はじめに
先人の知恵である「ことわざ」。日本語のことわざと同様に、英語にも同じような意味をもつ「ことわざ」があります。
今回は、幼児期の子どもにも紹介したい英語の「ことわざ」を紹介します。親が「ことわざ」の意味をかみ砕いて伝えることで、子どもの英語学習に生かしたり、子どもの生活や学習面での”教え”として子どもに伝えたりできますよ。
英語の「ことわざ」を紹介する前に、まずは「ことわざ」を英語でどのように表現するのか確認し、英語の「ことわざ」を活用するメリットを解説します。
英語で「ことわざ」とはどういうの?
英語で「ことわざ」とは、proverbまたはsayingのように表現します。proverbとは昔から伝えらえられている教訓や知識を指し、助言として短いフレーズにまとめられているのが通例です。
sayingはproverbとほぼ似ていますが、格言として「そうした方が賢明だろう」とされる意味合いが強いのが特徴です。
old sayingとなると、昔からいわれている「言い習わし」を表します。
いずれにしても、先人の経験や知識が言葉を通じて後世の人々に教えてくれるのが「ことわざ」であるといえるでしょう。
英語で「ことわざ」を教えるメリット
日本語の「ことわざ」を教えるのももちろん大切ですが、英語と日本語の両方で教えると子どもにプラスの効果がもたらされます。
ここでは、小さい子どもに英語で「ことわざ」を教えるメリットを4つ紹介します。
- 言葉に興味をもつ
- 英語特有のフレーズを覚える
- 心の成長に良い
- 異文化を学べる
4点についてもう少し詳しく見ていきましょう。
言葉に興味をもつ
「ことわざ」は先人からの教えを今に引き継ぐ言葉やフレーズです。一つの言葉を語ったり表現したりするにも、さまざまな表現方法があることに気づかせる意味で「ことわざ」は有効だといえるでしょう。
たとえば親が子どもに「すぐにあきらめてはダメ」と教えたいとします。いつも同じような表現で子どもに教えても、いつか子どもは耳を貸さなくなります。
たとえば次のように英語と日本語の「ことわざ」を教えてみると、言葉に対する興味を高められるでしょう。
この話を聞いた子どもは、”お金持ちになるのかあ、いいね!”と受け止めてしまうかもしれませんが、さまざまな言葉やイメージをつなげて理解するのは悪いことではありません。
「継続は力なり」にあたる表現としてほかにも、次のような「ことわざ」が挙げられます。
- Practice makes perfect.(練習すれば完璧になる)
- Rome was not built in a day.(ローマは一日にして成らず)
このように状況を示す表現にはいろいろあることを知るだけでも、子どもの語彙力や言葉への興味を高められますね。
因みにRomeといえば、次の画像にも「ことわざ」が見えますよ。「すべての道はローマに通ず」(目的を達成しうる手段や方法は、何通りもあるという意。あるいは真理は一つであること)
英語特有のフレーズを覚える
英語の「ことわざ」を学ぶのは、英語特有のフレーズを覚えるのに適しています。フレーズを覚えれば、言葉の意味や文法的な要素も理解しやすくなり、英語力の向上に役立つでしょう。
たとえば今回紹介するフレーズにも登場するmakeを例に挙げます。
- Haste makes waste.【短気は損気】直訳:焦りは無駄になる
- Custom makes all things easy.【習うより慣れろ】直訳:習慣はすべての物事を容易にする
日本語では「~させる」「~を〇〇にする」と訳せますが、英語を日本語に訳すといった作業をいつもくり返すのは、あまり効率的ではありません。しかし、「ことわざ」を使いこなせれば、「英語を英語で理解する」ことが可能になります。
つまり、英語の「ことわざ」で英語脳を養えるといえるでしょう。
心の成長に良い
日本語だけでなく、さまざまな先人の知恵を言葉を通して理解するのは、知性を育てるだけでなく心の成長にも効果があるといえるでしょう。
先ほどお伝えしたように、すぐにあきらめてしまうわが子を見て親が「あきらめちゃダメでしょ」とくり返し教えても子どもはスルーするようになります。そのうちに「うるさいなあ」と思われ、親の話に耳を傾けなくなるでしょう。
一旦親が冷静になって先人の話(ことわざ)を紹介するようになると、感情的に叱ることもなくなります。先人の話(ことわざ)は親子とは違う”第三者”であるため、客観性を保てるといえるでしょう。
このように、親として子どものやる言動に怒れてしまう状況でも、ことわざを通して冷静に対処できる状況を作れます。また客観性を保てるのは、子どもに考える機会を与えることにつながります。
一方的に何かを強要されるより、新たな知識や情報、世界を教わる方が、子どもは気もちがいいはず。気持ちの良い環境で育つのは、メンタル面でもプラスになりますよね。
次は、英語で「ことわざ」を教えるメリットの4つめ「異文化を学べる」点について解説します。
異文化を学べる
「ことわざ」の面白さは、英語と日本語の意味は同じでも、日本語とは異なる単語を使って表現する場合もある点にあります。
たとえば「覆水盆に返らず」ということわざがありますね。この意味は「一度起きてしまったことは二度と元に戻せない」といったものですが、英語で表現すると下記の通りになります。
- It is no use crying over spilt milk.あるいはDon’t cry over spilt milk
(こぼれてしまったミルクにどんなに泣き言をいっても無駄である)
のちほど紹介する「ことわざ」のなかにも、日本語で有名な「ことわざ」と同じ意味をもつものがあります。なかには日本の意味と同意のものがありますが、違いが明らかな表現も見受けられます。
英語と日本語の違いに気づきながら、両方覚えられる点も英語の「ことわざ」を学ぶ価値があるといえるでしょう。
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では次の章から早速、生活や学習の場面で使える「ことわざ」を紹介します。親子で「なるほど!」と確認しながら活用してみてください。
親子で会話が弾む!英語のことわざ35選
ここでは、親子でやり取りできる英語の「ことわざ」を紹介します。生活や学習習慣について子どもに教えたい場合、どのようなシチュエーションで使えそうか…についても言及していますので、参考にしてみてください。
①So many men, so many minds.
日本語のことわざ | 十人十色 |
直訳 | 大勢いれば多くの思いがある |
十人十色とは、ひとそれぞれに見方や考え方、特性などが異なっているといった意味。金子みすゞさんの「みんなちがって、みんないい」と同じ意味ですね。
幼児期の子どもは素直であるがゆえ、ときに友達とささいなことでけんかしてしまいます。また大人であれば遠慮するような相手の特性について、子どもはズバッと指摘しますよね。
そのような場面で使えるのが、So many men, so many minds.といえるでしょう。「あなたにも〇〇があるように、ほかの人にも〇〇があるのよ」と、わかるように説明してあげましょう。
なお「十人十色」にはDifferent strokes for different folks(直訳:民族によって違うやり方がある)といった表現もあります。
②Live and let live.
日本語のことわざ | 自分も生き、他人も行かせよ |
直訳 | ー |
幼児期の子どもにはだいぶ難しいフレーズかもしれません。こちらは格言であり、意味を補うと「自分はみずから進む道を生き、かつ他者の生き方について尊重しなさい」といった感じでしょうか。
簡単に言えば「人は人、自分は自分」「わが道をいけ」ともつながるでしょう。ただ、そればかりでなく、同じように他者が「わが道をいくのも認めること」の大切さを教える際に使えることわざです。
子どもが、友達の言動に「ちょっとおかしいんだよ」と文句をいう場合に紹介してみると良いでしょう。
③Every failure is a stepping-stone to success.
日本語のことわざ | 失敗は成功のもと |
直訳 | すべてお失敗は成功への手段である |
「失敗は成功のもと」は、子どもにもわかりやすい「ことわざ」ですね。たとえば、次のような気もちを伝えたい場合に使うと良いでしょう。
- 一度失敗したとしても、すべてが終わるわけではない
- 失敗した原因を探れば、それが成功へのチャンスになる
こうした気もちで子どもを励ましたい場面はあるかと思います。小さい子どもであれば失敗はつきもの。「失敗こそ成長への大きなステップ」と幼児期のころから伝え考えさせたいですね。
成長へのステップとは「失敗した点を省みて再スタートすること」でもあります。失敗の背景には何があるのか…小さい子どもが考えるのは大変かもしれません。親が一緒に考えてあげると、子どもは安心して次のステップを踏み出すでしょう。
「失敗は成功のもと」と同じような表現としてFailure teaches success.があります。直訳すれば「失敗は成功を教えてくれる」。小さい頃には多くの失敗を重ねてOK!。そこから学んで自立の道をみずから見い出す姿勢が、大人へのステップアップにつながります。
Good comes out of evil(禍転じて福となす)にあるように、つらい経験はつらいままで終わらないことも幼児期の子どもにかみ砕いて教えていきたいですね。
④Fortune comes in by a merry gate.
日本語のことわざ | 笑う門には福来る |
直訳 | 幸運は明るい家に訪れる |
「明るく笑っていればその家に幸せが訪れる」といった意味になります。失敗やつらい経験があって子どもが意気消沈している場面で使えます。
「哀しみやつらい出来事があったとしても、希望を持ち続ければ幸せはやってくるんだよ」といった説明と合わせて、Fortune comes in by a merry gate.と伝えましょう。
ただ、機嫌が良くないときや大泣きしているときに、無理に伝えようとしても効果がありません。しばらくして気もちが落ち着いたところで「ことわざ」を説明すると理解しやすいでしょう。
「ことわざ」を理解したら弟や妹が泣いているときにFortune comes in by a merry gate.と肩を抱く姿が見られるかもしれません。
⑤Haste makes waste.
日本語のことわざ | 短気は損気 |
直訳 | 焦っても無駄である |
「焦ってイライラしても始まらない、うまくいかないよ」といいたいときに、Haste makes waste!といった感じで韻のある英語の「ことわざ」を教えてみると、怒り顔が「え?何?ヘイストメイクスウェイスト?」と興味をもつかも。
そうした状況にならなくても、あとでそうっと教えてあげましょう。
haste(ヘイスト:急ぐ)、makes(メイクス:make~させる)waste(ウェイスト:無駄に)と3語には「エイ」といった音が連続しており、リズムよく復唱できます。
日本語のことわざとして「急いては事を仕損じる」も同じ英語で良いでしょう。工作や宿題などで子どもがうまくいかなくてイライラしていたら、そっと声をかけてみてくださいね。
⑥Time flies.
日本語のことわざ | 光陰矢のごとし |
直訳 | 時は飛ぶ(ように過ぎ去る) |
日本語で「光陰」は月日や時間を表します。時は矢のようにはやく過ぎてしまう様子を指していますね。
Times flies.は大変シンプルな表現で、まさに時のはやさを裏付けるかのようですね。
子どもにはなかなか実感できない表現ですが、たとえば旅行の帰り道、子どもが「!楽しかった~、でもあっという間だったね」といったときにTimes flies.と教えてみましょう。
⑦Time is money.
日本語のことわざ | 時は金なり |
直訳 | ー |
【時は金なり】
こちらも時間に関する「ことわざ」です。直訳すれば「時はお金」といったように大変シンプル。つまりお金がなければ生活できないように「時間もまたお金と同じように大切なんだよ」と伝えたいときに使えます。
そのほか、お金に関する「ことわざ」としては、下記のものが挙げられます。
- Money will come and go (お金は来ては去る⇒お金は天下のまわりもの)
- Money doesn’t grow on trees. (金のなる木はない)
- Experience must be bought.(経験はお金を払ってでもするべき)
子どもの年代に合わせて教えていきましょう。
⑧Knowledge is power.
日本語のことわざ | 知識は力なり |
直訳 | ー |
Knowledge(知識)は時間やお金と同じく力をもつものです。知識がゼロであれば成長も進歩もありません。蓄えて上手に使ってこそ、自分も周囲も、社会も潤う…とまで幼児期の子どもに教える必要はないかもしれませんが…。
いずれにしても、子どもにとっての知識は経験や学習を通して培われます。また、幼児期であれば自然体験や友達との触れ合いなど、遊びも含めて多くが含まれるでしょう。
「何事も経験だし、勉強よ!」と伝えたいときに、Knowledge is power.のフレーズを使ってみてもいいですね。
⑨Custom makes all things easy.
日本語のことわざ | 習うより慣れよ |
直訳 | 習慣にすればすべてうまくいく |
【習うより慣れよ】
customとは習慣や慣例などを指します。「何事も習慣にしてしまえば簡単におこなえるようになる」状況を示す「ことわざ」といえるでしょう。makeは「~にさせる」「~を〇〇にする」といった意味になりよく使われます。
英語学習に飽きてしまっている子どもに、継続しておこない”習慣”づけることの大切さを伝える「ことわざ」としておすすめしたいです。その際、「歯磨きの習慣もやるのが当たり前になれば簡単だ」と気づかせてもいいですね。
⑩Patience is a virtue.
日本語のことわざ | 石の上にも三年 |
直訳 | 忍耐は美徳 |
【石の上にも三年】
patienceとは「忍耐」、virtueは「美徳」を指します。”何事もできるようになるには苦しいときもつらいときもぐっとこらえてやり続けると、いずれ上達したり成功したりする”と長くいえば、子どもは聞く耳をもたないかもしれません。
しかし、Patience is a virtue.の意味を一度教えると、子どもは意外に納得してしまうでしょう。
ほかに「石の上にも三年」に近い表現として次のフレーズも紹介します。
- Perseverance prevails.(直訳:忍耐が勝る)
- Slow and steady wins the race(直訳:ゆっくり着実に歩めばレースに勝てる)
早速次で紹介しますね。
⑪Seeing is believing.
日本語のことわざ | 百聞は一見に如かず |
直訳 | 見ることは信じること |
幼児期の子どもは、好奇心が旺盛で「なぜ?」「どうして?」と質問してきます。そのときに、親の経験や情報をもとにしていろいろと説明をする場合もあるでしょう。
しかし、「何度も他者の話を聞くよりも、たった1度自分の目で確かめた方がわかる」のも事実。つまり「百聞は一見に如かず」ですね。
あまりにも質問してきて困ってしまったり説明が難しかったりする場合は、まよわずSeeing is believing!の機会をセッティングしましょう。
また似た表現としてA picture is worth a thousand words.(直訳:一枚の絵は千の言葉に値する)があります。is worth~は「…は~に値する」といった意味で、こちらも英語フレーズとして覚えられますね。
⑫Better to ask the way than go astray.
日本語のことわざ | 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥 |
直訳 | 道に迷うよりも道を尋ねた方が良い |
astrayは「道に迷う」といった意味です。betterは「~よりよい」という意味で、thanと一緒に使われる比較級ですね。
子どもには難しい表現であり、使える場面も限られるでしょう。ただ、先生に尋ねるのをためらっていたり、自分が困っているのに伝えられなかったりする場合は、この「ことわざ」が生きてきます。
Better to ask the way than go astray.で、わからないことはどんどん聞ける子どもに育てましょう。
⑬Out of the mouth comes evil.
日本語のことわざ | 口は災いの元 |
直訳 | 口から出た言葉は悪(厄)となる |
out ofは「~の外」という意味です。comeは「来る」のほか、「~になる」という意味にもなるため、こちらの「ことわざ」でcomeの使い方も理解できるでしょう。
子どもは、素直であるがゆえ、考えもせず言葉を発します。結果的に人を傷つけてしまいます。この際「言葉に気をつけて」と教えるのは親として必要です。
evilの意味を確認しながら、英語でイメージさせると、単に「言葉に気をつけなさい!」と注意するより子どもの心に残るでしょう。
⑭Speech is silver, silence is gold.
日本語のことわざ | 雄弁は銀、沈黙は金 |
直訳 | ー |
直訳はそのままで意味がわかりやすい「ことわざ」といえます。たとえば聴衆に向かってペラペラと話せるのは素晴らしいのですが、沈黙に価値がある場合もある…これを伝える際に使えるでしょう。
ただ、子どもによってはその意味が理解できないかもしれませんね。いずれわかるようになる…といったスタンスで使うと効果的です。
⑮All covet, all lose.
日本語のことわざ | すべてを欲しがるとすべてを失う |
直訳 | ー |
子どもは本当にcovet(やたらに欲しがる)ですね。「あれが欲しい、これが欲しい!」と子どもがねだる場合に使ってみてもいいでしょう。
親が「そんなに欲しがってばかりいると、買ってあげないよ!」と頭ごなしに叱るより、もしかしたら子どもは理解してくれるかもしれません。
⑯He that will lie will steal.
日本語のことわざ | ウソつきは泥棒の始まり |
直訳 | ウソをつこうとする人は盗みをはたらこうともする |
lie(嘘をつく)はsteal(盗みをはたらく)につながる…。これは、親が子どもに教えたい言葉のひとつですね。
関係代名詞thatやHeといった代名詞を使っているのも文法の学習になります。また、前者のwillは気もちを表し、後者のwillは「~だろう」のように未来を予想する助動詞となるため、willの意味を教える際につかえる「ことわざ」ともいえるでしょう。
⑰The early bird catches the worm.
日本語のことわざ | 早起きは三文の徳 |
直訳 | 早起きの鳥は虫を捕まえる |
子どもがどうしても朝早く起きられないときに、「早く寝て早く起きるとね、一日を元気にスタートできるし食事も美味しく食べられるのよ」
といった言葉を添えながら、こちらの「ことわざ」を教えましょう。
ところで日本語の三文(さんもん)とは、お金の単位で今でいえば35円くらいでしょうか。たしかに大した得にはならないかもしれませんが、それでも「!塵も積もれば山となるMany a little makes a mickle.」になりますよね。
※Many a little makes a mickle.を直訳すれば「多くのちょっとしたことが大きなことになる」となります。mickleとは名詞で「洪水、多量、山積み、山盛り」といった意味を指します。
⑱Look before you leap.
日本語のことわざ | 転ばぬ先の杖 |
直訳 | 飛ぶ前に見なさい |
leapは「大きく跳ぶ」ことを指します。直訳は「飛ぶ前に見なさい」となりますが、意味は「前もって準備しておけば失敗しない」となるでしょう。
まずやる前に、ちょっと立ち止まったり確認したりする大切さを教えたい場合に使う「ことわざ」です。子どもは、わりと衝動的に何かをしてしまう傾向にありますから、「ちょっと待って!」といった意味でLook befor you leap.と伝えて考えさせましょう。
⑲The pen is mightier than the sword
日本語のことわざ | ペンは剣よりも強し |
直訳 | ー |
こちらは英国作家エドワード・ブルワー=リットンが用いたとされる言葉です。子どもがテレビなどで暴力や戦争に関する出来事を知ったときに伝えると良いでしょう。
また、友達から嫌なことをいわれてすぐに手が出てしまう子どもに、「言葉で伝える方がいいのよ」と教えたい場合に使ってみてもいいですね。
mightierとはmighty(強力な)の比較級を指します。
⑳Birds of a feather flock together
日本語のことわざ | 類は友を呼ぶ |
直訳 | 同じような羽根をもつ鳥は群れたがる |
日本では「類友」といわれる場合があります。子どもから友達に関する話を耳にしたときに、さりげなく使ってみてください。
できることなら良い意味でのつながりが保てるといいですね。
㉑Two heads are better than one.
日本語のことわざ | 三人寄れば文殊の知恵 |
直訳 | 2人の頭で考えれば1人よりも良い |
こちらはおもしろいですね。というのも、扱う数字がそれぞれ異なっています。日本語では3ですが、英語では2ですね。このように数字は違っても意味は同じ「ことわざ」もあります。
友達と力を合わせてよりよいものを作ったり行動をしたりする価値を教えたい場合に、使える「ことわざ」といえるでしょう。
ほかに、「必要なときにいてくれる友達が真の友達」という意味でA friend in need is a friend indeed.というフレーズもあります。in needは「~が必要な」、indeedは「たしかに」といった意味をもち、韻を踏んでいるため覚えやすい「ことわざ」といえます。
㉒Kill two birds with one stone
日本語のことわざ | 一石二鳥 |
直訳 | 2羽の鳥を1つの石でとらえる |
こちらはよく使われる「ことわざ」ですね。ひとつの行動からふたつの利益を得られるシチュエーションで使える「ことわざ」です。
killのまえにIt’s likeを付け加えて「それって一石二鳥ね」といった感じの方が、killの響きを和らげられます。
㉓ If you chase two rabbits, you will not catch either.
日本語のことわざ | 二兎を追う者は一兎をも得ず |
直訳 | もしも君が2わの兎を追いかけるのであれば、そのどちらも捕まえられないだろう |
cheseとはカーチェイスといった日本語にもあるように「追いかける」という意味を表します。こちらも、日本語と英語とでは同じような意味になります。
子どもが欲張って両方やろうとしている姿を見て「まずは一つ選んでやった方が結果も出せるよ」と教えたい場合に使ってみましょう。
㉔. Grasp all, lose all.
日本語のことわざ | すべてをつかもうとすれば、すべてを失う |
直訳 | ー |
graspは「手で握る」といった意味があります。ぎゅっとつかむイメージです。日本語の「二兎を追う者は一兎をも得ず」と似ていますね。
子どもが両方やろう(取ろう)と欲張っている際は、こちらの方が子どもに伝えやすいかもしれません。
㉕ Pride will have a fall.
日本語のことわざ | おごれるもの久しからず |
直訳 | プライドが強すぎれば転落するだろう |
a fallは「転落」という意味です。プライドは大切ですが、意固地になるとよくありませんよね。
いい気になったり威張ったりしている子どもが心配な場合に、さりげなく伝えてみましょう。
㉖ Every medal has two sides.
日本語のことわざ | 物事には裏がある |
直訳 | すべてのメダルには2つの面がある |
子どもは直観的に物事を捉え、ときに独りよがりな見方をもつのが特徴でもあります。
少し別の見方をさせたいときに「!どんなときでも、もう一方の見方はないかな?と考えるようにしようね」という立場で、Every medal has two sides.を教えてみましょう。
㉗ There is no time like the present
日本語のことわざ | 思い立ったが吉日 |
直訳 | 今のようなときは2度とない |
何かを始める子どもや新しいものに尻込みする子どもに対して、エールを送る場面で使えるでしょう。
何をやるにもタイミングが大切ですね。大人になれば経験や見通しなどで良き判断ができるかもしれませんが、子どものころは失敗してもいいからどんどんチャレンジさせてみた方が良いかと思います。
その際、There is no time like the present!といって、背中を押してあげましょう。また同じように子どもにエールを送りたい場合、下記の「ことわざ」も参考にしてみてください。
- Better late than never.(遅くてもしないよりまし)
- The fear is worse than the pain(案ずるより産むが易し)
失敗を恐れず、行動力の大切さを教えるのに役立つでしょう。
㉘When in Rome, do as the Romans do.
日本語のことわざ | 郷に入っては郷に従え |
直訳 | ローマにいるときはローマ人がするようにしなさい |
日本語では「郷」となりますが、英語ではRomeになるのも異文化を理解するのに役立ちますね。
英語学習を始める際あるいは始めたばかりのころは、新しい環境になれなくて困ることもあるでしょう。「とりあえずは雰囲気やルールに慣れてみると、なじみやすいわよ」と教えたい場合に、こちらの「ことわざ」を使ってみてはいかがでしょうか。
㉙A good beginning makes a good ending.
日本語のことわざ | 始まりよければすべてよし |
直訳 | よい始まりはよい終わりになる |
しっかり準備をしてスタートした場合、ゴール地点にたどりつきやすく良い結果を残す場合があります。子どもがいい加減な準備の仕方で何かを始めようとする場合、ちょっと釘をさしたいときはありますよね。
そのときにA good beginning makes a good ending.のように伝えてみるといいでしょう。
ところで、makesはこれまでにもよく登場しますね。「~にする」といった意味をもつmakesの使い方にも「ことわざ」を通して慣れさせるのは有効でしょう。
㉚ All is well that ends well.
日本語のことわざ | おわりよければすべてよし |
直訳 | すべては、おわりがよければいい |
先ほど紹介した「始まり良ければすべて良し」とはある意味逆の「ことわざ」となります。「いろいろ大変なことがあっても、結果がよければOKなんだよ」と子どもに伝えたい場合に使ってみましょう。
㉛It is a long lane that has no turning.
日本語のことわざ | どんな長い道も曲がり角がある |
直訳 | 曲がり角のない長い道はない |
この「ことわざ」は小さい子どもには実感として受け止められないかもしれません。ただ、子どもなりにつらさを感じることもあるでしょう。あるいは今後の人生にも同じように苦労は待っているかと思います。
どの人にも程度や頻度の差はあれ、曲がり角=苦悩はあります。生きるというのは、くねくね曲がった道を歩んだり自分で舗装しながら歩みを続けたりするもの…。
そうした教えや励ましを、子どもが少し大きくなったところで伝えてみてもいいですね。
㉜ Every man is the architect of his own fortune.
日本語のことわざ | 誰もが自分の運命の設計者 |
直訳 | ー |
architectとは「設計や建築士」を指します。fortuneは運や運命です。自分が人生の設計者とも訳せるでしょう。
親は子どもの保護者ではありますが、いずれ子どもは成長します。自立に向けて、自分が人生のデザインをしていくことの大切さにも気づかせたいですね。
Every man is the architect of his own fortune.は、その際に使える「ことわざ」といえるでしょう。
㉝Faith will move mountains.
日本語のことわざ | 信念は山をも動かす |
直訳 | ー |
faithは「確信」のように強い思いを表します。強い思いがあれば、行動を変えられますし、人のせいにしないで自分を律して生きていけます。
何かの目標を達成する場合もFaithは必要です。親としてそうした思いを伝えたい場合に子どもに紹介してみましょう。
㉞It’s always darkest before the dawn.
日本語のことわざ | 夜明け前が一番暗い |
直訳 | ー |
直訳どおりの「ことわざ」になりますが、真意は「夜明けという展開、つまり喜びや希望を感じられる前には、必ずといっていいほど苦悩が存在する。苦しい時期があってこそ人は喜びや希望を得られるのだ」となるでしょう。
こちらも、苦しいときを乗り越えられそうにもない…と悩む子どもや人々を励ます際に使われる「ことわざ」です。ちなみにdawnは夜明けの意味で「ドーン」と読みます。つづりの似ているdownと間違えないようにしましょう。
㉟ Tomorrow is another day.
日本語のことわざ | 明日は明日の風が吹く |
直訳 | 明日は別の日 |
意味は「過ぎたことや先のことを考えてもどうにもならない、なんとかなるさ」となります。
明日や未来が不安になったり失敗して落ち込み過ぎたりして、思い悩むのは大人にもあるでしょう。子どもが「明日の〇〇が心配!」と話す場合に、Tomorrow is another day!と明るく伝えると、子どもは安心するかもしれません。
ここまで35この「ことわざ」を紹介いたしました。いかがでしたでしょうか?それでは、最後にまとめに移ります。
まとめ
今回は、英語の「ことわざ」を学ぶメリットをお伝えしつつ、実際にどのような「ことわざ」が使えそうか紹介しました。
英語の「ことわざ」を教えるのは、はじめに紹介したように、4つのメリットがあります
- 言葉に興味をもつ
- 英語特有のフレーズを覚える
- 心の成長に良い
- 異文化を学べる
子どもが今後生きていくためには、周囲に翻弄されず「自分らしさ」を大切にすることが日必要でしょう。また、人とのかかわりをいかに良好に保つかも考えなければなりません。
これらの内容を、英語の「ことわざ」を使って教えると、子どもの心に残りやすくなります。また、英語の「ことわざ」を通して英語特有のフレーズを学べたり、文法を自然に身につけたりできるでしょう
親子関係にもプラスに働くと考えられます。!あせらず、少しずつで構いませんので、英語の「ことわざ」を使って親子の会話を豊かにしていきましょう。きっとお互いに気持ちが穏やかに、あるいは軽やかになりますよ。
最後に一つ、紹介して今回の記事を閉じたいと思います。
Where there is family, there is love.
(家族のいる場所には愛がある)