ミライコイングリッシュの記事をお読みになっているママさん、パパさんのなかには「子どもの英語力が将来の仕事にどう関係しているのか」気になる方もいるでしょう。
子どもに英語教育を施す場合、しっかりと将来像を描くのは大切なことです。
今回は「英語力と仕事」にフォーカスし、年収の高い職業やグローバルなキャリアの可能性について探ります。
また、幼児教育で重視される非認知能力の育成についても考慮しながら、今後どのような見通しをもって英語教育をおこなうべきか一緒に考えていきましょう。
英語力と仕事のチャンス
子どもが将来の仕事を考えるとき、保護者として年収やビジネスチャンスの高さを予想する場合もあるでしょう。予測不可能な社会において、どのような職業の収入が高いか低いか気になりますよね。
株式会社リーディングマーク運営の「キャリハイ転職」サイトによると、稼げる仕事として下記のようなランキングが示されています(年収は男女平均)。
- 医師:1,378万円
- パイロット:1,072万円
- 大学教授:1,072万円
- 経営・金融・保険コンサルタント:1,030万円
- 弁護士など法務従事者:945万円
- 大学准教授:856万円
- 政治家、会社役員:840万円
- 歯科医師:787万円
- システムコンサルタント・設計者:734万円
- 研究者:714万円
参考:【2023年最新】稼げる仕事ランキング男女30選!学歴不問・未経験・資格なしでも高年収(キャリハイ転職)
上記の仕事は高い専門性や資格などが要求されるため、年収も高くなっています。また、景気に左右されにくい職業とも言えるでしょう。
最初に結論を言えば、年収が高く仕事が比較的安定している職業につく場合、必ずしも英語が絶対必要!とは言い切れません。実際、年収の高い仕事に就くためには、英語力だけでなく他教科に関するスキルを幅広く、そして深く理解する必要があります。
※こちらについては英語と年収の関連性について触れた記事「英語力は将来の年収アップにつながるの?子ども英語教育のポイント」に詳しく解説していますので、宜しければそちらもお読みください。
英語は大学入試や他の試験において高得点を取るために必要とされる一方、国内で働く場合は英語を使用する頻度が低くなることがあります。そのため、絶対に英語を使用しなければならない状況とは言い切れないのです。
ただし、現代はグローバル化が進み、多様な見方や考え方、もちろん「できれば英語力があったほうがよい」とされる時代であるのは事実でしょう。
多様性を理解しながらより良い働き方をするためには、英語力を身につけることは有益です。その理由は、英語を理解して使えれば海外の情報にアクセスしやすくなるためです。さらに、英語力はグローバルな仕事のチャンスを広げ、スキルを磨く手助けにもなります。
つまり、英語をマスターすることで仕事の選択肢が増え、キャリアアップにつながる確率を高めるといえるでしょう。
将来の職業選択に向けて~英語教育の視点~
ここでは、前章の内容をもとに将来のキャリア選択に向けて、今の英語学習をどのように進めていくべきか説明します。
まずは企業が求める仕事上のスキルを紹介します。続いてそのスキルの必要性を明らかにしながら、英語教育をおこなう意義を確かめましょう。
企業が求める人材とは?
帝国データバンクは、企業が求める人材像についてアンケート(2022年)をおこない、企業の採用活動において求める人材像(3つまでの複数回答)をたずねました。結果は下記のとおりです。
- コミュニケーション力が高い(42.3%)
- 意欲的である(42.2%)
- 素直である(35.0%)
- 真面目または誠実な人柄である(31.8%)
- 明るい性格である(21.9%)
- 専門的なスキルを持っている (18.3%)
- 前向きな考え方ができる(15.4%)
- 行動力がある (12.5%)
- 精神的にたくましい(9.7%)
- 主体性がある(8.6%)忍耐力がある(8.6%)
参考:帝国データバンク「求める人材像 ~ 上位 10 項目」
※数字は、採用形態全体値
また、中途採用に関しては、新規採用者に対する人物像とは異なる傾向も見られます。たとえば、中途採用の際に重視する項目として「真面目または誠実な人柄である」や「専門的なスキルをもっている」ことを多くの企業が挙げていました。
非認知能力は数値では測れない「人間力」です。子どもを育てる際は、知識や技能的なスキル以外の要素を加えて、総合的な力を養っていくことが大切であるといえます。英語を学ばせる場合も意識したい視点です。
次からは、英語教育をおこなう場合に必要な要素を確認します。
視点1:子どもの個性や興味に合わせる
子どもに英語を学ばせるときは、可能な限り子どもの個性や興味に合わせるようにしましょう。
保護者が子どもの将来のために英語が必要だと判断し、英語の教材を用意する場合も同様です。子どもの様子をよく観察し興味に合う教材を選びます。歌が好きな子どもであれば英語の歌を、カードゲームが好きな子どもにはゲームを考えさせたりするなど工夫します。
また、英会話スクールに通わせたい場合、ネイティブの先生と楽しく過ごせる子どもであればよいのですが、なかには恥ずかしがりやの子どももいるでしょう。この場合は、体験教室での様子を見て、馴染めるかどうか保護者が判断しなければなりません。
英語学習と通じて子どもが「英語って楽しいね」「ワクワクするね」といった感想をもつことは何より大切です。「好きこそものの上手なれ」といわれます。子どもの「好きを習慣化させる」視点を念頭に、英語教育をおこなうようにしましょう。
視点2:自信をもたせ自己肯定感を育む
子どもが好きなことを思う存分学べるのは、自信や自己肯定感の醸成につながります。好きなことに取り組むのは、子どもに自分自身の能力や才能を発揮させるでしょう。
能力や才能が発揮されたと感じる、つまり達成感をもつのは、成長期の子どもにとってとても大切です。
前述でお伝えしたように、子どもの「好き」に焦点をあてるのは重要です。英語を習得することだけにフォーカスするのではなく、英語で子どもが何を表現するのかに着目するのです。
たとえば野球が好きであれば、野球に関する英単語やフレーズを覚えたり大リーグの試合を英語解説で視聴したりします。また料理が好きであれば、日本料理を外国人に教えると仮定して英語でレシピ解説をします。
この際に保護者は、子どもが好きなことを好きなようにできるよう適宜サポートしましょう。また英語を正しく聞き取ったり、上手に英語表現ができたりした場合は、ほめて子どもの自信につなげます。
英語学習を通じて興味を広げたりできることを増やしたりするのは、子どもの自己肯定感を育み、新たな学びに挑戦する姿勢を養うでしょう。
視点3:コミュニケーション力と国際感覚を養う
コミュニケーション力は、企業が求める人材像の第1位にランクされており、人物評価の重要項目といえます。
コミュニケーション力を身につけるのは人間関係をよりよくするためです。また、コミュニケーション力があれば協働的な仕事が可能になるため、創造性を発揮させる場合に有効です。
また、英語力を身につけると、国内だけでなく海外の人々と自由に意見交換できます。実際に海外に渡航して現地の人々と仕事をしたり、オンラインツールを用いてリアルタイムでコミュニケーションをとったりできます。
つまり英語力を磨くことで、コミュニケーションの対象となる相手や方法を広げながら、柔軟な思考力や行動力の向上につながるのです。
視点4:子どもの主体性を重視する
最後になりましたが、英語教育をおこなううえで重要な視点の一つ、「主体性」について解説します。
主体性は、英語を含む教科やスキルの教育において重要です。主体的に学ぶ子どもを育てるためにも、保護者は子どもの興味や好きなことを尊重する姿勢を保ちましょう。
たとえば子どもがダンスに興味があるとすれば、英語学習にもダンス系の歌を聴かせるようにします。子どもの主体性を重視する場合は、保護者が一方的に「この曲を覚えよう」とするのではなく「あなたはどの曲がいいと思う?」とたずねます。
子どもが選択に悩むようであれば、2,3曲ピックアップして子どもに選ばせましょう。英語の学習方法についても、子どもが小さいころは保護者が主導的な立場にありますが、少しずつ子どもに学習方法を選択させるようにしましょう。
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以上、将来の仕事を自由に選択できるようにするために、今の段階で英語学習をどのような視点で進めていくべきか解説しました。
企業が求める人材像は、2022年におけるもので、将来同じようなイメージで求められるとは限りません。ただ、コミュニケーション力や意欲、誠実さといった力やスキルは、時代を問わず大切にされているものです。
自宅やスクールなどで英語教育をおこなう場合も、本章で紹介したスキルを意識して、子どもの学ぶ力や生きる力をバランスよく育んでいきましょう。
次の章では、英語力がどのような仕事にどのような影響を与えるのかについて解説します。スキル別の仕事例も紹介しますので、ぜひ通してお読みください。
英語力が仕事に与える影響とスキル別仕事例
ここではまず、英語力をつけることで仕事にどのようなメリットが生まれるのかについて解説します。
英語力が仕事に与える影響
英語を習得しスキルを向上させるのは、仕事にも良い影響を与えます。仕事にどのようなメリットが生まれるかについては、たとえば次の内容が挙げられます。
- 仕事の幅を広げられる
- 新しいアイデアの創出につながる
- 昇進・昇給の可能性を高める
英語力は、仕事のあらゆる場面で役立ち、チャンスを広げることにつながります。英語が話せれば、海外の取引先との交渉や、海外のニュースや論文を読んだり、異国の文化を理解したりできるでしょう。
また英語力は就職や転職においても有利になります。英語が話せる人は、昇進や昇給の可能性も高くなります。
続いて、英語力に応じた仕事例について紹介しますので、参考にしてみてください。
スキル別の仕事例紹介
本章では、子どもの特性にもとづく職業を例に挙げ、英語活用可能な仕事内容について解説します。将来の仕事や子ども像が明確になりますので、ぜひご確認ください。
まずは、子どもがとくにコミュニケーション力が高いと思う場合の英語活用可能な仕事例から紹介します。
コミュニケーションスキルにもとづく仕事例
コミュニケーション力が高い子どもは、たとえば以下の職業が向いているでしょう。
- 外資系企業
- 日本語教師
- ホテルや観光業
- 翻訳家や通訳、通訳案内士
上記の職種は、高いコミュニケーション力が求められます。相手の伝えたい内容を正しく理解するとともに、誤解を与えないような伝え方を身につけなければなりません。
TOEICスコアでいえば、業種や職種、業務の種類によりますが、最低でも600点、700点以上である必要があります。翻訳や通訳に関しては900点以上が理想です。
また、外資系企業のなかでも貿易事務や人事採用担当者は、取引先とのやり取りや採用・労務に関する業務がすべて英語でおこなわれるため、高い英語力が求められるでしょう。
テクニカルスキルにもとづく仕事例
ものの仕組みに対する関心が高く、もの作りが得意な子どもは、次のような仕事が合っているでしょう。
- IT業界でのプログラマー
- 製造業での技術者、エンジニア
- データアナリスト
IT業界では、プログラミング言語や技術の理解が必要で、コンピュータソフトウェアやWebサイトの開発、システム設計やデータベースの管理などの技術力が求められます。
製造業でも製品の設計や生産工程の最適化など、やはりテクニカルな能力を活かした仕事があります。また大量のデータ解析をおこない、傾向やパターンを把握するアナリストも技術面での能力を発揮できるでしょう。
これらの仕事では英語力も重要であり、海外の技術情報を把握したり国際的なイベントで専門用語を用いながら説明したりするなど、英語を活かす場面が多いといえます。
TOIECスコアの目安としては600点以上と想定できますが、英語力が高ければ高いほど、海外展開の際に活躍の場が広がるでしょう。
クリエイティブスキルにもとづく仕事例
クリエイティブな発想が得意で独特の美的センスのある子どもは、次のような仕事が候補に上がります。
- 広告業界従事者やマーケター
- 映画やメディア、サブスクなどの映像編集者
- グラフィックデザイナーやWebデザイナー
広告業界やマーケターにはクリエイティブな文章やキャッチコピーの作成能力が求められます。
映像編集者は、素材を組み合わせて魅力的なコンテンツに仕上げる役割を担い、デザイナーも斬新なアイデアやセンスを生かして視覚に訴える作品を仕上げる力が必要です。
これらの仕事においても、国際的なイベントやプロジェクトで英語を使ったコミュニケーションが必要となる場面もあるでしょう。英語力があれば、自身の創造性や美的センスをグローバルに発揮できるチャンスが広がります。
リーダーシップスキルにもとづく仕事例
リーダーシップをとるのが得意な子どもは、次のような仕事に就くことが考えられます。
- マネージャーやチームリーダー
- 経営者やマネジメント職
- 教育業界での講師やコーチ
リーダーやマネジメント職になると目的達成に向けてメンバーを指導したりサポートしたりする場面が多くなります。TOEICスコアは業界や企業によって異なるため一概にいえませんが、700点以上は求められるでしょう。外資系企業では800点以上が必要となります。
また、講師やコーチは生徒のモチベーションを促進する役割を担います。リーダーシップが求められることもあり、クラスやグループ指導や指導者としての影響力をもたなければなりません。とくに英語講師の場合、ネイティブ並みの英語力が要求されるケースも多く、800点以上のハイスコアが求められます。
高い英語力は、海外との取引や異文化間コミュニケーションにおいて、責任ある仕事を任せられる傾向があります。また、それは実際にプロジェクトの成功率を上げる要素となるでしょう。
企画力や交渉力にもとづく仕事例
企画力や交渉力はリーダーシップと似ていますが、若干異なります。リーダーシップは、他者を指導したり鼓舞したりして共通の目標を達成する能力といえます。
企画力や交渉力のある子どもは、次のような仕事が向いているでしょう。
- 経営コンサルタントや戦略プランナー
- 国際貿易業界での貿易担当者
- プロジェクトやイベントプランナー
コンサルタントやプランナーは、企業の課題を分析して効果の上がる戦略や計画を立てる役割を担います。また貿易担当者は、海外の取引サイトの交渉や契約条件の調整をおこないます。
プロジェクトやイベントプランナーについては、企画の段階から実行までの流れを考え、かかわる人々との調整役を担います。
どの仕事も、英語力があれば国際的なプロジェクトに参加でき、関係者と円滑にコミュニケーションを図りながら事業を成功へ導けるでしょう。
ここまで紹介した仕事以外でも、子どもの興味や特性を生かせる仕事はたくさんあります。たとえば、野菜を育てることに興味のある子どもであれば農業従事者になることや、アパレルに興味があれば小売店や個人事業主になることも考えられます。
たとえば、農業従事者であれば日本の農作物や関連商品を世界に紹介したり、輸出をしたりすることが可能です。また、ショップ経営者であれば在日外国人や海外通販も視野に入れて事業を拡大できます。
つまり、「英語を習得できれば、子どもの将来において、より多くのチャンスやアイデアが生まれる可能性がある」と考えてみるのです。子どもの将来を豊かにするためには、英語学習を重要な要素として取り入れるのが望ましいといえます。
キャリアアップと英語力:将来自立するために
読者のママさん、パパさんは「グローバル化が進むなか、英語力はキャリアアップに欠かせないスキル」といった視点をすでにもっているでしょう。子どもの良さや特性を尊重しながら将来の仕事を選択する姿勢が大切です。
この際、英語力があれば持ち前のスキルをさらに発揮できるととらえます。
今回は、子どもの特性から職業をピックアップして紹介しましたが、どの職種(営業職や技術職、経営職など)であっても、英語力の活用は有効に働きます。
- 営業職:英語でプレゼンテーションや交渉をおこなう
- 技術職:英語で技術文書を書いたり読んだりする
- 経営職:海外のビジネスマネージャーと対話する
このほか、外国人労働者に仕事内容を教える際も、国際的な共通語である英語を活用できるでしょう。
転職・求人情報サイト「Daijob.com」がおこなった独自調査によれば、企業からスカウトを受けた人材の90%以上が英語レベルビジネス会話以上であり、英語力の違いによって50代の男性で1.3倍、40・50代の女性で1.6倍の年収差が生じていることが示されました。
この結果からわかるのは、女性がキャリアアップを目指すためには、英語力が重要なポイントになるという点です。
とくに男女共同参画が進まず、女性が子育ての時期にキャリアを辞めたり休んだりする経験をしやすい現状では、女性が昇給や昇格に不利な状況にあることは否めません。しかし、女性がキャリア選択において英語力を磨けば、自己成長やキャリアアップが期待できます。
グローバル化が進む現在でも、英語教育に否定的な人がいるのは事実です。しかし、将来を見据えて子どもの個性や可能性を広げるためには、英語が一つの有益なツールとなり得ることは念頭におきたいですね。
まとめ
「英語、仕事」に焦点を当てながら、英語力がもたらす仕事のチャンスとキャリアアップについて考えてきました。
英語教育では、子どもの主体性を重視しながら、将来を見据えた目標を設定する必要があるでしょう。目的を明確にしつつ前向きさや自己肯定感、コミュニケーション力などの育成に目を向けて育てていきます。
子どもの特性や興味については個々に異なります。子どもの強みを最大限発揮するには、どのような仕事がよいのか、ある程度予想しておくのも重要です。ただし、その際は保護者の希望を押し付けるのではなく常に子ども目線を大切にしましょう。
また、英語の習得はキャリアアップにも有益であり、将来の自立を支える一助となります。「英語をやっておいたほうがチャンスが広がる」といった考え方はシンプルですが非常に価値ある見方なのです。
今回の記事が、お子さんの英語教育を広い視野でとらえるとともに、わが子のよりよい成長に向けてどのようなサポートをしていけばよいのか考えるきっかけになればうれしいです。