はじめに
お子さんの将来を考える際、英語力はもちろん多様な見方や考え方ができるように、インターナショナルスクールに通わせたいと思うママさんもいることでしょう。
しかし、具体的な話になったとき「やっぱり、インターナショナルスクールって学費が高そう、やっぱりウチは難しいわ」と思い、あきらめてしまうご家庭も少なくないと思います。
今回は、インターナショナルスクールの学費の相場を紹介するとともに、学費の内訳、費用を抑える方法などについて紹介します。また、お子さんにとって価値ある教育機会を提供するポイントなどについて解説します。
なお、今回はインターナショナルプリスクール(幼稚園)ではなく、小学校以降のスクールに関する情報が主になりますので、ご承知おきください。
インターナショナルスクールの学費相場
インターナショナルスクールの学費については「高い」といったイメージをお持ちでしょう。一般的にいわれる相場は、150万から200万、場合によっては300万円の間で変動します。
たとえば東京では、小学校から高校までの年間における学費は、約200万円から250万円程度とされています。小学校では、本章の後で詳説しますが、入学金や授業料、施設使用料、教材費などが含まれ、年間で200万円以上かかることが一般的です。
また、学校の運営母体により、あるいは都市か地方かによって学費の相場に差があります。東京と横浜にあるインド系のインターナショナルスクール(小学校)の学費は、60万円〜と比較的安く設定されています。
このほかに、海外の大学への留学を目的として通学2年コースを設定しているスクールもあります。この場合、入学金と合わせて2年間で200万円程度です。
なお、中学校や高校も同様の学費がかかりますが、高校の場合は、入学金が比較的低い傾向があります(ただし、人気のある学校やより高品質な教育を提供する学校では、学費が250万前後になることもあります)。
このように、地域や学校、学習方法などによって学費が大きく異なる点を考慮し、目的や予算に合う学校を選択することが重要です。
インターナショナルスクールの学費に含まれる項目や内容
インターナショナルスクールの学費には、志願するときや入学時、在学中のタイミングで、さまざまな費目や内容が含まれています。以下にその内訳を詳しく解説します。
志願時の費用
志願料は、願書を提出する際に納めるもので、インターナショナルスクールによって異なります。約2万円から5万円程度かかるのが一般的です。
また、入学前にプリスクール(幼稚園)に通わせるとなれば、プリスクールの学費も考慮しなければなりません。
入学時の費用
インターナショナルスクールに入学する際には、入学金や授業料、教材費、施設使用料などが含まれます。入学時の費用は一括で支払うことがあるため、事前に確認が必要です。以下は入学時の費用の目安です。
- 入学金:20万円~50万円程度
- 授業料:100万円~280万円程度
- 施設使用料:20万円~50万円
- 教材費:20万円~50万円程度
- 保護者会費:2万円~10万円程度
上記のなかでも、とくに授業料は、スクールによって差が大きい点を承知しておきましょう。
在学中の費用
在学中も、毎年かなりの費用がかかります。まずは必ず発生する授業料です。授業料は学年に応じて金額が変動する場合があり、通常は学期ごとあるいは半年分ずつ収めることがあります。さらに、スクールバスの利用料や、給食費などもかかる場合があります。
- 授業料:100万~280万円程度
- スクールバス代:10万~30万円程度(月額)
- 給食費:1万円~3万円程度(月額)
インターナショナルスクールの特徴として、海外研修への渡航費用がかかる点も考慮しましょう。さまざまな国際イベントや学校行事にも費用が必要な場合があるため、これらの費用を含めると、小学校6年間にかかる費用が1000万円を超えることもあります。
さらに、推奨される試験の受検料、サマースクールやキャンプ代、寄附金なども含まれる場合があります。以上のような費用は学校によって異なるため、詳細は入学案内や学校情報を確認することが重要です。
インターナショナルスクールに通う際には、授業料以外の必要経費を詳細に把握し、予算に合う選択をすることが大切です。
インターナショナルスクールの学費が高い理由
インターナショナルスクールの学費が高い理由は、いくつかあります。
※学費が高い背景を知ることは、インターナショナルスクールの特徴やメリットを把握する機会となります。ここで確認してみましょう。
教育の質を維持するために必要
インターナショナルスクールの学費が高い主な理由の一つは、高品質な教育の提供を維持するためです。高品質の教育は、以下の要因から高い経費がかかることがあります。
- 優秀な人材の採用
- 最新の教育技術や設備の導入
- 国際的なカリキュラムと認定
- 小規模・少人数クラス
- 税制上の制約
インターナショナルスクールは、ネイティブレベルの英語教育を提供するとともに、国際的なカリキュラムを取り入れているため、高度な教育スキルをもつ教員を採用しなければなりません。このようなレベルの教員は高い給与が求められる傾向にあり、その一環として学費が高くなると考えられます。
高品質な教育を提供するためには時代に合わせたグレードアップが必要です。最新の教育技術や専門的な設備などを整え、子どもたちに多様な教育を施すためには、多額の費用がかかります。さらに、インターナショナルスクールの人気に伴い、競争が激化しているのも事実です。このなかで、質を維持することに加えて追加資金も必要となり、学費の上昇につながっています。
インターナショナルスクールによっては、国際バカロレア(IB)やケンブリッジカリキュラムなど、(国際的に認可された教育課程に基づいた教育をおこなっています。カリキュラムのライセンスや認定にはコストがかかるとされます。独自カリキュラムを持っている場合は、その提供に必要な教材開発や更新も必要です。
また、インターナショナルスクールの特徴として、小規模クラス制があります。クラスの規模を小さくすることで、個別のサポートが可能になり、個々に応じた教育を施せるためです。
高品質な教育を目的とすれば、教員の数を増やしたり、クラスの規模を小さく保ったりする必要があります。つまり、教員数の確保やクラス数の増加などに伴い、学費が高くなると考えられます。
5つ目は税制上の制約があることです。インターナショナルスクールは、国からの補助金や税制面での優遇措置を受けられない場合があります。このため、学校運営のすべての費用を学費からまかなう必要があり、高額な学費の一因となっています。
インターナショナルスクールの学費が高い背景についてわかったうえで、「やはりインターナショナルスクールをあきらめたくないわ…」と考える親子もいると思います。
そこで、次章ではインターナショナルスクールの学費等、費用を抑える方法について紹介します。
費用を軽減する方法はあるの?
インターナショナルスクールの学費は高額であるため、多くの親御さんは学費負担について悩むことでしょう。しかし、費用を抑える方法を知っておけば、インターナショナルスクールに通うのは不可能ではないと感じるかもしれません。
ここでは、インターナショナルスクールに通う場合、費用の軽減方法について紹介します。
奨学金を利用する
インターナショナルスクールのなかには、奨学金制度を提供するところがあります。奨学金制度は、経済的に困難な状況にある生徒や家庭に、学費のすべて、あるいは一部が補助される制度です。学業成績やスポーツ技能が優秀な生徒や特定条件を満たす生徒も、奨学金の対象となる場合があります。
インターナショナルスクールによっては、複数の奨学金制度を提供しているところもあり、候補に挙げられるスクール情報の詳細を調べることをおすすめします。
きょうだい割引を活用する
兄弟姉妹がいる場合は、「きょうだい割」の利用も可能です。たとえば、第2子は10%割引、第3子以降は15〜20%割引のように設定されています。なかには、第3子以降は授業料半額、バス代も25%割引のスクールもあります。
学校によって対象や割引率は異なるため、こちらもスクール情報を詳細に把握する必要があるでしょう。
「きょうだい割」の制度を利用すれば、年間で数十万円の費用軽減が可能です。しかし、学校の裁量によって変更される場合がある点と、依然として高額であるのに変わりない点は、ご承知おきください。
「きょうだい割」の制度を利用するか決める際には、家計や教育目標を総合的に考慮して判断しましょう。
バス代や給食代を節約する
学費を節約するのは難しくても、スクールバス代や食事代を抑えるのは比較的やりやすい方法です。スクールバスで通う必要のない近くの学校を選んだり、給食の代わりにお弁当を持たせたりすることが考えられます。
インターナショナルスクールの場所や方法を考慮する
インターナショナルスクールで学ぶ方法には、通学制と通信制の両方があり、通信制のほうが費用負担を抑えられるでしょう。また、一概にいえませんが、地方のほうが安い傾向にあります。
独自のカリキュラムと将来に生かせる要素が高く、どうしても「〇〇インターナショナルスクールじゃなきゃダメ」といった場合は、選択肢が狭まります。しかし「グローバルな視点や英語力、総合的な力などを育ててもらえれば良い」と考える場合は、選ぶ範囲が広がりそうです。
このように、学校を選定する際は、教育目標や予算とのバランスを考えつつ、「通いやすいスクールか」「子どもに合う教育方法か」など、総合的に判断して選ぶようにしましょう。
インターナショナルスクールに通わせて後悔しないためには?
インターナショナルスクールに通うのは、子ども自身です。子どもが伸び伸びとスクール生活を楽しめれば何よりですが、親自身の覚悟や気持ちがマイナス的では、やはり子どもに影響を与えてしまうでしょう。
実際に通うのは子どもであっても、通わせる親自身の姿勢が重要なポイントとなります。WebサイトやSNS上で見られる声や口コミなどを参考にしながら、以下のように「インターナショナルスクールに通わせて後悔しないためのポイント」をまとめてみました。
- インターナショナルスクール卒業後を見ている
- 海外留学やグローバルな就職を描いている
- ダブルリミテッド対策など家庭でしっかりフォローできる
- 学費に対する負担感がほぼない
- 保護者との付き合いもスムーズにおこなえる
WebやSNS上では「インターナショナルスクールに通っていれば英語ができたのに~」といった意味で後悔している人もいますが、実際に通ったり通わせたりした経験のある人が後悔している声もあります。
たとえば、日本語も英語も中途半端で、必要なときに日本語で返せないつらさを感じている人もいれば、人間関係で苦労した…といった声もあります。また、保護者のなかには「自分はそもそも英語が苦手…面接はもちろん、他の保護者とやり取りする際に大変だった」と吐露している人もいました。
日本語力が身につかないまま成長したらどうなるでしょうか…。インターナショナルスクール卒業後に日本の学校や大学へ通う場合、あるいは受験する際に実際の学業や人付き合いに苦労するケースもあるようです。
インターナショナルスクールに通う前に、ちょっと耳をふさぎたくなるネガティブな声にも耳を傾ける必要があると思います。そのうえで、上記で紹介した「後悔しないためのポイント」を参考にして客観的に考え、子どもにとっても親にとっても、最良の決断をするようにしましょう。
各家庭やお子さんの個性に合わせて、そして将来を見据えながらベスト、あるいはベターな教育計画を立ててみましょう。
さて、次の章では、オンラインインターナショナルスクールについて紹介します。インターナショナルスクールに通わせたくても、予算的に難しい場合の一つの策として紹介します。
オンラインインターナショナルスクールとは?
インターナショナルスクールといっても、アフタースクールのようなスタイルもあれば、2年制、あるいはオンラインを活用したスクールなどさまざまな形態があります。
そのなかで、オンラインインターナショナルスクールの特徴を紹介します。なお、今回お伝えするような特徴をもつスクールばかりではないため、WebサイトやSNSなどを通じて、さまざまな情報を集めてみてくださいね。
- 自宅から授業を受けられる
- 国際機関から認定を受けたカリキュラム
- ネイティブスピーカーの先生による英語の授業
- 自分のペースで興味のある科目を選択できる
オンラインインターナショナルスクールのなかには、小学生や中学生、高校生向けのコースがあり、海外留学のための短期コースも提供しています。Eラーニングツールの利用料は年間使い放題で2万円ほどです。
予算やライフスタイル、目的を重視しながら、選択肢の一つに入れることも考えられます。
子どもの将来に向けた選択肢
親として、子どもの将来を真剣に考えることは当然です。その際、お子さんの個性や可能性を十分に理解し、将来の進路やキャリアについて検討しましょう。
以下より、親が子どもの進路を考える際の重要なポイントについて解説します。
子どもの個性を把握
子どもの将来を考える際、お子さんの個性をしっかりと把握することが大切です。親の期待や願望ではなく、子ども自身がどのような特性や興味をもっているのか理解しましょう。
お子さんが何に情熱を傾け、どの分野で才能を発揮できるのかを見極めるのは、将来の選択肢を考えるスタート地点といえます。
目的を明確にする
お子さんの将来に向けて「なぜ、インターナショナルスクールような特定の学校や教育方法を選びたいのか」、その目的を明確にしましょう。
あえていうならば、インターナショナルスクールに通わせることが目的ではなく、お子さんが将来達成したい夢が目的だと立ち返る必要があります。お子さんの発達段階に合わせて、その都度「どのような教育環境が最適か」を考え、その目的に向かって行動しましょう。
賢い選択をする
賢い選択とは、子どもたちの将来を考える際、目的に合った教育環境を選ぶことを指します。
インターナショナルスクールは素晴らしい選択肢の一つですが、必ずしも唯一の正解ではありません。他の学校や教育プログラムも同様に検討する柔軟さも必要です。
学費についても、目的に合った最適な選択をするための一要素ととらえましょう。
最終的な目的は、お子さんが主体的に考えたり行動したりして、人生をみずから切り拓いていく大人になることだとすれば…、親御さんは、子どもが自己表現したり挑戦したりできるように、適切な方法や環境提供を通じて育てていく必要があります。
学校や教育プログラムはその手段であり、目的を実現するための一部と捉える姿勢も重要でしょう。
子どもの将来に向けた選択肢は多岐にわたります。お子さんの個性と可能性を最大限に活かすために、目的を明確にし、最良の教育環境を見つけましょう。
まとめ
今回の記事は、インターナショナルスクールに通わせたいけど学費が心配になる方に向けた記事でしたが、いかがでしたか。
子どもの未来、将来の夢を実現するには、親として何ができるか考えるのは大切です。その際、親の希望や願望が優先され、子どもが置き去りになることだけは避けたいですよね。
お子さんに適した教育環境とはどういうものか、今一度考え、最善の判断をおこなうようにしましょう。教育投資は、目的や計画性、実行性が伴ってこそ、ベストな成果をもたらします。
本記事が、お子さんの将来を成功に導くための一つの参考にしていただけたら幸いです。