子どもの可能性を最大限に引き出すためには、知育を視野に入れた教育方法が有効であるといわれます。
知育は子どもの成長段階や興味に合わせて、各家庭で工夫することが大切です。日常生活での遊びや親子のコミュニケーションを知育に組み込み、子どもが楽しく取り組めるように心がけます。また、五感をバランスよく刺激し、豊かな言語環境を整えることも重要です。
ただ、ミライコイングリッシュを読んでくださる方々のなかには「知育について今一度おさらいしたい」「どのような視点で英語と知育を掛け合わせるの?」といった疑問をもつママさんもいるでしょう。
そこで、今回は知育の概要や効果を確認するとともに、子どもの可能性を引き出す知育法や英語教育の有効な活用法について紹介します。
知育とは?
知育は、子どもの知的能力を育て、知識を習得させるための教育法といわれます。従来の詰め込み型の教育法ではなく、子どもが自発的に物事を考えたり豊かで知的に思考したりする力を育む方法です。
知識を習得させる場合は、何度も同じ内容を唱えさせたり反復させたりするトレーニングも必要でしょう。しかし、これだけでは内容を受け入れるだけの受動的な学びとなり、いざというときに活用できない知識となってしまいます。
知育は、受動的な学びの姿を育てるのではなく、子どもの能動的な取り組みを支える教育法です。子どもの興味や好奇心を活かし、楽しみながら学ぶ環境を整えることで、子どもの学びに対する意欲を引き出す効果があるのです。
知育の基本的なポイントとは?
知育の基本的なポイントは以下のようになります。
- 自発性を重視
- 遊びを積極的に取り入れる
- 適切な課題を設定する
- 達成感を与える
- 質問を促す
知育では、子どもが自分から興味をもち、主体的に考えることを重視します。保護者が行うサポートや刺激を通じて、子どもが自分で学ぶプロセスを大切にします。
知育を楽しさと遊びの融合であると捉えれば、遊びは重要な要素です。子どもは遊びを通して好奇心や創造性を刺激し、知的能力を養っていきます。
この場合、親がすべてサポートするのではなく、子どもの自発性を重視する姿勢でいることが大切です。また、失敗を肯定的に受け止め、モチベーションを保つためのフォローをおこないます。
さらに、子どもに質問を投げかけ、スルーしがちな要素に目を向けさせる取り組みも重要です。保護者が子どもから質問を受けた場合は、質問を受け止め適切に応えたり一緒に調べたりして知的好奇心の育みに寄与します。
知育は単に「知識」を習得するにとどまらず、思考力や判断力、表現力などの知的側面を伸ばし、子どもの可能性を拓くための教育方法といえます。
知育・徳育・体育の「三育」とその意義
知育は三育の一つに挙げられます。「三育」とは知育・徳育・体育を指し、イギリスの学者ハーバート・スペンサーによって提唱されました。
- 知育:思考力や判断力、表現力、記憶力、想像力などの知的能力や知識を習得するための教育
- 徳育:倫理や道徳心を育てるための教育で、他者への思いやりや良い行動をとる姿勢を養う
- 体育:心身ともに健康的な生活を営むための教育で、自身の健康に関心をもちながら運動能力を向上させることを主な目的とする
これら三育をバランスよく養うことで、子どもの生きる力や社会生活で必要な力が総合的に育つようにします。
知育で伸びる能力とは?
知育は、子どもの知的能力を育てるための教育法であり、子どもが自ら物事を考えたり知的に思考したりする力を育む方法です。具体的には、以下のような能力が知育によって育まれます。
- 理解力:物事を理解する力(話の内容や周囲の状況を理解する)
- 判断力:さまざまな選択肢から最適なものを選ぶ力(自分に関わる選択や善悪などの判断)
- 思考力:物事を順序立てて考える力(問題解決や論理的な思考)
- 想像力:創造的な発想をする力(絵本やお話を通じて自由に発想を膨らませる)
- 言語能力:言葉を理解し、自己表現する力(語彙力や言語理解力、表現する力)
- 社会性:他者との関わりや協力する力(思いやりやコミュニケーションが含まれる)
これらは一側面といえるほど、知育の範囲は比較的広範囲に及びます。
知育では保護者の固定観念に縛られることなく、子どもの興味や好奇心を大切にし、楽しみながら学ぶ環境を整えることが重要です。絵本やおもちゃを通じて子どもが自発的に学び、創造的な遊びを通じて柔軟な思考を育めます。
また、親や保育者とのコミュニケーションを大切にすることで社会性も養われます。
知育によって育まれる力は、将来の学びや社会生活において大きな役割を果たします。知育を通じて子どもの内面的な成長を促進し、自己肯定感や自己成長を育むことができるでしょう。
また、三育のほかの分野「徳育」「体育」とも密接につながっており、多角的な視点に立って子育てをしていく姿勢が重要です。
教育や遊びとの違い
知育と教育、および遊びとの違いは明確にあります。ここでは、知育と教育の違い、遊びと教育の違いの2点にわけて紹介します。
知育と教育の違い
知育は教育の一部であり、とくに知的能力を育てるために行われる教育を指します。一方で教育は広い意味で、知育だけでなく道徳教育や身体教育など、さまざまな目的をもった教育全般を含みます。
知育と遊びとの違い
知育と遊びの違いは明確な目的があるかどうかです。遊びは楽しむことが重要な目的であり、子どもの好奇心や創造性を刺激することが重視されます。一方、知育は遊びを通じて子どもの思考力を育てるといった具体的な目的をもちます。
幼児に知育が必要な理由
幼児に知育が必要な理由は、学校教育や社会生活の基礎になるだけでなく、幼児期の脳の発達に大きな影響を与えるためです。幼児期は脳がもっとも活発に成長する時期であり、日々の経験や刺激が脳の神経回路を形成する過程で、重要な役割を果たします。
また、幼児期は脳の発達が急速なため、多くの情報を吸収し、新しいつながりを形成する能力が高まります。知育を通じて子どもに適切な刺激や経験を提供することで、想像力や推理力、記憶力などを育みます。さらに、知育の過程において親子関係を重視すれば、情緒的な成長も促進されるため、感情豊かに表現したり自己コントロール力を育てることも可能です。
とくに、前頭葉と呼ばれる脳の領域は高次の知的能力を司り、学習、思考、判断、記憶、問題解決などに関与しています。幼児期に前頭葉を鍛える活動や刺激を提供することは、子どもが将来の学びや社会生活で活躍するための基盤を築くうえで重要です。
親や保育者は、子どもに適切な知育の環境を提供することで、前頭葉を含む脳の発達を促進させることができます。絵本の読み聞かせや知育玩具を使った遊び、問題解決を促すゲームなど、子どもの興味や好奇心を刺激する活動が重要です。
幼児期における知育の重要性は、子どもの将来の可能性を広げるために欠かせないものです。子どもの成長に寄り添い、前頭葉を含む脳の発達を促進する知育の提供が、子どもの成長と将来の幸せに繋がることを念頭におきましょう。
知育を始めるタイミングはある?
実際に知育を始める時期はいつごろからがよいのでしょうか。本章では知育を始めるタイミングと年齢別の知育法について解説します。
知育は、子どもの知的な発達を促すための教育活動です。知育の活動を通して、子どもは思考力、問題解決力、創造力、学習意欲などを伸ばすことができます。
知育はいつから始めても遅くはありません。
脳の発達期に合わせた保護者のかかわり方として、以下の例が挙げられます。
成長時期 | 発達する領域 | 子育て(知育)ヒント |
生後すぐ〜6カ月 | 原始的な感覚領域 | 親子の触れ合いで感覚領域を刺激。やさしく語りかけられ、抱っこされ、不快な感覚を取り除く。 |
生後6カ月〜2才 | 母国語の獲得にかかわる領域 | 表情やしぐさを合わせて語りかける。愛着を感じさせつつ、さまざまな種類の読み聞かせをする。 |
2才〜4才 | 知的好奇心が育つ | 図鑑や絵本で外の世界を見せる。知識とリアルな体験を結びつける。 |
3〜5才 | 運動領域の発達 | 有酸素運動を行う(外遊びなど)。体を動かすことで海馬の成長が促進され、記憶力をアップさせる。、 |
(参照元:Benesseたまひよ30th「子どもの脳は3歳までに約90%ができあがる⁉【0〜6才まで】脳の発達時期に合わせたかかわり方」2021.11.6※医師・医学博士瀧靖之氏監修)
赤ちゃんのころは愛着形成を促進させ、知的好奇心が育つ時期は、さまざまな体験や経験をさせるなかで、図鑑や絵本などを用いて知識の定着を自然に図る取り組みが重要です。
また、幼児期は運動機能も急速に発達するため、体育と掛け合わせて知育を進めます。その際、親子で一緒に活動して親のやり方を真似させるなどすると好奇心を刺激します。
知育活動は、子どもにとって楽しいものである必要があります。子どもが楽しく取り組むことができれば、より効果的です。また、子どもの興味や関心に応じて知育活動を工夫するとよいでしょう。
知育とおうち英語の組み合わせ
知育と英語教育を組み合わせることで相乗的に能力を高めていきます。ここでは、自宅で知育×英語の学習環境をつくるためのコツを解説します。
日常生活の中で工夫する知育
知育を日常生活に取り入れる場合は、自然な形で子どもとやり取りできる環境を見つける必要があります。遊びを通じて言葉のキャッチボールができる場面を見つけましょう。
たとえば、親子で英語アルファベットや動物カードを使ったゲーム、言葉遊びとしてAの単語探しゲーム、ややレベルは高いですが、アルファベットしりとりゲーム、親子で一緒に買い物にいって商品を英語で確認する…など、さまざまな要素を生活のなかに取り入れることができます。
運動機能が発達する幼児期には、実際のボールを使って覚えたての英単語を使いながらキャッチボールをしたり、色おに(おにが英語で色の名前を言ったら、その色を触って遊び鬼ごっこ)をしたりすれば、知育と体育の掛け合わせも可能です。
大切なことは「何のために(目的)」「遊びを通じて(方法)」といった要素です。知育を行う場合、子どもの主体性や自発性が重視される点は忘れないようにしましょう。
知育×英語教材
英語教育を知育に組み合わせる際には、子どもが興味をもつ教材を選びます。先ほど紹介したアルファベットフラッシュカードも教材の一つです。
このほか、カラフルで分かりやすく子どもの目に入りやすいポスターなども教材の一つに挙げられます。後述する英語のおもちゃも、ある意味「知育に活用できる教材」として捉えることも可能です。
子どもの思考力や想像力、表現力などに合う教材を選ぶことで、効果的な学び(遊び)が期待できます。
知育×英語絵本
知育と英語絵本を組み合わせるのは、比較的導入しやすい取り組みです。子どもの発達段階や興味を考慮して適切な絵本を選びます。
子どもの成長段階に応じて、肌触りのよい布製絵本、好奇心をそそる仕掛け絵本、プッシュボタンで音楽や音声が流れる絵本など、五感を刺激するものを適宜与えます。その際、一緒に読んだり触ったりしながら、絵本を読む楽しさを共有するようにしましょう。
知育×英語おもちゃ
知育×英語おもちゃも、子どもの知的な成長と英語学習を組み合わせた教育ツールです。おもちゃは、知的玩具の特徴である「遊びながら学ぶ楽しさ」と「英語に対する興味づけ」のコラボレーションが図られています。
子どもはおもちゃが大好きであるため、子どもに適したおもちゃを選ぶことで知的好奇心や知能の発達を促すでしょう。
英語の基本的な単語や歌が流れるおもちゃや簡単な英語フレーズが聞けるものもあります。また、知育玩具は英語力を伸ばすだけでなく、論理的思考や問題解決能力の知的な要素を考慮しているものが多くあります。パズルやクイズなどを通じて子どもの脳を活性化させます。
知育×英語おもちゃは、子どもたちの成長と学習を促進するための有益なツールであり、英語学習をより身近で楽しいものにしてくれるでしょう。
知育を成功させるポイント
知育を成功させるためには、今回紹介する5つのポイントを意識する必要があります。それぞれ詳しく解説します。
子どもに合わせた知育方法を考える
子どもの年齢や発達段階、個々の好みに合わせて適切な知育方法を選びます。幼児期は急速な発達の時期であり、子どもの様子や変化に関心をもちながら、その都度最適な知育環境を整えるように留意しましょう。
たとえば、0歳から2歳の幼児は触覚・聴覚・視覚を刺激する方法が効果的であり、2歳以上の幼児は手先の器用さを活かす積み木やパズルなどの知育玩具が適しています。子ども自身の興味や関心を大切にし、遊びを通じて楽しみながら学ぶ環境を提供することが大切です。
子どもが楽しく取り組めるように
知育を成功させるためには、子どもが楽しく取り組めるように心がけます。子どもは遊びを通じて学びを進めることが好きであり、楽しい体験を重ねることで学ぶ意欲が高まります。
保護者は、子どものやり方を尊重し、無理やプレッシャーをかけずに成長をサポートするように努めましょう。
子どもが自分で考え自ら学ぶ機会を増やすことで、自主性や自己肯定感の醸成につながりやすくなります。
五感をバランスよく刺激する
知育を成功させるためには、子どもの五感をバランスよく刺激しましょう。視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚などの五感を使って経験を重ねるのは、脳の発達を促します。
五感を使った多様な経験を提供することで、子どもの学びと成長をより豊かにできるでしょう。
豊かな言語環境を整える
知育を成功させるためには、豊かな言語環境を整えることが非常に重要です。言語は思考やコミュニケーションの基盤となる重要な要素であり、言葉の力を伸ばすことは知育において不可欠です。
家庭や学習環境で子どもにたくさんの言葉を聞かせ、コミュニケーションを大切にしましょう。たとえば、子どもが質問をしてきたら肯定的に受け止めて応えたり、子どもと一緒に調べたりして語彙力をつけていきます。
あるいは、絵本を読み聞かせている際は、子どもの反応をみながら適切に声をかけたり読後に思ったことを伝え合ったりするのも良い方法です。
学習場面のときだけでなく、保護者が「どうしたらバリエーション豊かな表現ができるか」「語彙力を身につけさせるにはどうしたら良いか」と意識してコミュニケーションを取ることで、子どもの言語力は豊かに育っていきます。
他の子との比較をしない
知育を成功させるためには、他の子との比較をせずに子どもの成長を全面的に尊重する姿勢が重要です。子どもはそれぞれ個性があり、成長のペースや興味・関心は異なります。
他の子と比べて遅れていると感じても、その成長段階に合ったサポートをしてあげましょう。決して「○○ちゃんはできるのに、どうして?」といった他者との比較を通じてわが子を見る姿勢を見せてはいけません。
子どもは親の姿勢から自分自身を見ることがあります。保護者が子どもに対して「あなたはあなたで素晴らしい」といった姿勢を示していれば、子どもは自信を深め自己肯定感を高めていきます。
子どもが自分のペースで学びを楽しめるように、心の余裕を持って接してあげましょう。
知育を楽しみながらおこなうコツ
子どもが小さいころは本当に手がかかり、仕事をしているママさんであれば、子どもにゆっくり構っていられず、ときにイライラしてしまうケースもあるでしょう。
ただ、振り返ってみれば、意外に子育ての時間は短くあっという間だったと感じます(筆者の感想)。もう少し楽しめれば良かったなあと後悔の念が生まれるのも事実です。
だからこそ、ミライコイングリッシュをお読みになるママさんには、「子育て」今回は知育なのですが、楽しんでもらいたいと思っています。ここでは、知育を楽しみながらおこなうコツについて3つ紹介します。
おもちゃで手軽に知育を始めるアイディア
知育を楽しみながら始めるためには、子どもの好きなおもちゃや教材を使うことが効果的です。
たとえば、積み木を使って形やバランスを学んだり、パズルを組み立てて問題解決能力を養ったりできます。また、アルファベットや数字のおもちゃを使って言語や数の基礎を学ぶことも可能です。
おもちゃを通じて遊びを通じて、子どもは学びの楽しさを見出すことでしょう。
おうちで楽しむ知育菓子の利用法
知育菓子を使って知育を楽しむこともおすすめです。
知育菓子は楽しい形や色、味が特徴であり、子どもは興味をもって取り組めます。海が好きな子どもであれば、生き物をグミで作れる知育菓子を選び、合わせて英語で覚えることも可能です。
知育菓子を通じて遊びながら学ぶのは、子どもの学習意欲を高めることにつながります。ただし、食べ過ぎには注意し、バランスの良い食事を心掛けましょう。
知育体験教室の活用
知育体験教室を適宜利用することで、子どもは普段とは異なるさまざまな体験を通じて好奇心を刺激され、知識や技能を身につけられます。
知育体験教室では、科学や自然、アートなどのテーマに基づいたワークショップや実験を行ったり、工作や絵画を楽しんだりできます。子どもは自分の手で物事を実際に行うことで学びを深めることができるため、知育体験教室は有意義な学びの場となるでしょう。
教室によって対象年齢や内容、費用はまちまちですが、知育の方法(たとえば親がサポートをしたり見守ったりするタイミング、褒め言葉のチョイスなど)を知る機会となります。ご家庭の予算に応じて上手に利用してみましょう。
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知育を楽しみながらおこなうコツは、子どもの興味や関心を大切にし、遊びを通じて学ぶ環境を提供することです。
おもちゃや知育菓子を使って楽しい学びを促し、知育体験教室などでさまざまな体験を通じて学ぶ機会を増やしていきます。今回紹介した方法以外にも、ご家庭や子どもに合う方法が見つかるかもしれません。親子でいろいろ試しながら、楽しい知育活動を取り入れていきましょう。
まとめ
子どもの可能性を最大限に引き出すためには、知育と英語(おもちゃや絵本など)の組み合わせも効果があります。知育は年齢や発達段階、子どもの好みに合わせて工夫することが大切です。
日常生活の中での遊びやコミュニケーションを取り入れるのは、子どもが楽しく取り組めるようにするためです。五感をバランスよく刺激し、豊かな言語環境を整えるのは、子どもの成長にプラスの影響を与えます。
このプロセスでは、他の子との比較をせず子どもの個性を尊重し、自分のペースで学べる環境を提供しましょう。知育と英語を掛け合わせる環境づくりでは、子どもに合った内容の教材を選び、楽しみながら学べるように心がけます。
今回の記事を参考にして、子どものより良い成長のためにできることを取り出し、少しずつ実践に移していきましょう。