こんにちは!ミライコイングリッシュ運営事務局です。
「予測不可能な時代を生きる子どもに英語を学ばせたい」
「でも、AI児童翻訳機能が発達してるから本当は英語教育は必要ないのかも」
このような悩みをもっている親御さんはいるでしょう。AI自動翻訳機能があまり発達していなかったときは、「英語教育は絶対させた方がいい」という風潮が主体でした。
「グローバル化にともない、世界の共通語である英語が話せた方が優位だろう」と思い、幼児期から英語を習わせる親御さんが多いのではないでしょうか。
しかし、最近ではその流れが変わってきています。背景には、AIによる自動翻訳機能の発達があります。
最初に結論をお伝えすると、自動翻訳機能が発達したとはいえ、英語を学ぶ必要性は変わりません。今回はこの理由やこれから英語学習を進めるにあたって、どのような点を意識したらよいのかを解説します。
まず現在使われているAI自動翻訳機能や翻訳機能を使うメリット&デメリットを紹介します。自動翻訳機能との付き合い方や未来に活かせる英語力についても解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
最近のAI自動翻訳機能
AI翻訳・自動翻訳機能とは、コンピュータによって”ある言語をほかの言語に変換する”機能を指します。こうした機械翻訳に、人間の知能を模倣した学習を行うAI翻訳が登場したことで、翻訳の精度は各段に上がりました。
最近の自動翻訳では、文章の意味をしっかり理解し自然な文体での翻訳が可能になっています。ここでは3つの無料サービスを紹介します。
- Google翻訳
- DeepL
- Weblio翻訳
Google翻訳は、親御さんのなかでも実際に使っていらっしゃる方が多いでしょう。2016年ごろから精度が飛躍的に向上しました。膨大な情報データをもとにAIが学習する手法をとっているため、Google翻訳は使用者の意図する翻訳に近くなっています。
DeepLは、2017年にリリースされた翻訳サービスで、日本語訳は2020年からスタートしました。DeepLhaGoogle翻訳を超えたとも言われており、より自然な日本語訳を可能にしています。
Weblio翻訳では、1つの検索につき複数の訳し方が提示される場合があります。また原文にある単語を抽出し意味解説する機能もあり、学習を深める際に適しているでしょう。
このほかにも多くの自動翻訳ツールが展開されています。目的や用途に応じて翻訳機能ツールを使い分ける力もこれから必要になるでしょう。
いずれにしても、自動翻訳の発達により「もしかしたら英語力って必要ない?」「英検1級レベルまでスキルを高めることは無駄?」と思ってしまいますよね。次章で、自動翻訳と英語学習の必要性について解説します。
自動翻訳で英語学習が必要なくなる?
最初に結論をお伝えすれば、自動翻訳によって英語学習が必要なくなることは”ありません”。その理由として、人間とAIが根本的に異なる点が挙げられます。
確かにAI学習の進化にともない、翻訳だけでなく私たちの生活はより便利に豊かになりました。AIがまるで人間のように考え結論を出す力を発揮するのであれば、人間すらいらなくなってしまう?と心配にもなりますよね。
「子どもに英語学習をさせるのは、実は時間の無駄なのかしら?」と思ってしまうのは無理もありません。
「本サイトでも早期からの英語教育をすすめているのに、英語教育のメリットはあるの?どうなの?」と質問されて当然でしょう。
しかし、やはり「自動翻訳が今後飛躍的に発達したとしても、子どもに英語学習は必要です」とお答えしたいのです。スマートフォンで手軽に翻訳通訳してくれるツールがあったとしても…です。
このイラストのように考えている親御さんがいるかもしれませんが、それでも…
やっぱり最後は「人間」!そう考える理由を順に解説していきます。
そもそも言語の本質とは
そもそも言語の本質とは何でしょうか。
言語の本質を考える場合「私たちがなぜ言葉を使うのか?」ととらえるといいでしょう。人間が言葉を使うのは、人間が自分の感情や考えを伝えたり相手の話す内容を理解したりするために必要であるためです。
お腹が痛いとき、詳細を伝えられないと間違った診断を受けるかもしれません。あるいは、レストランで顧客が肉が欲しいと言っているのに、魚と解釈して提供すればトラブルを招くでしょう。
このように、人間が生きるためにはすべて一人でまななうのは難しく、他社と交渉しながら生活を維持していく必要があります。やり取りには言葉が必要であるのはもうお分かりですよね。
英語や日本語などの言語が、コミュニケーションの手段であるとされるのはこうした理由があります。
ただ、言語の本質はこれだけでしょうか。実はもう一つ考えられるのです。フランスの言語学者ソシュールの有名な言葉に「言葉とは、ものの名前ではない」というものがあります。
なかなか簡単に解き明かせない言葉ですが「ものがあるから言葉があるのではなく、言葉があって、ものが存在する」と訳せるでしょう。
たとえば「ミカンが袋に入っているよ」と人に言われたとします。Aさんは「1つのミカンが小さい袋に入っている」とイメージしてもBさんは「たくさんのミカンが紙袋に入っている」と考えるかもしれません。
これは、見ていればAさんもBさんも同じような言葉を使うでしょうが、見ていない状態では「その人がもつ世界観や概念」が優先されるといえるでしょう。つまり、「言葉があってものがある」ケースといえます。
自動翻訳のメリットとデメリットとは?
言語の本質が「他者と円滑にコミュニケーションを行うための手段」「言語を使う人そのもの、あるいは生きる証(目的)」と今回はまとめました。
本章では、人間の使う言葉をAIで自動翻訳するメリットとデメリットを解説します。まずはメリットから確認しましょう。
自動翻訳のメリットその1:誰でも手軽に訳せる
自動翻訳のメリットの1つめは、なんといっても手軽さでしょう。ツールやアプリを扱える年齢になれば、誰もが気軽に訳せます。日本語から英語、英語から日本語の双方向だけでなく、多様な言語の翻訳も自在にできるのです。
また、スマートフォンで音声翻訳が可能であるため、いつでもどこでも手軽にネイティブともやり取りができます。「どうしたらいいか分からない!話せない!」と感じる場面を減らせるでしょう。しかも通訳を介さなくても無料でできる点もメリットです。
自動翻訳のメリットその2:いつでもスピーディに訳せる
自動翻訳は、あらゆる場面でスピーディに訳してくれるため大変便利です。外国人とのやり取りに欠かせないツールといえるでしょう。
一般人が日常的に使うことも可能ですが、観光やビジネスのシーンなどでは、瞬時に翻訳が必要な場合があります。この際、誤った翻訳がされたとしても表情やジェスチャーなどで「そうです」「ちがいます」の反応を示せば、トラブルやリスクを軽減できるでしょう。
自動翻訳のデメリットその1:非言語コミュニケーションは難しい
人とやり取りする場合、私たちは非言語コミュニケーションを使います。非言語情報を使うことで、コミュニケーションをより豊かにしているといえるでしょう。しかし自動翻訳では、この微妙な表現方法を使うことが難しいため、やり取りに支障をきたす場合があります。
ところで非言語コミュニケーションとは、五感的要素を用いたコミュニケ―ションを指します。たとえば次のような例が挙げられます。
- 視覚:表情、口元、まばたき、眉間のしわ、視線など
- 聴覚:声のトーン、話すスピード、音質、タイミング、癖など
- 嗅覚:匂いなど
- 身体:うなずき、ジェスチャー、しぐさ、呼吸など
言葉以外のこうした情報を目にしたり耳にしたりすることで、コミュニケーションが成り立っている場合が多いのです。
自動翻訳ツールを使って外国人とやり取りする場合、非言語コミュニケーションの要素をまったく加味しないとすれば、交流の質を高めるのは難しいでしょう。理由は、その人が醸し出す雰囲気がプラスされて、相手に好感をもってもらえるケースがあるためです。
このほかに、該当言語を使う人々に特有の文化がある点も忘れてはなりません。たとえば、日本人は、相手にいきなり話しかけたりせず「前置き」をしてから話す場面が多いでしょう。
「あの~、ちょっと伺ってよろしいでしょうか…」「〇〇の件なのですが実は、少し良からぬ状況に陥りまして…」などです。本音はすぐにでも本題に入りたいのに、相手の状況や本意が気になり、回りくどい言い方で始めてしまうケースです。
この”前置き”を自動翻訳ツールを使いながら外国人に話したらどうなるでしょうか。英語圏の人は最後まではっきりと伝えるスタイルやスピーディなやり取りを求めるため、きっとイライラしてしまうでしょう。
つまり、意思疎通できるコミュニケーションには、人間だけが使える非言語コミュニケーションやそれぞれの文化・価値観が反映されているのです。
確かに自動翻訳ツールだけでコミュニケーションが円滑に進む場合もあります。しかし、正しく理解したり互いのよさを感じ合ったりするには、言葉の話し方やマナーを知り、より適した言葉を選ぶことも必要でしょう。
自動翻訳のデメリットその2:自然な言葉や文章に訳せない場合がある
AIは気づかなくても、人間が読めば違和感を覚える訳し方はあります。いつも正しいはずのAIがなぜ間違えるかといえば、AIが学習した人間の言葉やコミュニケーション自体に、多くのミスが含まれており日々変わりやすいためでしょう。
たとえば、モハメド・アリの名言にDon’t count the days. Make the days count.があります。「1日1日を無駄に消費せず、毎日を価値あるものにせよ」が正しい解釈なのですが、自動翻訳ツールを使うと次のように訳されます。
Google翻訳 | 日を数えるのではなく、日を数える |
---|---|
DeepL | 日数を数えるのではなく、日数を大切にしよう ・日々を数えるのではなく、日々を大切にする。 ・日々を数えるのではなく、日々を大切にすること。 ・日数を数えるのではなく、日々を大切にする |
特徴 | 日を数えないで、日を数えさせます ・日を数えないでください、日を数えさせてください。 |
上記から、違和感のある訳し方があるのがお分かりでしょう。単語の意味をつなげているだけのものもあります。本来の解釈に近い訳し方をしているのはDeepL(日数を数えるのではなく、日々を大切にする)かもしれません。
コンピュータに任せっぱなしにしては、自然な訳し方ができないのです。AI翻訳の精度は上がっていくことが予想されますが、人間が正しく意図を解釈できる力をもっていなければ、間違った解釈をよし!としてしまうリスクがあります。
自動翻訳では伝えきれない「気持ち」
紹介したように、自動翻訳にはメリットやデメリットがあります。デメリットについては「非言語コミュニケーションが難しい」「自然な言葉や文章に訳せない場合がある」の2点を挙げました。
自動翻訳では伝えきれないものがあり、それは話し手や聞き手の「気持ち」が含まれるでしょう。つまり自動翻訳が手軽でスピーディ、便利なツールであっても、人間が使えるコミュニケーションツールとしては完璧ではないといえます。
自動翻訳に誤訳がなく、たとえ”完璧”であったとしても「何かが違う…」と感じるケースが考えられます。違和感を抱くのは、前述で紹介した「その人がもつ世界観や概念」であり「言葉そのものが、主体者の生きる証」が感じられないためでしょう。
確かに自動翻訳ツールがあれば、英語が話せないとしても、機械が正確に翻訳してくれるため安心して外国人とやり取りできます。ただ、人間に必要なのはそれだけではありません。
ときにはツボにおさまる笑い、ググっと引き寄せられる感動、一緒に泣きたくなるような寂寥感などを共有できるからこそ、人と信頼関係が築けます。信頼関係は、自動翻訳でパパっと解釈できる状況からは生まれないでしょう。
心の通い合いがあるからこそ、人は前に進めるのではないでしょうか。
たとえば、日本に観光にやってきた外国人に英語で話しかけられ、習ったばかりの英語とジャスチャーでなんとか道案内ができたとしましょう。この際、外国人がスマートフォンの翻訳機能を使って、一言も英語を発することなく翻訳音声で道をたずねてきたとしたら…。あなたはどう思いますか。
「日本語で助かった~」と安心する方もいるでしょうが、Thank youまで自動音声で「ありがとう」とされたら、逆に引いてしまうでしょう。
それよりは、どんなにつたない日本語であっても自分の言葉で表現してもらえた方が、「自分もなんとかしよう」と思いますよね。覚えたての英語と日本語の両方を使ってコミュニケーションを成り立たせようとするでしょう。
言語が完璧でなくても「力になってあげたい!」という気持ちがあると意外に伝わるものです。自動翻訳ツールで補うことはあっても、メインとなる心の通い合いがあればコミュニケーションは豊かになります。
未来を生きる子どもに必要な英語力
終わりに、今までの話を踏まえ、未来を生きる子どもたちに必要な英語力について解説します。
先ほど、自動翻訳ツールで言語活動を補うことはあっても、メインとなる心の通い合いがコミュニケーションに大切…とまとめました。気持ちや心には、その人が暮らす土地の文化や育ち、価値観などが影響しています。
使う言葉にそれらが大きく関わっているのは否定できません。「言葉がその人となり」といえるでしょう。つまり言語は、大事な個性なのです。
これを念頭におきつつ、子どもたちに必要な英語力として3点紹介します。
- 自分らしさを伝え深める力
- AI翻訳・自動翻訳を有効活用する力
- 異なる文化や価値観を理解する力
3つの力を詳しく解説します。
自分らしさを伝え深める力
自動翻訳ツールを使っていつでも誰もが翻訳できるのは便利ですが、実はこれまで以上に使う人の言語能力や感性、個性などが重要になります。
自動翻訳で膨大なデータから抽出された最適な訳を用いるにしても、自分の興味や考え方、自分らしさを加えたり訳を修正したりした方が、定型的な翻訳から打破できます。
また、人間関係をよりよくしたりアイデアを創出したりするには、コミュニケ―ションの質を挙げる必要があるでしょう。これは、自動翻訳で叶うものではなく、学習力や人間力といった「その人がもっているもの(内容)」によって決まります。
これからを生きる子どもに必要な英語力とは、自分が英語を使って何を話すかの「何」を磨き、それを伝え深めるためのコミュニケーション力を高める必要があるのです。
AI翻訳・自動翻訳を有効活用する力
グローバル化が加速する今、そしてこれからを生きる子どもには、異国の人々と自然に会話したりビジネス上で交渉したりする英語力が求められるでしょう。自動翻訳ツールがあるかたといって、英語をまったく習わないというのはかえってリスクになります。
翻訳機能を使うにしても、主体的かつ有効な活用法を学ぶことが大切です。
自動翻訳機能は大変便利ですが、誤訳や違和感を抱く訳し方もあり、それを瞬時に「これはおかしい」と分かる英語力が必要でしょう。間違いに気づかないままツールを使えばトラブルを招くかもしれません。
また、ディスカッションや仕事上でいちいち自動翻訳をさせていては、場の雰囲気を悪くします。仕事以外のオフタイムでも良好な人間関係を築けなくなるでしょう。
自動翻訳を使うにしても、非言語を含めたコミュニケーション力と瞬時に対応できる英語力は必要だといえます。
異なる文化や価値観を理解する力
未来を生きる子どもに必要な力として、異文化理解があります。異文化理解とは相手の国の文化や歴史、価値観を理解するだけではありません。自国の文化を知ることもとても大切な力であり、自分らしさを伝え深める力とつながるものです。
日本人は受容できる国民性であるため、良いと思えば何でも吸収します。異国の文化に対しても寛容といえますが、受け入れるだけではよりよいコミュニケーションは生まれません。
異質であるのは価値あることで、違いがあるから理解し合おうとする姿勢が生まれます。その意味で、他国の文化と同様に、自国の文化を理解するのは大切でしょう。
子どもたちには、日本の文化を英語で表現したり、外国人観光客に日本文化を紹介したりする英語力を身につけてほしいですね。日本に対する理解が深まれば、自動翻訳で妙な和訳をされても気づきやすくなります。
絵本の読み聞かせでは、親子一緒に読んで感想を交換し合ったり、絵本の言葉から文化や歴史を探ってみたり…。本を読むのは、さまざまな力のスキルアップに有効でしょう。
もちろん、歌CDやアニメ、動画視聴、イベント参加など、子ども時代に使える英語学習法は多様にあります。大切なのは、絵本の読み聞かせやほかの学習法で、何をどう育てるのか、その先の子どもの姿を思い描くことです。
まとめ
今回は「自動翻訳機能の発達にうよって英語学習は必要なくなるのだろうか」の疑問にお答えするかたちで話を進めました。いかがでしたでしょうか。
結論をもう一度お伝えすれば「英語学習は必要です」となりますし、どちらかといえば「英語学習の質をさらに向上させる必要があります」といえるかもしれません。
自動翻訳機能は手軽でスピーディに訳してくれるため大変便利です。しかし、非言語コミュニケーションや自然な訳し方が難しいため、他者との間に誤解を生んだり信頼関係を築けなかったりするデメリットがあります。
未来を生きる子どもは、「聞く」「話す」「読む」「書く」の基礎力を身につけておいた方が、自動翻訳ツールを有効活用できます。加えて、英語で何を伝えるのかの「何」を豊かにする必要があるでしょう。
たとえば日本の文化や歴史、自分の興味や関心事、自分の考えや思いなど、自分らしさを磨くことで、実際のコミュニケーションを豊かにできます。
自動翻訳があれば大丈夫!と思わず、AI翻訳に「これはちょっと違うのよねえ」「私の言いたいのはそうじゃないのよねえ」と教えてあげるくらいの英語力をお子さんが身につけるイメージで英語学習をサポートしていきましょう。