子どもが英語スクールに通っている場合、講師の先生がカードを使ってテンポよく授業を進めているのを見る機会があるでしょう。
先生が使っているカードは「フラッシュカード」と呼ばれ、とくに英単語を覚える際に多く使われています。
フラッシュカードを取り入れると子どもの興味を高めつつ、英単語を覚えやすくする効果がありますが、選び方や使い方などをあらかじめ知っておく必要があるでしょう。
そこで今回は、フラッシュカードを取り入れた英語学習の概要やカードを使うメリット、使用する場合の留意点などを解説します。
また、おすすめの英語フラッシュカードやアプリなども紹介しますので、ぜひ通してお読みください。
英語のフラッシュカードとは?
学校やスクールの先生がよく使うフラッシュカード。おうち英語として、市販カードを使って学習を進めているご家庭もあることでしょう。
フラッシュカードとは、冒頭でお伝えしたように単語を覚える際に便利な教材として、昔からよく使われてきました。カードの表面に絵や写真、裏面に単語が書かれているカードもあれば、絵と単語を一緒に表示しているタイプのものがあります。
たしかにフラッシュカードは、絵を見てぱっと英語で発音できるようにしたり、語彙力を増やしたりするなどの効果があります。
ここでは、英語学習にフラッシュカードを使う目的や効果について紹介します。
英語学習にフラッシュカードを使う目的
興味・関心や集中力などは、英語に限らずどの学習でも欠かせません。学習をスムーズに進めるためにフラッシュカードが用いられるといえるでしょう。
最初にお伝えすると、英語学習にフラッシュカードを使う目的は、次の2点になります。
- 子どもへの興味づけになる
- 集中力を上げられる
英語学習でフラッシュカードを使う目的の1つめは、幼児期の子どもに興味をもたせることです。
とくに絵や写真などの視覚情報は、モノやコトの様子をイメージしやすくさせます。先生の発音と絵の内容が合致して、子どもは英語の音だけでなく、言葉の意味に関する理解も深まるでしょう。
また、フラッシュカードを用いると子どもの集中力を高められます。先生が発音して覚えさせるより、「カード」というモノを提示することで一気に関心を集め、学習意欲を持続させられるのです。
フラッシュカードを使う効果
目的にあるように、フラッシュカードを使うことで、子どもに興味・関心をもたせ集中力を持続させる効果があります。
フラッシュカードを使う場合は、テンポの良さが重要なポイントになるでしょう。それぞれのカードを見せるのは1秒以内ともいわれ、テンポよく見せないと子どもの集中力がそがれる可能性もあるのです。
また、フラッシュカードを一回見せただけではあまり効果を感じません。くり返し学習に使うことで、情報を瞬時に判断して発音できるようになります。
このように英語学習でもフラッシュカードを用いることで、事物事象と音(言葉)をつなげやすくなり、言語力を向上させられるでしょう。
フラッシュカードをつなげたり絵からイメージを広げたりすれば、単語を覚えるだけでなく、絵に関連した文章もインプットできるなどの効果もあります。
また、フラッシュカードの絵を見て瞬時に応える経験を重ねるのは、子どもに満足感や達成感を与え、英語学習に対する自信を高めるでしょう。
英語学習でカードを使う際に気をつけること
前章でお伝えしたように、英語学習に効果のあるフラッシュカードですが、カードの選び方や使い方を間違えると、デメリットとなる可能性があります。
ここでは、英語学習でフラッシュカードを使うメリットを最大限感じられるよう、念頭におきたい5点についてお伝えします。
- 子どもが考える場をつくる
- 様子や状況がわかる絵カードを使う
- まずは音声に親しませる
- 部分でなくまとまりで覚えさせる
順に詳しく解説します。
子どもが考える場をつくる
フラッシュカードの負の側面として「受け身の学習になりやすい」「思考力が育ちにくい」といったものがあります。このため、英語学習でフラッシュカードを使う際は、「子どもがみずから考える場を与える」ことを意識しましょう。
「受け身の学習を避ける」には、たとえばカードに書かれたリンゴの写真を見てAppleと発音させるだけにしないようにします。単語を覚える最初の段階は仕方ないでしょう。ただ、長い間同じように受け身学習をさせるのはよくありません。
また「思考力を育てる」には、フラッシュカードの絵を見て単語を発音するといった過程に考える場を与える必要があります。
会話にあるように、覚えが単語をくり返すだけでは、思考力を伸ばすのは難しくなるでしょう。
思考力を育てたいと思えば、たとえばAppleのほかの果物カード3,4枚を見せて「Which is red?(赤いのはどれ?)」「Do you like apples?(リンゴはスキ?)」と聞いたりして、単語から”ある状況”へと導く手立てが必要になります。
このように”意識的に”、子どもが考える場をつくるのは英語学習におけるポイントであるため、フラッシュカードを使う際は覚えておきましょう。
様子や状況が分かる絵カードを使う
フラッシュカードを使う場合、「子どもが見やすい絵や写真であること」を意識しましょう。子どもとの距離が離れすぎても良くありません。また、カードを使ってカルタをするとなれば、ほどよい大きさである点も意識したいですね。
ほかに、様子や状況が分かる絵カードを使うようにします。様子や状況が分かるとは、子どもがイメージしやすいことを指します。市販のカードは、これらの条件を満たしているものが多いのですが、子どもによってイメージのしやすさが異なる場合もあるでしょう。
市販のものを使う場合は、中身を確認して子どもに選ばせてみるのもおすすめです。
まずは音声に親しませる
絵カードによっては、表に絵と文字の両方が掲載されているものがあります。ただ、最初は音声を中心に親しませ「文字は〇〇ですよ」のように教え込まないようにしましょう。
まずは、犬Dogを復唱したり何度も練習して発音できたりしたら、先ほどお伝えしたようにイメージした言葉を拾い集めてつなげていきます。
このときは、英語の音声に充分親しませ、たとえば「Dog、cute、Bow-wow、It isn’t my dog、brown&white」なども加えてもいいでしょう。これらも復唱させたいと思えば発音の仕方を教えます。
ただ、すらすらいえないとしても無理に直させる必要はありません。それよりも英語の音に親しみ、音の特徴を捉える機会と考えましょう。
聞いたり声に出したりすれば、おのずと英語のインプット量が増えていきます。1単語から広がる世界を知り、1つの絵カードから想像力をふくらませてストーリーを作る機会にもなるでしょう。
部分でなくまとまりで覚えさせる
英語学習で使う際は、まとまりで覚えさせると良いでしょう。まとまりについては、2つの視点が挙げられます。
1つめは「英単語をカテゴリー別にわける」、2つめは「生活をつなげる」といった視点です。
1つめの「英単語をカテゴリー別に分ける」とは、子どもに教える場合、動物、果物、食べ物など一定の仲間ごとに見せる方法を指します。
リンゴを覚えさせたいときに、みかん、メロン、いちごなど果物の仲間を一つのカテゴリーとするのです。リンゴ、ウサギ、カレーライスなど、さまざまなカテゴリーのものを一緒に教えると、子どもは混乱してしまうでしょう。
また、2つめの「生活とつなげる」とは、リンゴから連想する言葉を実生活や体験とつなげることを指します。
たとえば、実際におやつでアップルパイを食べたり、iPhoneのロゴを見せたりするのです。動物の単語を覚えさせたいと思えば一緒に動物に行くなど、学習内容と実体験をつなげて理解を深めていけるようにしましょう。
英語学習に使えるフラッシュカードとは?
さて、市販にも数多くのフラッシュカードが販売されています。書店で実際に見たり、通販サイトで確認したりして、子どもに合う英語カードを選ぶようにしたいですね。
購入の前に知っておいてほしいことが下記に上げる3点です。
- 名詞や動詞は使いやすい
- 形容詞や副詞は使いにくい
- カードの大きさや材質を確かめる
順番に解説します。
名詞や動詞は使いやすい
子ども向けのフラッシュカードは「カードの表面に絵、裏面に単語が書かれているもの」と「表面に絵と文字の両方が書かれているもの」があります。
ものや人、職業などの名詞はフラッシュカードに向いています。絵や写真の様子そのものを表す場合が多く、子どもが見てすぐに「これは〇〇」とわかるためです。
また、動詞も、ある動作をしている様子がわかりやすい品詞といえるでしょう。ただ、子どもが成長して動詞の時制を覚えさせたい場合は、別途用意した方がいいですね。
子どもが小さいころは、何をしているのかわかる絵や写真で「現在形」から教えましょう。
形容詞や副詞は使いにくい
名詞や副詞と異なり、形容詞や副詞は絵や写真で理解しにくい場合があるかもしれません。高さややわらかさ、厚さなどは、ひと目でわかる絵であればOK!
わかりにくい場合は実物を見せるなどして工夫しましょう。
因みに、頻度を表す副詞は次のように割合をつかむと、理解しやすいかもしれません。
- always(いつも):100%
- usually(ふだんは):80%
- often(たびたび):60%
- sometimes(ときどき):50%
- occasionally(ときどき):40%
- rarely(めったに~しない):20%
- never(決して~しない):0%
ただ、子どもが小さいころは、数字や日本語でも難しい場合があるため、フラッシュカードや説明で理解できないからといって、覚えるのを無理強いしないようにしましょう。
カードの大きさや材質を確かめる
フラッシュカードをどのように使うかによって、カードの大きさや材質の選び方も変わってくるでしょう。
自宅で使いたい場合は大きすぎれば扱いにくく、英会話スクールの先生として使う場合は、小さすぎると子どもに見づらくなります。
また、子どもと一緒にカルタ遊びをする場合、大きさはもちろん材質も吟味しなければなりません。ペラペラの紙ではすぐに破れてしまいます。何度使っても破れない、折れない材質のカードの方が長く使えるでしょう。
フラッシュカードは、フラッシュカードは、ぱっと見せてぱっと反応させるときに使うカードです。その際、めくりにくいと、リズムよく進められず子どもの集中力を切らしてしまいます。
短時間でパパッとテンポよくめくれるよう、大きさや材質のチェックはしっかりした方が購入後も長く使えるでしょう。
おすすめの英語フラッシュカード
ここでは、通販で購入できるフラッシュカードを紹介します。よろしければ参考にしてみてください。
トレンドの フラッシュカード
対象年齢 | 6歳以上 |
内容 | カテゴリー別に分かれているシリーズもの |
特徴 | 角が丸くカードをそろえやすい/カード裏面に文字があるタイプ |
トレンドのフラッシュカードは、カテゴリー別に楽しみながら学べる学習教材です。大きめですが、小さな子どもにも使いやすいサイズ感です。
数字・名詞、動作、時刻などのカテゴリーごとにシリーズになっています。数字シリーズ以外はすべて96名セットです。対象年齢は6歳からとなっていますが、幼児期から少しずつ使ってみてはいかがでしょうか。
Femtosのフラッシュカード
対象年齢 | 幼児期 |
内容 | 表に絵ゲーム感覚で英単語を覚えられる |
特徴 | カテゴリーは6つ/表面に絵、裏面に単語/持ち運びに便利 |
Femtosのフラッシュカードは、英会話スクールでも使われています。カテゴリーは6つあり、動物や野菜、フルーツ、日用品、のりもので各種36枚×6セット216枚となっています。
持ち運びにも便利なサイズであるため、いつでもどこでも楽しくフラッシュカードで学べるでしょう。
くもん出版のタッチで聞こう! えいごかるた
対象年齢 | 3歳以上 |
内容 | 英語の歌や単語の音を聞けるおもちゃ |
特徴 | 音声ユニットにカードをタッチして音声が聞ける仕組み |
くもんのえいごかるたは、親御さんが英語で発音するのが苦手な場合、重宝しそうな知育玩具です。発音を確認しながら子どもと一緒に英語学習を楽しめます。
1人でも複数でもゲーム式に遊べる3つのモードがついています。カードだけでなく、こうした知育玩具で英語力をつけたいと考える場合、おすすめのおもちゃといえます。
トレンド 英単語 パズル 反対ことば
対象年齢 | 3歳以上 |
内容 | 2つのピースのパズルを使ってマイペースに学習 |
特徴 | ピースは48枚で両面印刷/反対語を学べる |
トレンドのパズルカードは、対象年齢が3歳以上ですが、ある程度学びが進んで一人でやりたい子どもやパズルが好きな子どもにもおすすめの商品です。
ピース数は48枚で両面に印刷されています。big-little、happy-sadなど反対の言葉を集めたカードで、カードで表現しづらい形容詞などを覚えられます。
ラーニングリソーシズのパズルカード アルファベット
対象年齢 | 4歳以上 |
内容 | 絵+大文字+小文字の3ピースを合わせて遊べる |
特徴 | アルファベットの習得に便利/一人でも遊べる |
ラーニングリソーシズのパズルカードは、絵+大文字+小文字の3ピースをマッチさせて確認して組み合わせたり、カード遊びをしたりできる教材です。
!アルファベットに興味をもち始めた時に使うと、理解しやすいでしょう。また、最初は絵カードのみで単語を聞いてインプット量を増やす際にも使えます。
収納ボックスは取っ手付きで持ち運びも便利です。
フラッシュカードで楽しく学ぼう
フラッシュカードは工夫次第で、さまざまなゲームに使えるのもメリット。フラッシュカードを使えば、次のようなゲームができるでしょう。
- カルタ遊び
- カードを使った宝探しゲーム
- カードを組み合わせて物語づくり
カルタ遊びでは、先生や親が読んで子どもがそのカードを取ります。また、単に読み上げるだけでなく、動物であれば泣き声でクイズ形式に出したり、色や形をいくつか伝えたりして、バリエーションを変えてみてもいいでしょう。
宝探しも親子で楽しめるゲームです。カードを1枚、あるいは数枚用意して、隠します。隠したカードをつなげてお話を創ってみてもいいですね。
物語づくりは、子どもの想像力を伸ばすだけでなく、考える力や言語力も向上させます。
- 一瞬だけチラッと見せて発音してもらう
- 絵の部分を一部見せて発音してもらう
- What’s missing?
- サイレントボイス
- ジェスチャーをつける
単にカードを見せて、発音させるだけでは次第に子どもは飽きてしまいます。What’s missingのように、一定量のカードをランダムに見せてから先生(親)が1枚隠し、子どもに何がなくなったか当ててもらう…のも盛り上がります。
また、発音の仕方に注目してもらうために、わざと声に出さず、口の動きや形だけ見せて英単語を当ててもらうのもおすすめです。ジャスチャーは、動詞や形容詞の学習にも使えますね。
ほかにも、3つのヒントでフラッシュカードに何が書かれているか当てるゲームも、子どもの好きな学び方です。
学び方にゲーム的な要素を取り入れるのは、子どもの学習意欲だけでなく、集中力や発想力なども磨けるでしょう。楽しい学習が結局は、学力の向上にもつながるのです。
アプリのフラッシュカードも活用できる!
フラッシュカードは紙製のほかに、アプリでも活用できます。アプリケーション内で、フラッシュカード的に学習できるのです。
アプリのメリットは、いつでもどこでも、一人でも、移動の最中でも学習できることでしょう。
また、ネイティブや本当の動物の鳴き声など自然な英語を耳にすることができるよさもあります。
そのほか、カードですと、子どもが散らかし放題で親のストレスが倍増!というケースも考えられますよね。アプリであれば、その心配はなくなります。
ただ、スマホやタブレットをずっと見ているのは、目や姿勢が悪くなるデメリットがあります。長時間連続でやらないように注意したり、休憩時間をとったりして上手に活用しましょう。
まず学習幼児英語フラッシュカード
対象年齢 | 4歳以上 |
内容 | 日常使われる語彙を4つのカテゴリーごとに学べる |
子どものためのフラッシュカード式語彙学習ゲームといえるでしょう。一般的に使われる日常語彙を扱っており、4つのカテゴリーにシフトできます。
アルファベット、形状、反対語、他動詞です。
Flashcard English
対象年齢 | 4歳以上 |
内容 | 英語学習をフラッシュカードのほかの3つのゲームで学べる |
こちらのアプリは英語学習を計4つのゲームを通して楽しめます。フラッシュカードのほか、ドットで正解を結ぶゲーム、神経衰弱、スペルクイズなどで楽しめます。
フラッシュカードは、最初、写真とともに発音や動物の鳴き声を教えてくれます。カテゴリーは動物、乗り物、家にあるものです。
アプリの使い方については、子どもと約束事を決めておきましょう。ルールを守ることを大切にすれば、アプリも子どもの英語習得にプラスとなります。
ほかにもさまざまなアプリが展開されているため、ご家庭でも探してみてくださいね。
それでは最後にまとめてみましょう。
まとめ
今回は、英語学習に使えるフラッシュカードについて解説しました。いかがでしたか?
フラッシュカードを使えば、子どもたちは楽しみながら学べるため、英語力の定着に役立ちます。その理由は、視覚情報がともなうことで子どもが理解しやすくなり、集中して聞く体勢に入れるためです。
そのほか繰り返し使えるため、英語習得の助けとなります。カードから広げて発想できる力や思考力の向上にもつながり、使い方次第で子どもの学習意欲や習得に良い影響を与えるといえるでしょう。
ただ、単に単語を言わせるだけになったり、文字を覚えるよう強要したりしないように気をつけてくださいね。思考力や表現力が育つよう、単語を使った状況をイメージしながら覚えさせると、使える英語力へつなげられます。
また、フラッシュカードは子どもが大好きな遊びやゲームに活用できるのもメリットです。
今回紹介した使い方やアプリなども適宜取り入れながら、子どもと一緒に楽しく英語を学んでいきましょう。