この記事では、赤ちゃんや子どもに英語の歌を聞かせる効果について解説していきます。
はじめに
こんにちは。幼児向け英語教材「ミライコイングリッシュ」運営事務局です。
今や英語力は必須ともいえる時代になりました。日本は単一言語、単一民族の国で語学が苦手と言われますが、そんなことを言っていては、アジア諸国からも、世界からも置いていかれてしまいます。日本が国際競争力を保つために、日常会話程度の英語は仕事をするうえでもますます重要になるでしょう。また、海外で生活したり、共用語が英語の環境で働いたりといったチャンスがあったとき、英語が話せないせいで諦めてしまうのはもったいないこと。英語に苦手意識を持つことなく、できるだけ苦労なく英語を身につけてほしい、と願うお父さん、お母さんも多いでしょう。
言語を習得するのに最適な時期は0~3才と言われます。早いうちから英語を日常的に耳にする環境を作ってあげると、その後の英語学習の大きなアドバンテージになるのです。
赤ちゃんや子どもに英語の歌を聴かせる効果
早いうちから英語に慣れることができる
言語習得に最適な時期は何歳ごろ?
「臨界期」という言葉を聞いたことはありますか?臨界期とは、人間の脳の発達において、ある能力を獲得するのに最適な、限られた期間のこと。人間の脳にはジャンルによって学習するのに最適な時期があり、その時期を逃すと、いくら努力を重ねても身につけられる能力のレベルに限界がある、という考え方です。一般的に、臨界期は以下の通りです。
- 数学的思考 1歳半~4歳半
- 運動能力 6か月~4歳半
- 語学力 6か月~9歳
- 絶対音感 3歳半~9歳
記の中でも、最もよく話題になるのは言語能力です。なぜでしょうか?
他の3つの能力を見てみましょう。数学的試行や運動能力、絶対音感を臨界期に習得したとします。それでも、その能力を発揮して実際に科学者やスポーツ選手、音楽家として一流になれる確率はかなり低いですよね。幼いころに能力を習得したとしても、まず周りの大人がそれを発見し、上手に伸ばして一流に育て上げる必要があるのです。本人の努力だけでなく、親のサポートやよい指導者との出会い、練習環境、運、タイミングなど、さまざまな要素が全て揃わなくては一流になることはできません。能力があっても大成するとは限らないのです。
でも、言語能力だけはちがいます。言語能力はほぼすべての人間が生まれながらに持っています。そして、生まれてからたった数年で、少なくとも1つの言語を母国語として不自由なくしゃべれるようになります。誰でも、一流になれるのです。日本に住んでいながら「日本語をしゃべれないまま20歳になってしまった」、「”花”と”鼻”の発音ができなくて困っている」という人はいませんよね。本人が特別な努力しなくても、周りの大人が懸命にサポートしなくても、皆、言葉を操れるようになるのです。
一般的に、赤ちゃんが育つ環境では、周りの人が言葉をしゃべり、自分に絶えず話しかけてくれます。言語習得にこれ以上ない環境が整っていると言えます。赤ちゃんは、周りの人が話している言葉に大変な興味を示し、一生懸命聞いています。やがて、脳にインプットしたたくさんの言葉が溢れだすように、赤ちゃんはある日、言葉を発するようになります。
臨界期に英語を学ぶことの重要性
言語は、臨界期にその言語が飛び交う環境に身を置いていないと、母国語として身につけることはできません。数年間英語圏で生活した子どもは、周りの人がうらやましがるような英語力を身につけて日本に帰国してきますね。でも、その子の年齢が臨界期を過ぎていたら、たとえ英語が不自由なく話せたとしても、完全なネイティブとは違います。母国語としての日本語の基礎が固まってから英語圏で生活しはじめた場合、英語は母国語として身についているわけではないということです。反対に、臨界期に英語圏で生活していた子どもはネイティブ英語が自然に身につきます。脳が母国語として英語を習得したのです。
言語習得における臨界期の重要性について、有名な話があります。インドで発見された、オオカミに育てられた少女の話です。1920年に、インドの山中でオオカミの群れの中から推定9歳の少女が見つかりました。発見当時、少女は言葉を発することができませんでした。人間のいない環境でオオカミと共に育ってきたのですから当然ですね。しかし、驚くべきはその後です。その後、少女には人間社会に適応させるべく熱心な教育が施されましたが、少女は50語ほどしか覚えられなかったといいます。幼少期を過ごす環境が言語習得にいかに重要か、よく分かりますね。
赤ちゃんはどのようにして言語を習得するのか?
アメリカのアメリカの音声聴覚科学の教授、パトリシア・クールがTED(※)でとても興味深いスピーチをしています。
※Ideas Worth Spreading(広げる価値のあるアイデア)を伝えることを目的として、さまざまなプレゼンテーションを提供しているアメリカの非営利団体。年に1回、TED Conferenceというスピーチコンテスト(俗にいうTED)が開催される。
スピーチの中で、クールは以下のように述べています。
- 7歳までの赤ん坊や子どもの第二言語を習得する能力は天才的。その後、少しずつ能力が低下し、思春期になると圏外になる。
- 赤ちゃんは自分の周りの人が話しているのを聞いて、自分が覚えるべき言葉の統計を取っている。1歳前には母国語の統計データが集まってくるため、他の言語の習得能力が落ちていく。
- 赤ちゃんは生まれたばかりの時はどこの国にも属さない「世界市民(citizens of the world)」であり、すべての言語の音を区別することができる。しかし、母国語を習得するとともに他の言語の音を区別する力が落ちてくる。
たくさん聞いた後に、言葉が溢れ出す。
言語の習得は、「聞く」からスタートします。聞くことなしに、突然しゃべり始めることはありません。赤ちゃんは胎児の頃からお父さん、お母さんを始めとした周りの人にたくさん話しかけられます。一方的に話しかけられる時期を過ごした後、個人差がありますが、1歳前後から話し始めます。
単語を発するまでには、「聞く」時間が2000~3000時間必要と言われています。赤ちゃんは寝ている時間が多いですから、1日8時間「聞い」ているとして、3000時間「聞く」ためには1年強、かかる計算になります。
でも、まだ話せない赤ちゃんでも、「おなかすいた?」「こっちに行く?」などと話しかけると、うなずいたり首を振ったりして、きちんと意思表示しますね。言葉の意味を理解している証拠です。パトリシア・クールの言葉で言えば、この時期の赤ちゃんはたくさんの言葉を聞いて懸命に言葉の統計をとっている最中です。ただし、「統計をとっている」と言っても、本人は全く努力していない、というところが大きなポイントです。
日本の英語教育は圧倒的に時間が足りていない
中高6年間勉強したのに、英語がしゃべれない。リスニングが苦手。そんな人は少なくないでしょう。
ここに面白い資料があります。
U.S. Department of State(アメリカ国務省)のForeign Service Institute(外交官養成局/FSI)が公表している、英語話者から見た言語の難易度ランキングです。
>>Foreign Language Training FOREIGN SERVICE INSTITUTE
Foreign Service Institute (FSI)は、アメリカ国務省(日本でいう外務省)の新人職員に外国語の教育を実施している機関です。職員たちは外交官として世界各国に派遣される前の準備として、派遣先の国の言語を集中的に学びます。
資料では、ネイティブの英語話者である職員たちが外国語をゼロから学習し、日常生活やビジネスで問題なくやりとりできる語学力を習得するのにどのくらいの授業時間数と期間が必要か、ランキング形式で示しています。
- グループ1:英語と似た言語(ドイツ語・フランス語など)・・・授業数600~750時間(約5.5か月~7か月)
- グループ2:英語とやや異なる言語(ギリシャ語・ヒンズー語など)・・・授業数900時間(約8か月)
- グループ3:英語とかなり異なる言語(ロシア語・トルコ語など)・・・授業数1100時間(約10か月)
- グループ4:英語と全く異なる言語(日本語・中国語・朝鮮語・アラビア語の4言語)・・・授業数2200時間(約1年8か月)
>>参照元:Foreign Service Institute Foreign Language Training
どのような過程を経て結果を導き出したのかは明記されていませんが、各言語の文法構造、発音、文字システムの3つを軸として、総合的に判断したものと考えられます。資料によると、英語話者にとって、日本語は習得に授業数2200時間、約1年8か月(換算すると週に授業数25時間、1日2時間半)必要な、最高難度の言語。単純に逆に考えると、日本語話者である私たちにとって、英語は最高難度の言語ということになります。
一方、日本の学校での英語の授業時間は以下のとおりです。
- 中学の3年間で約350時間
- 高校の3年間で約450時間
中学校、高校の6年間の授業時間は約800時間です。上記資料で示されている2200時間とは、3倍弱の差があり、大きくかけ離れています。6年間という期間が間延びしているとも言えます。例えば、かけ算の九九は小学校2年生で勉強しますが、1年生で1の段、2年生で2の段、と1年に1段ずつ、中学校3年生までの9年間で9の段まで勉強するとしたらどうでしょうか?効率が悪いのは明らかです。短期間で集中的に学ぶ効果は大きいのです。中学校、高校、と英語に時間を割いても、濃い学習にならないところに問題があります。
日本の英語教育は臨界期を活用できていない
新学習指導要領の実施により、2020年度から小学校で英語教育が必修化されました。それまで5年生、6年生の外国語活動のみでしたが、3、4年生のカリキュラムに外国語活動が加わり、5、6年生は教科として英語の授業を実施することになりました。(授業数は3、4年生で週1回程度、5、6年生で週2回程度)しかし、言語習得の臨界期は0~9歳と言われていますから、臨界期の最後の1年にあたる小学校3年生で、ようやく英語学習が始まることになります。日本の小学校の英語教育は、効率よく言語習得しようという臨界期の考え方とは相反するカリキュラムで、言語習得に最適な時期を逸しています。このため、赤ちゃんの頃から英語の歌を一緒に聴くなど、家庭でできる取り組みで、早いうちから英語に親しんでおくことはとても大切です。臨界期の赤ちゃんや子どもは、努力していると感じることなくいとも簡単に言語を習得していきます。その経験は、臨界期を過ぎた後の英語学習において大きなアドバンテージになります。
英語のリズムが身につきやすくなる
発音が平たんと言われる日本語からすると、英語が歌のように聞こえることはありませんか?英語はリズムが重要な言語といわれます。文法や個々の単語の発音よりも、文全体のリズムやイントネーションが、英語が通じるかどうかの鍵を握っているというほどです。ですから、英語をしゃべれるようになるには、英語特有のリズムやイントネーションを身につけなくてはなりません。
日本語の母音があ、い、う、え、おの5つなのに対し、英語には、諸説ありますが約15個の母音があります。英語は「あ」だけでも4種類ある、とよく聞きますね。日本人特有の英単語のカタカナ英語は、子音ひとつひとつに日本語の母音(a、i、u、e、o)を付加してカタカナに置き換えたもの。カタカナ英語は日本語の発音に合わせて英語の発音をむりやり平坦にしているため、英語特有のリズムが消えてしまいます。自分が発音できない音を聞き取ることはできませんので、カタカナ英語をしゃべっている限り、通じる英語を話すことはもちろん、相手の言っている英語を聞き取ることもできません。
英語のリズムを身につけるのは、大人にとっては逆立ちのようにむずかしいこと。しかし、臨界期を迎える前の赤ちゃんや子どもにとっては朝飯前です。日本語の発音に縛られずに英語の音を聞くことができるので、頭ではなく耳から音を習得します。英語の歌を聞けば、楽しく遊びながらリズムを身につけられます。身につけるというより、みるみる身についていくのです。
英語独特の発音は、主に以下の要素で成り立っています。
- イントネーション(抑揚)
- リズム(音の強弱、スピード)②リズム(音の強弱、スピード)
- 音声変化(連結、脱落、同化)
①イントネーションは、音の抑揚、高低のことで、イントネーションによって意味が変わることも多くあります。
Yes.⤵ (その通りです、と肯定的に応答するとき。)
Yes?⤴ (相手の言ったことに対して確認、聞き返すとき。)
②リズムは、音の強弱、スピードのことです。基本的には、重要な単語を強く、ゆっくり発音し、冠詞や接続詞など補助的な単語を弱く、短く発音します。また、リズムを変え、強調する単語を変えて発音すると、同じ文でも異なる意味になります。
This is mycoffee. これは私のコーヒーです。(紅茶でなくコーヒーだ、と言いたいとき)
This is mycoffee. これは私のコーヒーです。 (あなたのではなく、わたしのコーヒーだ、と言いたいとき)
This is my coffee. これが私のコーヒーです。 (あれではなく、これが私のコーヒーだ、と言いたいとき)
③音声変化
英語の発音では、以下のような音声変化が起きます。英語を聞き取るのがむずかしいのは、音声変化によるところも大きいです。
・連結
単語と単語の音がつながって発音されること。
Tell us. テルアス → テラス tellのlとusのuがつながって発音され、単語と単語の区切りが分かりづらくなる。
・脱落
音が省略され、発音されなくなること。
Good morning. グッ モーニング Goodのdが発音されない。
・同化
単語と単語の音がつながって別の音に変化し、スペルと異なる発音になること。
I need you. アイニージュー needのdとyouのyがつながって「ジュ」の音になる。
英語の歌を通じて英語の発音に親しむと、上記のイントネーション、リズム、音声変化が歌のメロディーとともに自然と身についていきます。臨界期を迎える前の赤ちゃんや子どもであれば、最も高い効果を期待できます。言葉の意味が分かっていなくても、英語の発音が耳に馴染むだけでよいのです。
また、英語の発音には、日本語にない音の区別があります。以下に主な例を挙げます。
- LとRの区別
- 英語音(rとlの区別)日本語音(ラ行はrとlの中間)を区別している
- 日本語ではどちらも「ら」行になる。right(右)もlight(灯り)もライトになってしまう。
- 日本語ではどちらも「さ」行になる。Thursday(木曜日)が「サーズデイ」となり、Saturday(土曜日)の「サタデイ」と同じ発音になってしまう。
- SとTHの区別
- 日本語ではどちらも「さ」行になる。Thursday(木曜日)がb>サーズデイ」となり、Saturday(土曜日)のサタデイ」と同じ発音になってしまう
日本語には上記の音の区別がないため、日本語の音をベースに英語を聞くことになり、違いを聞き分けるのは至難の業。発音するとなるとさらにハードルが上がります。しかし、まだ母国語として日本語を習得していない赤ちゃんは、英語の音も難なく聞き分けることができます。この時期を逃す手はありませんね?英語の歌を通して、赤ちゃんが英語のリズムを身につける機会をたくさん作ってあげましょう。
親子のコミュニケーションにもなる
スマホやタブレットの動画などを見せずに赤ちゃんを育てるのはむずかしいことです。そばにいる大人がいつもスマホを手にして操作しているのですから、赤ちゃんが興味を示すのも当然のこと。仕事や家事で手を離せないとき、赤ちゃんにテレビやタブレットを見せておくこともあるでしょう。
英語の歌の動画を見せておくだけで赤ちゃんが英語をしゃべれるようになったら、夢のようですね。でも、残念ながら、テレビやタブレットに子守をお任せするだけでは、英語を習得する効果はほとんど期待できません。先述したパトリシア・クールは、スピーチの中で以下の研究結果に言及しています。
- 赤ちゃんは、画面上にテディベアを映して音声だけ聞いても何も学ばなかった。
- 赤ちゃんは、人が話すところを動画で見ても、何も学ばなかった。
- 赤ちゃんは、本物の人間が目の前にいるとき、聞こえてくる音を脳にインプットする。赤ちゃんが言葉を脳にインプットするためには人間が必要である。脳が社会的な役割を制御し、人間が目の前にいるときにインプットするように働いている。
上記の研究結果から、赤ちゃんが英語の歌をひとりで聞いているのでは、英語習得の効果は得られないことが分かります。赤ちゃんは、本物の人間が目の前にいないときは、聞こえてくる音を学ぶべき重要な音だと判断せず、脳にインプットしないからです。赤ちゃんが「この音はインプットしておかないといけないんだ」「この音は大事な音なんだ」と判断するには、目の前に人がいて、赤ちゃんとコミュニケーションする必要があるのです。具体的にどうしたらいいかと言うと、大人も、赤ちゃんと一緒に歌を聴き、口ずさんだり、体を動かしたりすることです。赤ちゃんに英語を学ばせるのではなく、もう一度、大人もゼロから英語を学ぶ気持ちで、赤ちゃんと歌を聴く時間を共有してみましょう。お父さん、お母さんが目を合わせて一緒に歌を口ずさむことで、赤ちゃんの脳はどんどん英語の音をインプットし、発達していきます。
人は社会的動物、感情の生き物と言われます。人は、人と人との関わり合いの中でいろいろな感情を感じながら生きているということです。人が目の前にいるときに赤ちゃんの脳が最もよく働くとは、実によくできていますね。
コロナ禍で保育園の登園を自粛する動きが広まり、代わりにオンラインで先生と繋がるサービスが出てきました。3歳から6歳くらいまでの子どもを対象として、先生が画面越しに絵本の読み聞かせをしたり、歌を歌ったり、手遊びをしたりして子どもを保育するサービスです。もちろん、その間に少しでも仕事を進めたいという、在宅勤務のお父さん、お母さんの需要があったのでしょう。保育園に通う年齢の子どもが家にいたら、まず仕事はできませんから。
しかし、オンラインの画面越しに、満足に「保育された」子どもがいたのでしょうか?大好きなお父さん、お母さんを差し置いて、ある程度まとまった時間を画面越しの先生と過ごせる子がいるでしょうか?クールの研究によれば、赤ちゃんは画面の中の人より目の前の人によく反応するのですから、「オンライン保育園」に「登園」(ログイン)した子どもたちがどうなったか、想像がつきますね?「仕事中だから入ってこないでね」といくら言い聞かせても、必ず仕事部屋に入ってきて、膝の上に乗りたがります。何度も話しかけてきます。相手をしてあげなければ、しまいにぐずりだしたり、泣き出したりして、仕事ではなくなりますよね。大人も泣きたくなりますが、それは、目の前の人に反応するという、言語を習得するときに不可欠な脳の働きがあるからこそなのです。
また、乳幼児教育で重要と言われているのが「アタッチメント」です。アタッチメントとは、お父さんやお母さんをはじめとした養育者と乳幼児との間の情緒的なつながりのことを言います。愛着形成と言い換えてもよいでしょう。0歳からのアタッチメントが、乳幼児期を過ぎた後の学ぶ力に大きく影響することが分かってきました。アタッチメントを養育テーマとする幼稚園や保育園も増えています。
東京大学Cedepとベネッセ教育総合研究所が実施した調査では、アタッチメントを育む養育行動として、以下の4つが挙げられています。
東京大学Cedep・ベネッセ教育総合研究所 共同研究「乳幼児の生活と育ちに関する調査」
- ①あたたかさ
- ②敏感さ
- ③やりとり遊び
- ④意欲の尊重
1つずつ見ていきましょう。
①あたたかさとは、やさしく抱きしめたり、ほっぺたをつついたり、頭をなでたりといったスキンシップのことです。「かわいいね」「〇〇ちゃんはやさしいね」などの肯定的な声かけでその子の自己肯定感を育むのも、あたたかさにあたります。
②敏感さとは、泣いたりぐずったりしたときにその子の感情に共感し、寄り添ってあげることです。「大丈夫?」「いやだったね」「こわかったよね」などの声かけもこれにあたります。
③やりとり遊びは、子どもとコミュニケーションをしながら遊ぶことです。絵本の読み聞かせをしたり、歌を一緒に歌ったり、手遊びをしたりして、養育者と一緒に楽しい時間を過ごすことを指しています。
④意欲の尊重は、子どもがしたいことをさせてあげることを言います。危険を排除して、やりたいことを最後までできるような環境を整えてあげることが意欲の尊重になります。
歌を聴いて一緒に楽しむことは、③やりとり遊びにあたり、アタッチメントを育むのにぴったりです。歌を口ずさんで体を左右に揺らすだけでも、赤ちゃんはきゃっきゃと声をあげて大喜びします。手遊びを交えた歌では、ボディタッチしながら遊べば、赤ちゃんの情緒的な安定、安心感をさらに強くすることができます。歌や手遊びがきらいな赤ちゃんはいません。一緒に過ごす時間を存分に楽しんで、赤ちゃんの心を大いに育ててあげましょう。
曲選びのポイント
このような曲を選ぶようにしよう
赤ちゃんが部屋にいるとき、どんな曲や歌を流してあげたいですか?親が好きな曲や歌を聴いて楽しい時間を過ごすことも大事ですが、途中で眠くなってきて、お昼寝をするかもしれませんね。聞き流しには、穏やかでやさしい曲調の歌が向いています。また、ときにはテンポのよい明るい曲調もおすすめです。同じメロディーや歌詞が繰り返し出てくる歌も、赤ちゃんが英語の音をインプットするのに適しています。
英語の子守歌や童謡には、日本語の歌としてもポピュラーなものがたくさんあります。お父さんやお母さんがよく知っている、口ずさみやすいものを選ぶのもよいでしょう。
このような曲はやめておこう
歌詞が聞き取れないくらいテンポの速い歌、伴奏や打楽器の音がうるさく感じるような歌は、赤ちゃんの聞き流しにはあまり向きません。赤ちゃんに英語の音をインプットしてもらうのが目的なので、英語の音が自然と耳に入ってくるような歌を選びましょう。
赤ちゃんや子どもにおすすめな英語の歌5選
Twinkle,Twinkle, Little Stars
日本でもおなじみ、「きらきらきらひかる よぞらのほしよ」の歌詞で始まる「きらきら星」。オーストリアの作曲家、モーツァルトが、1778年に「きらきら星」をもとに作曲した「きらきら星変奏曲」です。英語のアルファベットを覚えるときによく使われる歌でもあります。”Twincle, twinkle, little stars, how I wonder what you are.”と繰り返すシンプルな曲調がとても穏やかで、赤ちゃんが最初に出会う英語の歌にふさわしく、聞き流しにもぴったりの歌です。
Finger Family
フィンガーファミリーは、その名の通り、親指はお父さん指、人差し指はお母さん指……と、5本の指を家族に見立てて覚えていく歌です。赤ちゃんは手が大好き。周りの人の手の動きをとてもよく観察していますし、自分の手にも興味津々です。赤ちゃんは、生後3、4か月ごろから視力が発達し、自分の手を認識するようになり、手を動かすのが楽しくなってきます。手遊びをしながら、赤ちゃんとのコミュニケーションを存分に楽しみましょう。
London Bridge is Falling Down
「ロンドン橋落ちた」も、とてもポピュラーな童謡ですね。輪になって遊ぶ集団遊びもおなじみです。歌詞が韻を踏んでいて、同じリズムが何度も出てくるところが、赤ちゃんに聞かせるのに適しています。思わず体を動かしたくなるような楽しげなメロディで、英語に親しむことができます。
Head, Shoulders Knees and Toes
日本語でもよく聞く、「あたま、かた、ひざ、ぽん」です。Family Fingerと同じように、身振り手振りと共に歌を歌えるところが、赤ちゃんとのコミュニケーションに最適です。メロディーに合わせて赤ちゃんの頭、肩、膝を順番にやさしくタッチしてあげてください。赤ちゃんが大喜びすること間違いなしです。
英語の歌は毎日聴かせると効果的
毎日、赤ちゃんの耳に自然と英語が聞こえてくる環境を作ってあげましょう。言語の習得には、なんといっても毎日過ごす環境がものをいいます。習い事のように週に一度などではなく、1時間でもかまわないので、毎日続けることが大切です。赤ちゃんが起きているときに、英語の動画を見せたり、CDで歌を聞き流すなどして英語が聞こえるように環境を整えてあげます。大人が耳障りに感じるほど大きな音でなくても構いません。歌が流れてるな、と感じる程度で大丈夫。それでも、赤ちゃんの脳に英語の音がどんどん蓄積していきます。
まとめ
言語習得の臨界期は0-9歳までと言われていますが、その中でも0-3歳の期間は黄金期にあたります。英語の歌を浴びるように耳にする環境を作って、赤ちゃんの脳に英語の音をたくさん送り込んであげましょう。このとき、お父さん、お母さんが一緒に英語の歌を歌い、赤ちゃんとコミュニケーションを取ることがとても大切です。触れ合いによって、赤ちゃんは英語を覚えるべき大事な音であると判断し、音を聞き分ける力を蓄えていきます。残念ながら、音を聞き分ける能力は母国語を話せるようになる3歳以降に身につけるのは非常にむずかしくなります。貴重な時間を逃さないよう、英語の歌を聴いて、英語習得の土台を作ってあげたいですね。