企画で、異郷の地であれ、初対面であれ、猛烈に英語アタックしたのを覚えている方もいるでしょう。Dさんの姿は「英語は理屈でもなんでもない、とにかくチャレンジ!」と思えるものでしたね。
片言であっても、その場の雰囲気に溶け込み、感覚的に身につけたジェスチャーでネイティブとコミュニケーションがとれれば、既に英語話者。こう捉えるのも、英語を楽しみながら使えるコツといえます。
たしかに、英単語や熟語、文法などの基礎的な知識を身につけるのは大切です。しかし、「とにかく覚えるべし」「英語は難しいから学び続けるべし」のようなプレッシャーを、自分や子どもに与えるのは逆効果でしょう。
それよりも、「まずは英語を楽しもう」「片言だけど、コミュニケーションは取れるわ」「既に発音はパーフェクト」など、ポジティブに前進した方が、吸収力が高まると考えられます。
好きこそものの上手なれ。まずは、自宅でも英語話者になりきって、英語を聴いたり話したりすることが楽しくて仕方がない!と思える雰囲気づくりを心がけましょう。
いろいろな人が話す英語に触れさせる
できるだけ、できるだけ人と話す場や時間を設定するのも、家庭でできる英語学習の工夫といえます。英語に対する抵抗感を軽減し、当たり前に英語を話せるようになるきっかけになるためです。
ここでは、「いろいろな人が話す英語に触れさせる」ことについて、方法や効果などを、2つに分けて解説します。
- 英語に触れる体験活動に参加する
- 英語の多様な話し方に触れさせる
英語に触れる体験活動に参加する
たとえば、自宅で親子、教室で先生や友達だけでなく、ネイティブとふれ合えるイベントなどに参加すると効果的でしょう。
公的機関が主催するふれあいの場や、イングリッシュキャンプなどのほか、インターネットで検索すると、全国各地で行われる国際交流の場が多数紹介されています。
英語だけでなく、多言語での交流活動、異国籍の人々とのゲーム体験、英語で日本文化を紹介しあうイベントなど、実に多様で興味深い活動ばかりです。
親御さんのなかには、お子さんにイベントに参加させて、自分は買い物…という方がいるかもしれません。恥ずかしがりやさんの場合、初めての場所に自分ひとりで参加するのは不安が大きいでしょう。
できるだけ、親子そろって参加し、お子さんと一緒に楽しむようにします。子どもは、親がいることで安心し「自分から話してみようかな」と挑戦するでしょう。また、親は子どもの様子を観察できるため、子どもが何に興味をもち得意なのかも見えてきます。
英語の多様な話し方に触れさせる
英語の多様な話し方とは、英語話者の多様性とつながります。英語の発音を例に挙げてみます。
イギリス人とアメリカ人とでは、発音の仕方が違います。次の表を参考にしてください。
イギリス | アメリカ | |
rの音 | carやpartのrの音は、基本的に舌を巻くことなく(あるいは抑え気味に)発音。carは「カ」 | rの音を意識し、エッジを聞かせて発音。carは「カーr」 |
tの音 | waterやbetterのtの音は、少し息を止める感じでtと発音。waterは「ウォタ」 | waterのtが「ラ」に近い音に変化。waterは「ワラ」に類似 |
※waterのa | waterのaの音は、口をすぼめた暗めの「オ」の音 | waterのaはどちらかといえば「ァ」の音 |
※tomato | tomatoのaの音は、「エィ」の音となり、全体で「トメィト」 | tomatoのaの音は「アー」の音となり、全体で「トマ₋ト」 |
英会話教室にも、出身地によって微妙に異なる発音をする先生がいます。アメリカ英語がいいからアメリカ人、と選ぶ親御さんもなかにはいるかもしれませんね。
しかし、こうした選択は意味がなく、お子さんに偏った見方を植えつけることになるでしょう。しかもアメリカ人だからといって、アメリカンイングリッシュとは限りません。
アメリカ人でも、ご両親がスペイン人ならば、スペイン語なまりの英語であって自然でしょう。インド人も英語が堪能ですが、アメリカ人やイギリス人の話す英語より、聞き取りやすいと感じる方もいます。
発音の違いは、日本でいう方言のようなもので、何が正解とはいえないのです。発音の仕方も一つの個性と捉え、「〇〇でなくてはならない」と決めつけないようにしましょう。
では、ネイティブのような正しい発音とは何か?と思いますよね。結局、ネイティブというネイティブはいないのかもしれません。英語は世界共通語で、さまざまな国でさまざまな人に話されている言語です。
偏った狭い見方で英語を捉えるのは、時代遅れでしょう。柔軟かつ広い視野で物事を見たり考えたりするために、いろいろな発音の仕方に触れる機会を子どもに与えるのは、グローバル社会に生きるためのコツかもしれません。
【補足】発音だけでなく、つづり方もイギリス英語とアメリカ英語では、異なる場合があります。たとえば、アメリカ式のcenterはイギリス式ではcentre、アメリカ式でfavoriteがイギリス式ではfavourite…などです。
まんべんなく英語に触れさせる
「まんべんなく英語に触れさせる」とは、英語の4つのスキルを統合的に学ばせる意味です。
英語の4つの技能を切り離して考えるより、統合的に育てる方が、英語の習得が進むと考えられています。
ここで、少し古い調査ですが、インターネットの上位に挙げられている文部科学省の調査(平成29年度 英語力調査~中学3年生・高校3年生~)を紹介しましょう。
調査によれば、中学3年生では、リスニングとリーディング、高校3年生ではスピーキングとライティングに課題があることが分かりました。
そして、分析によれば、「聞いたり読んだりしたことについてメモをとる」「得た内容の感想や賛否、理由を話したり書いたりする」など、統合的な言語活動をしている学校の方が、スピーキングやライティングのほか、リスニングやリーディングの得点も高いことが分かったのです。
中高生の様相をすべて、小さい子どもに当てはめられないかもしれません。ただ、一昔前の英語教育が、どちらかといえば「読み書き」に特化されたもので、結果的に「聞く・話す力」を育成しきれなかったとすれば、統合的に学ぶ必要性や価値については、お分かりいただけるでしょう。
そうなのです。「大量のインプットがなければ、アウトプットにつながりにくい」を、「インプットを集中的にやるのが先で、アウトプットはその後で…」のように解釈すると、もしかしたら英語学習の効果を感じにくいかもしれません。
アメリカの第二言語習得研究者、マイケル・H・ロング氏は「インタラクション仮説(相互交流仮説)」を唱え、インプットの効果は学習者が「negotiate for meaning(意味の交渉)」を通して促進される、としました。
つまり、インタラクション仮説とは、face to face(対面)で話をする中で、意志の疎通ができない場合は、別の言葉に言い換えたり、話す速度をゆるめたりして理解しようとすることを指します。
アウトプットするにも”インプットが重要である”のは確かです。しかし、インプットとアウトプットを切り離すのではなく、連動させて英語力が向上すると捉えた方がいいでしょう。
アンケートの回答にあったように、自宅で親子のコミュニケーションの場を設定し、自然に文字が目に入るように工夫するのは、有効であると考えられます。
あえて日本語に置き換えない
「あえて日本語に置き換えない」とは、「英語を覚える」のではなく「英語で考える」に似ていますね。
英語を日本語に訳す、日本語を英語に訳す、のように、理解するためには「訳す」ことが必要になるでしょう。ただ、学習の子どもの英語力を向上させたい場合は、「訳す」ことから一旦離れた方がいいかもしれません。
なぜなら、訳すのは、いつまでたっても英語と日本語は異なるモノ…と認識してしまうためです。確かに異なるモノですが、異物だと認識しすぎる弊害もあります。いちいち訳さないと理解できないのは、時間的にも労力的にもロスになるでしょう。
それよりも、英語の意味は、英語で考えるとした方が、英語学習の効果を上げられます。
子どもから質問を受けた時に、英語で説明する?と聞いて、「それも難しそう」と感じる方もいるでしょう。たとえば、次の親子の会話を参考にしてください。
このように、クイズ形式で、子どもが知っている英語を使ってヒントを与えると、子どもの「英語脳」の育成にプラスになるでしょう。親御さんが、どうしても思い出せない英単語があっても、お子さんがサポートしてくれるかもしれません。
ハードルが高い工夫の一つになりますが、英語を英語で説明したり理解したりする場の設定は、「英語で考える」子どもに一歩でも二歩でも近づけるでしょう。
動作を交えて英語を学習する
さて、最後になりました。「動作を交えて英語を学習する」とは、脳のしくみから解説できます。
実は、「記憶」と「動作」は連動しており、理解や技能を高めるといわれています。
実は、人間の記憶には、頭で覚える「陳述的記憶」と身体で覚える「手続き記憶」の2つあるといわれます。陳述的記憶は、新しい漢字を覚えたり、公式や年号を覚えたりする記憶です。ある程度は復習しないと、簡単に忘れてしまうでしょう。
これに対して、手続き記憶は、自転車(自動車)の乗り方や泳ぎ方などを覚える記憶です。一度覚えると忘れず、長期間泳がないとしても、身体が覚えて泳げる経験はありますよね。
脳科学者によれば、両方とも脳を使って記憶するのは同じですが、そのプロセスが異なっているそうです。
いずれにしても、stand、sit、walkなどの単語を実際の動作を使って覚えるように、単語やフレーズを覚えるときは、身体を使って会話する方法を取り入れるといいかもしれません。
親子でジェスチャーを交えて会話する場をつくるのも、なんだか楽しそうですね。
まとめ
今回は、自宅で行う英語学習の工夫の第2弾をお伝えしました。いかがでしたでしょうか。
自宅で実践するにはハードルが高いと感じられたかもしれません。ただ、これらを全部やらなきゃ!と肩に力を入れる必要はないのです。親御さん自身が意識したり、実際にできそうなことから始めたりしましょう。
大切なのは、なんでも挑戦!やってみること。最初からうまくいく人はいなくて当然!と思っていた方がいいでしょう。ほかの家庭ではOKでも、うちではよくない、こともあります。
ヒントや情報を取り入れたら、まずはやってみることです。そのなかで、もっと良い方法や改善点が見えてくるかもしれません。大切なのは「やってみたいな」「面白そうだな」という思いと実際の行動です。
そして、なにより楽しみながら英語学習を続けていくこと。親子で負担感を抱くような方法はよくありません。「〇〇すべき」という感情からは解放されて、英語を学習するのが一番です!
今回の記事内容を参考に、ご自宅で、できそうなところからスタートしてみましょう。