お子さんに英語を学ばせているパパやママは、お子さんが英語を話せると将来役に立つだろうと考えている方も多いでしょう。
パパやママが学生だったころ、「英語が苦手だったから、CAを目指すのは無理だと思った。」とか、「英語ができなかったから、大学院への進学はあきらめた。」などと、英語ができなかったために、進路が狭まったとか、変更したという方もいらっしゃるかもしれません。
子どもに英語を学ばせる理由の一つに、「職業の選択の幅が広がる」とよく言われますが、英語ができると具体的にどのような仕事で英語を生かすことができるのでしょうか。
英語を学ぶことで身につく力
英語を学ぶことで、まず「英語を読む」、「英語を書く」、「英語を聞きとる」、「英語を話す」などの力が付きます。
「読むこと」が得意であれば、英語で書かれた情報を進んで取り入れることができます。海外の情報を取り入れることは、自分の視野を広げるだけでなく、異なる考え方や文化を取り入れることができます。
「英語を読む」、「英語を書く」ことが得意であれば、海外の人とメールでやり取りしたり、海外のネットニュースにコメントしたりするなど、「会話」以外でもコミュニケーションは可能です。英語でのやり取りを通して、さらに視野を広げることができます。
「英会話」がスムーズにできると、英語を使って人と交流できます。直接対面で交流するだけでなく、オンラインでの交流も増えてきました。自分の考えをしっかり伝えたり、相手の考えを受け止めたり、双方向で話し合ったりするスキルは、仕事をするうえでも、重要なスキルとなるでしょう。
また、英語を学ぶ過程で、諸外国の文化や、考え方、習慣などについての情報にも接するでしょう。多様な文化や考え方についての情報を知ることは、単に知識が増えるだけでなく、相手を理解するうえで大変重要です。スムーズなコミュニケーションの基礎となります。
このように、英語を学ぶ中で身に付けた様々な力は、仕事をしていくうえで、とても大切な力です。
英語力が必要な仕事
英語力が必要な職業として、代表的な職業をいくつか紹介します。
翻訳家
英文で書かれている物を日本語に翻訳したり、日本語で書かれたものを英語に翻訳したりします。
お子さんになじみのあるものでは、英語のアニメ映画の吹き替えの原稿を作ったり、日本語の字幕を付けたりします。また、英語で書かれた絵本を日本語で読むことができるのも、翻訳家の仕事によるものです。
翻訳家というと映画や書籍のイメージが強いかもしれませんが、ビジネス、法律、医学など、幅広いジャンルで活躍しています。
翻訳家の仕事で大切なのは、文化や背景の違いを理解して、原文の意味やニュアンスを正確に伝えることです。高い語学力だけでなく、広い知識や研究能力、文章力なども必要です。
通訳
通訳とは、異なる言語を話す人同士のコミュニケーションをサポートする仕事です。
お子さんにとってイメージしやすいのは、大谷翔平選手の専属通訳である水原一平さんでしょう。WBCでは、ヌートバー選手の通訳としても活躍しました。お子さんにとっては夢のある職業ですね。
海外で活躍するスポーツ選手をサポートする通訳以外にも、海外での日本人ビジネスマンの仕事を現地でサポートする通訳もいます。また、日本で活躍する通訳もたくさんいます。
海外の政治家やアーティストが来日した際にテレビでも通訳の場面が映されることがあります。
通訳は、単に言葉を翻訳するだけでなく、文化的な背景や感情をも伝えることが求められるため、高い語学力と専門知識が必要です。通訳は、国際的なコミュニケーションに重要な役割を果たしています。
外交官・国連職員
国際社会で活躍したいと考えるお子さんにはとてもやりがいのある職業です。
外交官は、世界各国にある日本大使館や総領事館に勤務し、国と国の間の交渉の先頭に立って活躍します。また、在
外邦人の保護やサービスの提供などを行います。
国連職員は、平和や安全、人権や開発などの分野で活動します。ニューヨークの国連本部だけでなく、世界各国で勤務しています。
これらの仕事には、多様な文化や価値観に対する理解や尊重、コミュニケーションや交渉の能力、語学力などが必要です。
英語教師
英語教師は幼稚園、小学校、中学校、高等学校で英語を教える教員だけでなく、塾、英語教室などでも活躍しています。
一日中ほぼ英語で過ごす「英語幼稚園」が最近増えてきています。「英語幼稚園」の先生にはネイティブレベルの英語力が求められます。
英語教師は子どもたちにとっては、身近な存在なので、イメージがわきやすいです。
英語教師になるためには、英語の高い能力はもちろん、教育や指導のスキルも必要です。また、教える相手に合わせて柔軟に対応できることや、コミュニケーション能力や協調性も重要です。
記者
外国の様子を日本人に伝える仕事をします。ニュースで生中継で伝えているアナウンサーだけでなく、新聞や雑誌、ネット情報など、様々な手段で現地の情報を伝えてくれる仕事をしている人たちです。日本のテレビ局や新聞社、雑誌社などから海外支局員や特派員として派遣されている人もいますし、フリーランスで活動している人もいます。
現地の文化を理解し、高いコミュニケーション能力が必要とされます。
外資系企業のビジネスマン
外資系企業とは、海外に資本を置く会社です。外国の企業が、「日本法人」を設立したケースが多いです。金融、コンサルティングが有名ですが、販売・外食・IT関係・製造など様々な企業があります。
同僚や上司、クライアントが外国人という可能性があり、ミーティングや業務連絡では英語が必要という場合が多いようです。
仕事内容は、営業やバックヤード業務、企画・マーケティング職など様々です。
自分の意見を主張したり、業務を円滑におこなったりするためには、高い語学力が必要です。
貿易業、バイヤー
貿易業とは、国内と海外の間で商品やサービスを売買する仕事です。
貿易業には、輸出入業、卸売業、小売業などがあります。
貿易業の中で、海外バイヤーと呼ばれる職種があります。海外バイヤーとは、海外の市場やトレンドを分析し、自社の商品やサービスに合った海外の仕入先を探し、交渉や契約を行う人のことです。海外バイヤーの仕事は、国際的なビジネススキルや語学力が必要です。また、海外の文化や習慣にも精通している必要があります。コミュニケーション能力も重要です。
輸出入にかかわる会社では、バイヤー以外のスタッフも英語力が求められます。
旅行業
旅行業は、旅行に関するサービスや商品を提供します。旅行プランの企画や販売、予約や手配、添乗やガイド、受付や接客などがあります。
日本人が海外旅行に行く場合や、外国からの旅行者の国内旅行をサポートする仕事では英語力が求められます。
トラブルが発生した時は対応しなければならないので、臨機応変に対応できる力も必要です。旅行が好きな人に向いています。
パイロット、客室乗務員、空港の職員
航空機の往来にかかわる仕事です。
ドラマなどでも見られるように、パイロットは管制官と英語でやり取りをします。客室乗務員は英語圏以外の国のお客様の応対もしますが、世界共通語である英語での会話は必須です。安全やサービスのために、正確かつ迅速に英語で情報を伝えることが求められます。
また、空港で勤務するスタッフや、税関職員、入国審査官、航空管制官も英語力が必要です。空港のスタッフは空港運営会社や航空会社の採用ですが、税関職員、入国審査官、航空管制官は国家公務員です。
外国船にかかわる仕事も、英語力が求められます。航海士、機関士、客船クルー、水先人など、様々な仕事があります。
英語ができると、仕事に活かせる職業
これまでに解説した「英語力が必要な職業」以外にも、英語力を生かせる仕事はたくさんあります。
英語力は海外とのビジネスに必要
英語ができるというのは、今の時代において大きな強みになります。特に、海外との関わりが多い職業では、英語力が必須となる場面もあります。
海外と取引があったり、これから海外展開をしようと思っていたりする会社では、部署によっては英語力が必要です。海外のパートナーやクライアントとコミュニケーションを取ったり、契約書やメールなどの文書を読んだり書いたりすることは重要なスキルです。
ある自動車メーカーでは、海外の仕入れ先と関わる部署で英語力の高い人材を求めています。
また、英語しかわからないお客様が来た時に対応できる人材は、企業からすると有益な人材です。親切に対応することで、お客様の満足度やリピート率を高めたり、口コミで評判を広げたりすることができます。
例えば、あるホテルでは、英語でチェックインやチェックアウトを行ったり、観光スポットやレストランを紹介したりするスタッフが常駐しています。海外の個人旅行者の評価がとても高いそうです。
日本の観光業にとって、海外からの観光客に満足してもらえるということはとても重要です。最近では、大都市の大きなホテルだけでなく、地方の日本旅館でも英語でおもてなしができることに力を入れてきています。
英語力はそれぞれの仕事の様々な場面で必要
英語力は、海外との関わりが多い職業だけでなく、いろいろな場面で役立つスキルです。
翻訳できる機械や、翻訳アプリがあっても、人が直接対応できる方が勝っています。機械やアプリは、文法や単語の意味は正しく翻訳できても、ニュアンスや文化的な背景を伝えることは難しいです。しかし、人間が対応すれば、相手の感情や立場に配慮したり、適切な表現を選んだりすることができます。
海外から来日して日本で生活している外国の方も増えています。簡単な会話はできても、少し難しい内容はよく理解できないという方も多いです。医療機関や教育機関や公共機関などでも英語で対応できる人材が必要とされています。
また、職場に日本語があまり得意ではない人が配属されてきたときにも、英語ができる人がいるとその人も安心できますし、周りとの軋轢も減らすことができます。その人に仕事の内容やルールを教えたり、チームワークを築いたりすることができれば、職場の雰囲気や生産性も良くなります。
職場もグローバル化が進んできています。たくさんの企業で、英語でコミュニケーションを取ることができる人材が活躍しています。
今後、英語でコミュニケーションできる人材は、あらゆる職種でますます必要とされていくでしょう。
英語力がもたらすメリット
英語力は、仕事に生かせるだけでなく、自分自身の成長にもつながります。
TOEICなどのスコアが給料や昇進、採用、人事評価に反映される会社もあります。英語力を高めることで、キャリアアップのチャンスを広げることができます。
例えば、ある商社では、TOEICのスコアが800点以上の人には海外赴任の機会が与えられます。他にも、金融機関やコンサルティング会社などでも英語力が評価される企業があります。
また、英語力があれば、世界中の情報や知識にアクセスすることができます。本やニュースや動画などを英語で読んだり見たりすることで、自分の視野や知識を広げることができます。
英語で最新の情報を得て、自分の仕事に活かしている人はたくさんいます。世界の動向を人より早くキャッチすることで、新しいチャンスをつかむことができるかもしれません。
英語ができることに加えて、それぞれの仕事に必要な資質がある
いずれの仕事も、英語力が高いだけでは十分ではありません。英語力を活かす仕事は、どの仕事もまずコミュニケーション力が必要です。英語というツールを用いて、海外の人と理解を深めていくことが大切です。「英語が得意」というだけでなく、「英語でコミュニケーションをとることが好き」という資質が求められます。
また、英語はあくまでも手段なので、英語の教師になりたいのであれば「教えることが好き」という資質が必要です。
とはいえ、今すぐその仕事に就くわけではありません。
お子さんに英語を学ばせながら、折に触れて英語が活かせる様々な職業に目を向けさせてあげましょう。英語を活かせるいろいろな職業を知る中で、憧れや目標を持つことができるような雰囲気を作ってあげましょう。
お子さんが自分から、「将来、○○になりたいな。だから英語の勉強を頑張ろう!」と思うようになるといいですね。自分で決めたことは、英語を学ぶモチベーションになります。また、一つの道に決める必要はなく、「将来は英語を使った仕事をしたいな」「海外で働きたいな。」というのでも構いません。