この記事では、『英語脳』とは何なのか?そして、子育てで『英語脳』を作る方法を解説します。
はじめに
ミライコイングリッシュの記事を読んでくださるママさんは、赤ちゃんや子どもの英語教育に高い関心をもっていることでしょう。
今回紹介する「英語脳」についても気になる人が多いと思います。英語脳とは、英語を日本語に訳すことなく「英語を英語のまま理解する能力」を指します。
英語脳を育てられれば子どもの英語力はぐんと上がり、将来の職業選択においても優位になるでしょう。
そこで今回は小さいころから育てると良いとされる「英語脳」にスポットをあて、その育成方法について解説します。また、育成する際に念頭におきたいポイントや親子でできる英語脳トレーニング法についても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
そもそも英語脳とは?
冒頭でお伝えしたように、「英語脳」とは、英語を日本語に変換することなく、英語のままで理解する状態を指します。
たとえば高校卒業レベルの英語学習者は、英文の内容を一旦母語である日本語に訳してから理解します。しかしTOEICや英検の上位スコア(級)を取る人やグローバルに活躍する人は、英語を英語のまま解釈するのに慣れています。
有名なスティーブ・ジョブズの言葉に次のようなものがあります。
You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.
(未来を見て、点(出来事)と点(出来事)を結びつけられない。ただ、ふり返って点のつながりがわかるだけだ。だから、点(今やること)がいつかつながるんだと信じることが大切なのだ。)※2005年6月12日 スタンフォード大学の卒業式でおこなわれたスピーチの中で述べられたもの。
このなかの一文、You can’t connect the dots looking forward.を取り上げてみると…。
英語脳の人は、You can’t connect/the dots/looking forward.のように区切りながら、前から順番に英語を英語で理解していきます。「つなげられないよ、点をね、前(未来)を見ていては…」といった感じです。
英語が苦手な人は、もしかしたら「 looking forwardが、前のthe dotsにかかるから…えっと『楽しみにしてる点?』ってこと???」と訳してしまうかもしれません。
また英語脳の人は、英語で英語を理解できると同時に、英語特有の言語感覚を養っています。スティーブ・ジョブズと同じような世界観を共有しているといえるでしょう。
異なる言語を使うときは「脳の働く領域が別に使われる」といった考え方もあります。ただ、近年の研究により、脳が双方の言語を同時に処理できる点がわかってきました。しかも、1つの外国語を学ぶより2つ以上の外国語を学んだほうが、脳活動の面で優位になるといわれています。
ご存じのように、英語脳をもつには大量の英語インプットや経験が必要です。しかし、それだけではなく、言語の背景にある文化や歴史観、その人の脳の構造や特性、あるいは英語の学習環境&方法…など、さまざまな点に考慮する必要があるのです。
本記事では、とくに「英語脳を育成するための学習環境や方法」について考えていきます。まずは次章で、赤ちゃんと子どもの「英語脳」育成法について解説します。
赤ちゃんと子どもの「英語脳」育成法は異なる?
赤ちゃんの英語脳、子どもの英語脳…といったように、その時期に応じた育成の仕方があります。
ここでは、赤ちゃんの英語脳を育てる場合と、小学校入学前後の子どもの英語脳を育てる場合の違いについて、3つに絞って解説します。
- 言語習得のスピード
- 学習方法
- 学習意欲
言語習得のスピードが異なる
まず、赤ちゃんと子どもとでは「言語習得のスピード」が異なります。赤ちゃんは言語習得のスピードがとても速いのが特徴です。赤ちゃんが生まれてから英語を聞かせると、英語の音やリズムにすぐに慣れていきます。
また、赤ちゃんは視覚的な情報にも関心が高いため、絵本やDVDなどを活用して英語に興味を持たせるのも良いでしょう。
一方、幼児や小学校低学年の子どもは、言語習得のスピードの面では落ち着き、より時間をかけて言葉を覚えていくようになります。
学習方法が異なる
学習方法に関していえば、赤ちゃんは英語と母語をある意味同時に学べるといえますが、成長するにしたがって、母語と英語を区別させながら学ぶことになります。このため、時期に合わせて、子どもの特性に合う学習方法を用意する必要があります。
学習意欲が異なる
学習意欲については、赤ちゃんははじめから、新しい言葉を覚えることに興味をもっているといえます。幼児や小学校低学年の子ども(それ以降も)は、学校や家庭での学習によって、英語に対する興味や学習意欲が変化する場合があります。
以上の内容から、赤ちゃんと子どもの英語脳の育成法については、成長に応じて変えていくのがベターといえます。
赤ちゃんの英語脳を育てる方法
赤ちゃんの英語脳と子どもの英語脳における違いを考慮しつつ、ここでは「赤ちゃんの英語脳をどうやって育てるとよいのか」について解説します。
赤ちゃんが英語を覚える仕組みとは?
赤ちゃんのころに英語を聞かせると、将来的に英語が得意になる可能性が高いといわれます。理由として、赤ちゃんの脳の発達やその特徴が挙げられます。
生後すぐに発達するのが、「物を見る」といった視覚機能をつかさどる後頭葉と、「音を聞く」といった聴覚にかかわる側頭葉といわれています。
赤ちゃんが英語を覚える仕組みとして、重要なポイントとして挙げられるのは「聞いて覚える」ということ。
つまり、赤ちゃんは聞いている言葉をそのまま覚えていくのです。英語脳を育成するためには、赤ちゃんが英語を聞く機会を増やすのが大切であるといえます。
赤ちゃんの英語脳を育てる際に知っておきたい点
赤ちゃんの「英語脳」教育法として、知っておきたいポイントは下記の3点になります。
【赤ちゃん英語脳】ポイント
- 生後10ヶ月以降になると英語のRとLの音区別が難しくなる
- 赤ちゃんの反応や特性を見ながら楽しくおこなう
- 赤ちゃんの顔を見て語りかけ、たくさん抱っこする
先ほどお伝えしたように、赤ちゃんは見事なリスニング力を発揮します。アメリカの赤ちゃんと同じように日本の赤ちゃんもRとLの音の違いを認識できますが、それも生後10ヶ月を過ぎると、2ヶ国の赤ちゃんに変化があらわれるとか。
クール博士によれば、生後10ヶ月から12ヶ月になると、日本の赤ちゃんはRとLの音を区別できなくなってしまうそうです。
そう思うと、親御さんは「英語のリスニング量を増やさねば!」とむきになってしまうかもしれませんね。
生後6ヶ月から8ヶ月ころが、母語以外の言語を習得できる「臨界期」といわれます。ただ、臨界期については7歳前後、あるいは思春期に入るころまでに…というように学者によって説がわかれます。
また、言語の音や文法、語彙などの理解に関しては、それぞれの分野によって最適な時期や習得に必要な期間が異なるといった説もあります。
赤ちゃんのころは「赤ちゃんにとって心地よくなる接し方」を大切にしなければなりません。この時期に聴覚や視覚、触覚が急速に発達するため、とにかく赤ちゃんの顔を見て語りかけ、たくさん抱っこしてあげましょう。
「月齢や個性、反応を考慮し、親子一緒に楽しみながら英語を吸収していく」…。そうした姿勢が大切なのです。
赤ちゃんに英語を教える方法
赤ちゃんへどのように英語を聞かせるかといえば、赤ちゃん向けの英語絵本や子ども向け英語を使って楽しむ方法があります。また、英語の歌やリズム遊びも赤ちゃんにとって楽しい刺激になるでしょう。
英語に慣れ親しむためには、赤ちゃんに英語で話しかける場面をつくります。ママやパパが英語で話したり、英語を使った遊びをしたりして一緒に楽しみましょう。
この実験は、2種類にわけておこなわれました。一方はテレビを通して、もう一方は対面でおこなった実験です。約3ヶ月おこなったのちに、中国語で区別される音のテストをおこなったところ、テレビで学習した赤ちゃんよりも、対面学習の赤ちゃんのほうが結果が良いことがわかりました。
つまり、人が言葉を覚えていくうえで大切なのは人との直接的なやり取りなのです。
英語のDVDを活用するにしても、赤ちゃんに見せっぱなしではなく、「一緒に見る」ようにしましょう。その際にママやパパが、〇〇ちゃん、How are you?good?、あるいはI like apples. Do you like apples?などと語りかけてみます。
昨今は、オンラインや画面を通して人とコミュニケーションを取る機会が増えています。こうした環境であるからこそ、顔を見ながら言葉をやり取りする時間をたっぷりつくる必要があるのです。
子どもの英語脳を育てる方法
ここでは、幼児期から小学校低学年のころまでの子どもの英語脳をどのように育てたらよいかについて解説します。
子どもが英語を覚える仕組みとは?
赤ちゃんから3歳ごろまでは脳の神経細胞が増え続け、五感が発達時期でもあります。この時期に読み聞かせや音楽、スポーツや遊びなど、さまざまな経験を重ねると脳によい刺激となります。
3歳から小学校入学前後になると、増え続けていた脳神経細胞の取捨選択がおこなわれるそうです。この過程で脳神経細胞がつながり合い、より複雑な情報伝達回路が構築されるといわれます。
また、3歳~5歳をピークに頭頂葉の運動野が発達します。運動野は、身体の動きをつかさどる領域で、指先の細かい動きができるようになるのも運動野の働きによるものです。
子どもの英語脳を育てるために必要なこと
赤ちゃん以降の子ども時代に英語脳を育てる場合は、前述のように脳の発達に合わせた教育法を採用する必要があります。
ここでは、幼児期から小学校低学年の子どもの英語脳を育てるために覚えておきたい点として、下記の4点を挙げます。
【幼児期~小学校低学年 英語脳】ポイント
- 発音の仕方を覚える
- 英語タイムを継続しておこなう
- 学習力や思考力の育みを考慮する
- 子どもに合う英語学習法を選ぶ
赤ちゃんが、英語のRやLの発音の区別を自然におこなうのはお伝えしたとおりです。ただ、その時期を逃すとまったく区別できないわけではありません。
実際に中学校以降に英語を習い始めた人が、聞いては話す練習を繰り返した結果、ネイティブ並みの発音を習得した例もあります。
RとLの発音の仕方を覚えてくり返し練習すれば、たとえばplay(~する)とpray(祈る)のそれぞれの音を聞き取って、意味の違いを把握できるようになります。
赤ちゃんは、このような発音の学び方を習得できません。脳が成長する幼児期から小学校にかけては、発音の仕方を覚えることで、リスニングやスピーキング、英語脳に良い影響を与えると考えられます。
結果を出すには、何度も練習を重ねることが重要です。子どもとの会話を通して、楽しく続けられる方法を選びつつ、併行して日本語の力や思考力を伸ばしていきましょう。
子どもに英語を教える方法
子どもに英語を教える方法としては、下記が挙げられます。
- 英語の歌で楽しみながら勉強する
- 英語カードを使ったゲームで遊ぶ
- ジェスチャーをつけながら英語を話す
- フォニックスで英語の発音を身につける
- 英語の絵本の読み聞かせをおこなう
- 無料アプリや市販の英語教材を活用する
- 英語の動画やアニメ、映画を視聴する
- 親自身も英語学習を進める
幼児期から小学校低学年の子どもが英語脳を育んでいくためには、質の良いインプット練習やアウトプット練習に力を入れなければなりません。
アウトプットとしてはほかに、一日の出来事を英語を使って話す場をつくると、学びが定着しているかどうかを確認できます。また、新たな言葉を覚える必要性を感じるため、子どものモチベーションアップにつながるでしょう。
※なおインプットやアウトプット練習については、記事のおわりに親子でできる英語脳トレーニング法を紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
幼児から小学校低学年の子供が英語を覚える仕組みは、多岐にわたります。遊びを用いた学習や外国人教師による授業など、さまざまな工夫をこらし適度な刺激を与えながら英語脳を育てていきましょう。
英語脳を育てる際の注意点
赤ちゃんから子どもの学習に関しては、強要したり親が焦ったりしてはいけないといわれますよね。英語脳を育てたいと思う場合も、強制や焦りは禁物となります。
ここでは、一般的にいわれる英語脳を育てる際の注意点を3つ解説します。
- 強制的に覚えさないように
- 母語の習得をおろそかにしない
- 子どもの興味をつなげて教える
強制的に覚えさせないように
赤ちゃんや子どもの反応を見ながら英語脳を育てていきましょう。赤ちゃんが英語の歌を聞くよりも日本語の歌の調子のほうがご機嫌が良い場合は、日本語を選択しましょう。
赤ちゃんは泣いたり表情を変えたりして、ママに自分の”感情”を訴えます。これにママが上手に反応してあげれば、赤ちゃんはご機嫌になりますよね。しかし、まったく無反応で直してくれなかったりすれば、英語脳を育成できないばかりか、赤ちゃんが不安定になってしまうでしょう。
母語の習得をおろそかにしない
英語脳を育成するにも母語の習得が重要で、英語と母語の教育を併行しておこなう必要があります。その理由として、下記の3点を挙げます。
- 母語の習得が英語脳の基盤となるため
- 母語を習得しなければ思考力の向上がむずかしいため
- 母語教育が英語教育に影響をあたえるため
くりかえしますが英語脳を育成するためには、まずは母語の習得が必要です。母語がしっかり習得されれば英語脳に必要な土台をつくれます。
また母語習得は、子どもの思考力や創造性、社会性の発達に深く関係しています。
たとえば文法のルールを理解することで、論理的思考力の育成につながります。言葉遊びやお話づくりなどを通して、子どもは自由な発想力を養うでしょう。社会性に関していえば、母語習得はコミュニケーション力や協調性と大きくかかわっています。
以上の理由で母語習得は重要です。母語の習得が、子どもの能力を開発したり英語脳を育成したりすることにつながっている点を念頭におきましょう。
子どもの興味とつなげて教える
英語脳を育成するためには、英語に楽しく触れる機会を増やしていきましょう。たとえば英語の本や映画、音楽などで英語を学ぶ場合、子どもの興味とつなげて英語脳を育成するようにします。
また、練習方法や学び方についても、子どもの興味や好きな方法を選ばせます。読者の皆さんのなかには「幼児や小学校の子どもに、英語の学習方法なんて、わかるの?」と考える人もいるかもしれません。
ただ、子どもの主体性を重視して、子どもが考える時間をつくるのは、思考力や表現力、判断力を育てるために有効です。英語脳を育てるにも子どもが「気持ちいい!」「楽しい!」とポジティブに受け止める方法を選択するようにしましょう。
親子で英語脳をつくるトレーニングに挑戦しよう
親のサポートを受けつつ、子どもが楽しみながら英語脳を育てられるトレーニングを紹介します。
ただお断りしておきますが「今回紹介する英語脳トレーニングを幼児期から小学校低学年の子どもに必ずおこないましょう」というわけではありません。
小学校中学年以降、あるいは中高生や大人まで続けられるトレーニング内容です。子どもが嫌がっている場合は、無理をさせず時機を待ちましょう。
今回紹介する英語脳トレーニングについては、親が実践する姿勢を見せると子どもに良い影響を与えます。また、「なにがなんでも子どもにさせなきゃ!」と思い込まず、子どもの特性や英語のレベルに合わせて、適宜アレンジしていきましょう。
多聴トレーニング
多聴とは、学習者のレベルに合った英文をたくさん聞くトレーニングを指します。言語習得に必要なインプット量の確保につながり、英語脳の基盤をつくります。
子どもが興味をもつ内容やレベルの音声・音源を用意し、理解できない部分のみ聞き直す過程をくり返しましょう。
多聴は、英語のままストーリーの全体を使うことが目的であるため、まさに英語脳を育成するために最適です。
ただ、基本的にわからない単語が、1~2割程度に収まるレベルにします。これも難しい場合は、さらにレベルを下げていきます。子どもに自信をもたせるためにおこなう英語脳トレーニングですから、無理にレベルを上げるのはやめましょうね。
音声変化を知るトレーニング
英語特有の音声変化を学ぶトレーニングも、英語脳を育てるのに役立ちます。
「英語は聞いてもさっぱりわからない」「正しく発音したつもりでも通じない」といった経験をもつのは、音声変化に慣れていないことが背景にあります。ネイティブはいわゆる「教科書で教わる発音の仕方」をしません。
たとえば「これ、見ておいてね」というときに使うCheck it out.は、「チェックイットアウト」と発音しません。「チェキラウ」のように、随分短縮されます。
たとえば音声変化のルールとして、たとえば下記の5点を紹介します。
- 連結(Linking)
→単語どうしがつながって発音される(an apple アナポー) - 同化(Assimilation)
→となり合う音が影響して違う音になる(need you ニージュ) - 弾音化(Flapping)
→tやdが「ら」のような音になる(Let it be.れりびー) - 脱落(Reduction)
→音が発音されない、あるいは小さくなる(Stand up スタンダッ) - 弱形(Weak foams)
→音が弱く、短く発音される(have to → haftaハフタ)
これらの音声変化を知ることで、ネイティブの英語を聞き取りやすくなり、英語脳にぐんと近づきます。
リピ―ティングでトレーニング
リピ―ティングとは、英語の音声を聞いた後に同じようにくり返して発音するトレーニングを指します。最初は頭のなかで文を組み立てながら聞くのですが、練習を続ければ「組み立てる」必要もなく、自然にリピートする力を養えるでしょう。
まずは、音声を聞いて英文を見ないで発話してみます。文の区切りごとに止めて、聞こえたとおりにくり返してみましょう。わからない場合のみ英文で確認します。
リピーティングは、次に紹介するシャドーイングよりも丁寧に音声を聞けます。
シャドーイングでトレーニング
シャドーイングとは、聞いた音声のあとを1~2語遅れて追うように発音していくトレーニングを指します。通訳者がよく使う英語脳トレーニングです。「音声を認識する」のを鍛える訓練法といえるでしょう。
英語を聞く場合、脳の中では、音声を認識してから意味理解をするといったプロセスを経ています。シャドーイングでトレーニングをしていくと、次第に「音声を認識する」過程を省いたり、その容量を減らしたりできます。
つまり、意味を理解するのに集中できるため、英語脳に近づけるのです。また、イントネーションや音声変化なども意識できる点もメリットといえるでしょう。
ディクテーションでトレーニング
英語脳を鍛えるトレーニングとして、聞こえた音声をそのまま書き取るディクテーションといった訓練もおすすめします。
文字を習っておらず、書くことが難しい幼少期に、強制的におこなうのはよくありません。ただ、子どもが文字に興味をもち覚えたがっている場合は、アルファベットカードを使ってゲーム的にさせるのが良いでしょう。
たとえば、antと聞いてa-n-tの順番にアルファベットカードを並べられるかどうか、遊びのなかで確認していきます。フレーズを覚え始めたら、子どものなかには音声変化のある箇所を把握しながら、カードを並べたり書いたりできたりするかもしれません。
いずれにしても、英語脳トレーニングだからといって、親が強制したり焦らせたりすることなく、子どもが楽しみながらできるように心がけましょう。
多読トレーニング
多読とは、やさしい英文を和訳を用いずに読むトレーニング方法です。英語脳を育てるうえで大変役に立つ方法です。
多読をさせる場合に大切なのは、子どもの英語力に合わせた本を用意する点です。何度も読み聞かせをしている絵本と同じレベルの本を選ぶようにしましょう。
いきなり多読を求めると、子どもは嫌がります。最初は親子で一緒におこない、読み方を少しずつ教えていきます。
たとえば「英文を読むときは、完璧な和訳をめざさなくていいのよ」「前から区切って英文を読んでみるのよ」「わからない単語があったときは、前後の文から予想してみよう」といった感じで、進めていきましょう。
くり返しトレーニングをおこなうことで、子どもは読み方や理解力を身につけ、少しずつ英語脳に近づいていきます。
音読トレーニング
音読は、日本語の学習でも使われるトレーニング方法で、ここでは英文を声に出して読むトレーニングです。スピーキング力を向上させるのと同時に、文法の基礎を養えます。
子どもの興味や英語力に応じた読み物を選び、文章のつながりや意味を確認しながら音読します。音読の場合は、わからない箇所をそのままにせず、発音の仕方を電子辞書やアプリで確かめたり、意味を確認したりしましょう。
イメージトレーニング
英語脳を育てるために効果的なのは、イメージで文法をとらえる練習です。専門的には「認知文法」と呼ばれるようです。
認知文法とは、認知言語学をもとにした文法の解釈法で、ネイティブの「感覚」を理解できるようになるといわれます。ネイティブの感覚がわかる=英語脳に近づくため、イメージトレーニングも取り入れていきましょう。
たとえば、プレゼントを用意した場合、to you でもfor youでも、どちらでも使えると考えられます。しかし、感覚的に「~のために」といったイメージをもたせないのであれば、forを使う、といったようにイメージで言葉をチョイスできます。こうした感覚が英語脳の育成に必要なポイントだといえます。
瞬間的に英作文するトレーニング
瞬間的に英文をつくるのも英語脳を養ううえで効果があります。与えられた日本語文を英文に直して、すぐに口にするといった方法です。
即座に英作文するのは、かなり負荷がかかりますが、やさしい英作文から挑戦させましょう。くり返していけば少しずつ英語脳が育てられ、集中力も鍛えられます。
また、タイマーやポイント制を使ってゲーム的にさせるなど、子どものやる気を高める工夫をしましょう。
独りごとでトレーニング
「独りごと」を使ったトレーニングも英語脳を鍛えるために役立ちます。英語力を鍛えるにはインプット量を充分に確保する必要がありますが、英語が話せるようになるには実際に使う場面をつくらなければなりません。
子どものインプットが規定量以上になれば、少しずつアウトプットの機会を増やしていきます。英語学習で覚えた単語やフレーズをアウトプットするのは、自宅で気軽に取り組めるでしょう。
たとえば小学生の子どもでしたら、文具の名前を英語でいいながら勉強の準備をしていきます。Pencil,eraser,notebook,textbook…OK!I’m ready! Let’s start.といった感じです。
想像力豊かでお話づくりが得意な子どもであれば、あらゆる場面で役者のように英語で演じ始めるかもしれませんね。
英語で英単語を説明するトレーニング
英語で英単語を説明するトレーニングは、英単語の意味を理解し、自分の言葉で表現する力を養うためのトレーニングです。
英語で英単語を覚えたり説明したりする力をつけることで、訳す必要がなくなり即座に英語で反応できるようになるでしょう。
子どもによっては、「もう少しかっこよく説明したいなあ」と思って、電子辞書やアプリなどを使って調べるかもしれません。あるいは、親子で3ヒントクイズを作って問題を出し合うのもいいですね。
これらのトレーニング方法をくり返すことで、英語脳を育成することができます。毎日少しずつでも続けてみてくださいね。
まとめ
今回は、赤ちゃんや子どもの英語脳の育成方法やポイント、注意点などを紹介しました。また記事後半では、英語脳を鍛えるためのトレーニング法についても紹介しました。
記事をまとめると下記のとおりになります。
- 英語脳とは英語で英語を理解すること
- 赤ちゃんと子どもの発達段階によって英語脳の育成法は異なる
- 生後6ヶ月~8ヶ月のころの赤ちゃんは言語の音を区別できる
- 赤ちゃんの英語脳を育てる場合は「見て語りかけ、抱っこ」を意識
- 幼児から小学校低学年のころは子どもに合う学習方法を選ぶ
- 学習力や思考力の育成を考慮しながら、英語タイムを「継続」する
- 母語の学習を大切に、子どもの興味とつなげる
- 親子で楽しみながら英語脳トレーニングをおこなう
これをすべて目の前の子どもに反映させるのは難しいかもしれません。ただ、時期や子ども特性や興味、英語レベルなどに応じて、いろいろ試してみましょう。
そのなかで子どものお気に入りの曲やトレーニング方法があれば、それを軸に毎日少しずつ練習を積んでいきます。
ただ、英語脳の育成とはいえ、あくまでも子育ての一つとして親子で楽しくおこなうことが一番大切です。結局「楽しい」といった感覚が英語脳の育ちに良い影響をあたえ、実際の英語力向上につながります。
ぜひ、ワクワクドキドキ、ときにはゆったりしながら、毎日一緒に共有する時間をつくっていきましょう。今回の記事が、英語脳を育てたいと思うママさんやパパさんのお役に立てればうれしいです。